9,無慈悲

















後悔をしていた。

私達は出会うべきじゃなかった。




蠱惑的悪夢




-ミステイク-




翌日から、カガリはちらほらと噂をばらまいた。
「好きな人出来たんだっ!」
そう、満面の笑みで。

これで・・

アスランが、離れるならと。















彼女は最初から嫌だと言っていた。

押し切ったのは俺。



-エンドレス-




噂は直ぐに耳に届いた。
驚きを・・隠せるはずがなかった。

「・・アスラン?」

クラスの彼女、名前は・・何だっただろうか?
メイリンよりも、ミーアよりも・・・似ていない、子。


「・・・そうそう、良かったねアスラン。これでやっと、元カノも報われてるって事が分かって。」


無神経な子だと思った。
ミーアも、メイリンも・・カガリのことは極力触れてこないのに。

「でも、ほら、カガリってスッゴク人気なのよ?ずぅっとアスランが傍にいたから・・みんな隠してただけで。」

知らない分けない、カガリを見る男の目に・・自分が気が付かないはずがない。


「それに、裏アンケート調査で・・抱きたい女ナンバーワンはカガリなの!凄いよね〜・・別に身体が言い訳じゃないんだって。なんかサバサバした性格と、抱かれてるときの反応の差が見たいらしいの。」


要らない、そんな情報。

「アスラン?」

「・・・・・・・・もう、いい。」


カガリはそんな猥談をしない。
カガリは・・っ・・

「もう、他の人が好きなのね。アスランみたいな人を彼氏にした後だから・・どんな人に・・」



"他の人が好きなのね"



「っ・・!」


バンッ!!!!!!!!と、一際大きく机が叩かれる。
気のせいだろうか、うっすらと・・線が入るほどだった。

それに・・クラス中が注目する。

目の前の子は・・パチパチと瞳を瞬かせた。


「・・・・・・・・・・・・・君とは・・もう、ヤメだ。」



カガリ。


カガリ・・っ・・。



いくら心で呼んでもカガリは来てくれない。













彼の彼女になった。

だから黙っていた。





-無慈悲-




でも、とうとう・・我慢できずにいられなくなった。
今日、アスランさんはクラスで切れたらしい。
彼女が・・あんまりにもカガリの話をするから。

彼女が。

私以外にもいた。


それが、当たり前のように思える自分が悔しかった。



「カガリ先輩っ・・」

貴方になりたい。
もう、他の人が好きなのなら・・


私に、


アスランさんを、譲ってください。

心も、気持ちも、


どうか。













彼が疲れているのは
誰の目から見ても明らかだった。




-涙-




アスランは、その日誰一人寄せ付けようとしなかった。

ぴりぴりとした・・空気を始終出していた。


「迷惑だよね。」


独り言でボソッと言った。

アスランのせいだ。

メイリンが、ミーアが今泣いているのはアスランせいだ。



それは確かだった。



カガリのせいではない。

でも、


アスランだけが、悪いという問題でもない。


カガリもそれは分かっている。













貴方が探している人は見つからない。
それが酷く可哀想。




-他人-




カガリは笑いながら言う。

「好きな人が出来た。」

それだけだった。


ミーアには理解できる。


カガリは・・・アスランに怒っている。

メイリンが・・・カガリに泣きついたのは有名な話だ。


おそらく・・アスランも知っているだろう。


だから、



カガリは、貴方に・・怒っている。

貴方が探している人は見つからない。


それが・・可哀想な反面当然だと思った。































































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あとがき
アスラン・・。
2006/08/27