後悔をしていた。
私達は出会うべきじゃなかった。
蠱惑的悪夢
-ミステイク-
翌日から、カガリはちらほらと噂をばらまいた。
「好きな人出来たんだっ!」
そう、満面の笑みで。
これで・・
アスランが、離れるならと。
彼女は最初から嫌だと言っていた。
押し切ったのは俺。
-エンドレス-
噂は直ぐに耳に届いた。
驚きを・・隠せるはずがなかった。
「・・アスラン?」
クラスの彼女、名前は・・何だっただろうか?
メイリンよりも、ミーアよりも・・・似ていない、子。
「・・・そうそう、良かったねアスラン。これでやっと、元カノも報われてるって事が分かって。」
無神経な子だと思った。
ミーアも、メイリンも・・カガリのことは極力触れてこないのに。
「でも、ほら、カガリってスッゴク人気なのよ?ずぅっとアスランが傍にいたから・・みんな隠してただけで。」
知らない分けない、カガリを見る男の目に・・自分が気が付かないはずがない。
「それに、裏アンケート調査で・・抱きたい女ナンバーワンはカガリなの!凄いよね〜・・別に身体が言い訳じゃないんだって。なんかサバサバした性格と、抱かれてるときの反応の差が見たいらしいの。」
要らない、そんな情報。
「アスラン?」
「・・・・・・・・もう、いい。」
カガリはそんな猥談をしない。
カガリは・・っ・・
「もう、他の人が好きなのね。アスランみたいな人を彼氏にした後だから・・どんな人に・・」
"他の人が好きなのね"
「っ・・!」
バンッ!!!!!!!!と、一際大きく机が叩かれる。
気のせいだろうか、うっすらと・・線が入るほどだった。
それに・・クラス中が注目する。
目の前の子は・・パチパチと瞳を瞬かせた。
「・・・・・・・・・・・・・君とは・・もう、ヤメだ。」
カガリ。
カガリ・・っ・・。
いくら心で呼んでもカガリは来てくれない。
彼の彼女になった。
だから黙っていた。
-無慈悲-
でも、とうとう・・我慢できずにいられなくなった。
今日、アスランさんはクラスで切れたらしい。
彼女が・・あんまりにもカガリの話をするから。
彼女が。
私以外にもいた。
それが、当たり前のように思える自分が悔しかった。
「カガリ先輩っ・・」
貴方になりたい。
もう、他の人が好きなのなら・・
私に、
アスランさんを、譲ってください。
心も、気持ちも、
どうか。
彼が疲れているのは
誰の目から見ても明らかだった。
-涙-
アスランは、その日誰一人寄せ付けようとしなかった。
ぴりぴりとした・・空気を始終出していた。
「迷惑だよね。」
独り言でボソッと言った。
アスランのせいだ。
メイリンが、ミーアが今泣いているのはアスランせいだ。
それは確かだった。
カガリのせいではない。
でも、
アスランだけが、悪いという問題でもない。
カガリもそれは分かっている。
貴方が探している人は見つからない。
それが酷く可哀想。
-他人-
カガリは笑いながら言う。
「好きな人が出来た。」
それだけだった。
ミーアには理解できる。
カガリは・・・アスランに怒っている。
メイリンが・・・カガリに泣きついたのは有名な話だ。
おそらく・・アスランも知っているだろう。
だから、
カガリは、貴方に・・怒っている。
貴方が探している人は見つからない。
それが・・可哀想な反面当然だと思った。