彼には彼女が居た。
だから黙っていた。
蠱惑的悪夢
-無慈悲-
私は彼の彼女になった。
アスランさんは・・本当に優しい人だった。
「・・どう・・されました?」
「いや・・今日も空が綺麗だと・・思ったんだ。」
空を見上げる顔が好きになった。
そう言ってから・・・アスランさんは必ずこちらに優しく、あの甘い顔で見てくれる。
その、綺麗さとかっこよさに面食らわない女性は居ない。
漠然と思った。
何で、私だったんだろう?
後悔をしていた。
やっぱり、あの時頷くんじゃなかった。
-ミステイク-
学校へ行った。
友人に・・心配された。
「アスラン、今はメイリンって言う子と付き合ってるって本当?」
「振られたのか〜・・・大丈夫?」
私が振られたことになっているのが少ししゃくに障るがあえてスルーしよう。
「大丈夫だ。」
いっぱい泣いたから。
ミーアがこちらを見ていた。
カガリはミーアに微笑んだ。
ミーアも・・カガリに微笑んでいた。
ミーアの儚い笑みに気が付くべきだった。
私はまたミスを犯す。
泣きそうな恋人を、黙って慰める。
大切な人、大切な人たち。
-傍観-
メイリンとアスランが付き合っているというのは今や有名で、
カガリが捨てられたという話しも、有名だった。
「カガリさん」
ラクスとカガリはあまり話したことがなかった。
「ラクス?どうしたんだ?キラなら・・・」
そう言ったカガリを止めて・・・・ラクスはミーアを見る。
彼女が泣いている。
この人も・・・
「・・・・・・・・・・・大変・・ですわね。」
それ以上は何も言わず、ラクスは去る。
貴方が探しているのは私じゃない。
それが酷く虚しい。
-他人-
アスランが空を見ていた。
いつも逢う、屋上だった。
最近聞いた話だが、
アスランの恋人の内のもう一人は保健室の先生らしい。
「・・・綺麗ね。」
「ああ。」
空を見ているアスランは・・ミーアに向き直り、唇を求めた。
そして、その顔を叩いていた。
「・・ごめん、嫌だった?」
アスランは潔く謝った。
ミーアは・・謝る気はなかった。
「・・違う。」
違う
違う。
貴方が・・・
「キス、したいのは・・別の人でしょ?」
こんなの要らない。
「カガリの・・代わりなんて、嫌。」
いつだって、貴方の目に映るのは彼女だった。・・・今だって。
アスランの、四人目の恋人。
それは、
アスランのクラスの子だった。