こんな事、伝えたくはないのだけれど。
+伝心+
「・・・どうしたんだ?カガリ。」
呼びつけておいてとアスランは疲れたような眼をして言った。
「あぁ・・すまない。」
自室・・といっても、仕事用のだがそこに彼を呼びつけたのは自分だった。
「・・謝るなよ」
困ったように頭をかき、眉間のしわを外してくれる。
-----伝えなくちゃならない言葉があった。
「・・・・・あの・・、もう・・いいんだぞ?お前。」
少し震える声で口を開くと、「何の話だ?」と聞き返される。
「----私と・・・・・・私の傍に・・いなくて・・・・・・・・。」
大丈夫だから。
「?」
「だから・・・えっと・・・・・・。」
「それは-------」
自分が口を開く前に、彼に口を開かれた。
「俺が・・必要ないって事か?」
「----ちが・・・、あ・・そう・・なのかも、しれない。」
必要が無いわけじゃない。いつだって傍にいて欲しい・・けど、
「アスランが・・好きにして・・・・良いから・・・。」
私に縛られる必要は無いから。
「---だから・・っ・・・・・・。アスランが・・傍にいたくないって思ったら・・無理にいる必要は・・ないんだ。」
こんな・・自分に無理に傍にいて・・支えなくてもいい。
アスランは良い奴だ。私以外の人とでもきっと巧くやっていける・・・。
----アスランに・・幸せになってほしいんだ。
「そうだな・・」
アスランはゆっくりと口を開きツカツカと靴音を立てて、自分の傍に来た。
「じゃあ・・俺はここに立つよ。」
隣に立ち、こちらを見るアスランに少し驚く。
「カガリの横に・・立てるように頑張るよ。」
「?」
「カガリの傍にいる。」
え?
「そ・・それじゃ駄目だっ!」
「嫌か?」
「嫌じゃないっ!」
大きく言葉を出すと、彼は嬉しそうに微笑んだ。
「なら良いじゃないか?」
「良くないっ!!!」
「-------何が気に食わないんだよ?」
「っだから!アスラン・・私とじゃ・・・・・っ!!」
-----幸せになれないだろ?
「・・・・私とじゃ?」
「・・・・・・自由に・・付き合えない相手なんか・・・・不服じゃないのか?お前・・・」
その言葉にアスランはキョトンとする。
「辛くないって言ったら嘘になるけど・・・・・。」
「だから駄目なんだっ」
「違う。」
「何が?」
「カガリじゃなきゃ駄目なんだ。」
「は・・・・・・・・・?」
真顔で言われ、次はカガリ自身がキョトンとする。
「な・・なんで?」
「それをお前が聞くのか・・・?」
だって・・おかしいじゃないか。
「カガリ以外の子の方がもっと不服だ。」
腕を急に引っ張られ、胸板に押し付けられた。
「・・・カガリを守りたい・・。俺は。」
眼をパチパチさせてその言葉を聞いていて・・
「・・・わ・・訳わかんないな・・・・お前。」
そう、口で悪態を付いた。
「泣くなよ」
「泣いてないっ」
-------嬉し泣きだ・・馬鹿
「---ありがとう。」
「あぁ」
+++++
あとがき
「カガリを守りたい」を言わせたくって・・・。
そうだと信じてるし、実際そうだと思います彼・・。
そうじゃなきゃっ!!ですよね?(笑)
アスランはこういう男だと信じています。
2006.03.07