貴方が映しているのは私じゃない。
それが酷く虚しい。
蠱惑的悪夢
-他人-
「カガリ。」
ミーアはもう、カガリに話を持ち出していた。
アスランが多数の子に手を出していること。
それは・・決まって、カガリとの思い入れのある場所。
屋上。
保健室。
クラス。
アスランの隣。
「・・そうか。」
カガリはそう・・申し訳なさそうに呟いて、ミーアに謝罪した。
私のせいだ、と・・何度も謝罪していた。
だが・・・最後に、でも・・と、付け加える。
「私はもう・・恋人じゃないから・・あいつに何か言うことは出来ない。」
もっともだ、けど。そう口を開こうとしたとき。
「それに・・メイリンが幸せそうだろ?・・・壊したくない・・」
正直に言われ、ミーアは黙ってしまった。
彼が好きなのは、このカガリ。
他人を思いやるカガリ。
それが・・
彼の映す人。
私は、他人。
後悔をしていた。
私達は・・出会うべきじゃなかった。
-ミステイク-
ミーアに・・申し訳ないことをしてしまった。
メイリンにも・・申し訳ないことをしている。
でも、それを壊そうとは思えない。
「・・・何、やってるんだよ。」
私が一丸に悪いわけではない。
女癖が悪いとは・・知らなかったが、アスランのせいもある。
一度に沢山の女の子に手を出すなんて・・間違っている。
私の知っているアスランは、
私の、好きなアスランは
二股、、、ましてや四股なんて、絶対しない。
道理に反することはしない人だった。
変わってしまった、
変えてしまった?
私が悪い?
違う。
私も悪い。彼も・・悪い。
出会うべきじゃなかった。
彼の彼女になった。
だから黙っていた。
-無慈悲-
にわかに噂になる。
アスランさんの浮気話。
信じていないわけじゃなかった。
私は、
カガリ先輩と違って、
何の魅力もないのだから。
「・・私・・魅力無いですよね。」
ぽつんと呟いた一言に、アスランさんはフッと笑う。
そして・・耳元で小さく囁いた。
「そういう謙虚さがいいと・・俺は思うよ。」
顔が赤くなるのも致し方ない。
アスランさんは・・それを嬉しそうに眺めている。
私は気が付けないで居た。
彼女という立場に、とことん甘えていた。
彼女は最初から良いと言っていた。
言いだしたのは俺。
-エンドレス-
彼女は、俺のことを手伝いたいと言ってくれた。
利用するなんて事はない。
ただ・・
カガリと重ねていた。
無垢なカガリ。
耳元で囁くと真っ赤になるカガリ。
自分の何処が良いんだと真剣に訪ねるカガリ。
メイリンの中にカガリを見つけては喜び、
違うところを見つければ、凹む。
やっぱり、
君は
「・・メイリン。」
カガリじゃない。