「アスランッ」
カガリは部屋で寝ている俺にお構いナシに圧し掛かってきた。
+毎年恒例。+
「--------ッ・・カガリ・・?!何でこんな夜遅くに・・・・・」
と・・いうか、今日の夜は会議だって自分で言っていたじゃないか。
「-------また忘れてるし・・。」
やれやれとため息をつかれ、頭の中で考えていた。
何か忘れたか・・?今日は君は会議で俺もいつも通り仕事。
だから会う約束をした覚えもない。
「・・何も忘れていないと思うが・・・?」
その言葉にカガリはまた深くため息を付いた。
「・・もう・・・・・アスランはいつも忘れるんだ・・。」
そしてリビングへと腕を引っ張られる、どうせならこのままベット・・・まぁ、今のカガリには逆らわない方が良いか。
「コレ!」
ソファーの近くのテーブルには長方形の箱が置いてある。
「-------?ケーキ?」
そして思い出した。
「・・・誕生日!明日はアスランの20歳の誕生日だろ!?」
-------そうか、明日は俺の誕生日だ。
「・・わざわざ・・祝いに来たのか?」
「・・・・・おまえなぁ・・。」
そういえばだが、17歳の時も、18になった時も・・カガリは祝いに来てくれたような気がする。
-----忙しかっただろうに。
「去年は・・戦争とかあって祝えなかっただろう?だから今年こそ祝おうと思って!」
他の人であれば「もう子供じゃないから」で終わる話も、カガリだと別だった。
「・・ありがとう。」
疲れた目を擦り、ホークと紅茶を出した。
「-----・・アスランは私が来なかったら・・何もしないつもりだったのか?」
食べながらそう聞かれ
「まぁ・・もう、歳とって喜べる年齢でもないしな。」
その言葉にカガリは少し顔をしかめた。
「・・年齢を重ねるのは悪い事じゃない。」
「・・それもそうだが・・・。」
カガリはちょっと俯いて考え込んでしまう・・せっかく二人でいる時ぐらい、顔を見せて欲しい。
「---------誕生日って・・何の日か知ってるか?」
「え?」
茶化す気も無い真面目な目に言われ、少し考える。
「・・人が・・生まれた日?」
その答えに満足するようにカガリはニッコリとする。
「・・だから、大切なんだよ。」
カガリは食べ終わったようで、向かい側から立ち上がり自分の隣へポスッ音を出して腰掛ける。
「----全く、お前・・・時々大切な事忘れちゃうんだ。」
切なそうにぼやかれ、色々考えた。
「まずヤキンの時・・自殺しようとするし・・・・・この前も死にたい気分だとか言うし・・・。」
その言葉にグサリグサリとくる。そいう言葉は、毎度カガリが涙するからだ。
「-----いつも・・カガリには迷惑をかけてばかりだな。」
そして彼女の肩を抱いた。そんな愚かな俺ですら、君は受け入れてくれる。
それが・・嬉しくて、愛しくて・・・・。
「・・・・・安心しろ、思い出させてやるから。いつだって・・。」
----------思い出す・・?
「そうだなぁ・・特に誕生日だし・・。」
そしてカガリは諭すように話し始める。
「アスランが生まれたのは、両親が・・お前を望んだから・・。
今こうやって・・戦争に巻き込まれても生きているのは、
生きていかなきゃいけないからだ。・・・・・皆の為に。」
そして一拍置きカガリは瞳を覗き込んでくる。
「・・・・・・・・・・なのに、死にたいとか・・そんなのは我が儘だ。
・・・・失礼だ・・。お前の両親とか・・・私に。」
うすっらとカガリの目に涙が浮かんだのを見逃さなかった。
「・・・・・・・・すまない。」
抱きしめると、カガリは耳元で話しかけてきてくれる。
「・・・だいたい・・誕生日・・忘れるなよ。お前が生まれてきてくれた・・特別な日だぞ?」
「・・そうだな、気をつけるよ。」
その言葉に、カガリは顔を離してしまう。
「・・カガリ・・・?」
「--------ッそれ一昨年も言ってたぞ。」
---------そうだったか?
「・・・もういいよ、忘れるんだよ。お前は・・。」
ガバッと音を立てて抱きつかれる。
「-----------思い出させてやるよ、私が・・。」
「・・・・・・・ありがとう。」
-------来年も・・再来年も・・・
君と・・・こうやって・・・・・・・・・
+++++
あとがき
時々、本気で死のうとしている人をしばしば見るのですが・・。
それって両親や友達に凄く酷い事をしていると思うんですよね。
どんな状況でも自殺なんて・・・と思ってうってみる。
カガリが来るのはそんな自虐的になったりするアスランを想ってです。
「お前は私にとって大切なんだから、死んだりするなよ」って。(笑)
2006.03.17