4,疲労



泣きそうな恋人を、黙って慰める。
大切な人、大切な人たち。




蠱惑的悪夢




-傍観-


話しに割り込む気は更々ない。
大体・・個人間に親しくない者が割り込むと言うこと自体、
あってはならない。
だから、見守る。

「どうしたら・・いいのか、分からないよ・・ラクス。」

綺麗な紫色の瞳からは、光がのぞけた。
それが涙であると言うことに気が付かないはずがない。


「・・・お疲れになりましたわね。」


優しい恋人。

それをラクスは優しく抱きとめる。


「・・・泣いてるよ・・・二人とも・・」

「・・・三人・・ですわ。」


もっと沢山の人が泣いている。

ラクスはミーアの姉だから。











彼には彼女が居た。

だから黙っていた。





-無慈悲-




「・・恋人が・・分からないんだ。」

どうかしたんですか?と、訪ねた相手に・・彼はそう呟いた。

「・・・カガリ先輩・・ですよね?」

黙って頷く。

「・・・・私が・・お手伝いすることが出来るなら・・」

何でも言って下さい。
それだけ伝えた。

ついでに、メールアドレスと、携帯番号を渡した。

彼は・・それを見て、登録してくれていた。


たまたま見えた、登録画面。


四件目。


一件目は・・家だろう。
二件目は・・小学校時代から友達の、キラ先輩だろう。

三件目は・・・・・
カガリ、先輩。

私は、四件目。


「・・女の子の悩みは女の子しか案外分からないんですよ。」


私は、

恋人に向ける、あの・・


甘い笑みが、好きだった。













彼女は最初から嫌だと言っていた。

押し切ったのは俺。



-エンドレス-




「カガリ・・いますか?」
インターホンを押し・・そう、言う。
カガリの家は共働き、だが・・もしもと言うこともある。

返事は、無い。

がちゃりと・・勝手に作った合い鍵でドアを開ける。
カガリの部屋には鍵が掛かっていない。


「・・・カガリ?」


キィッと扉を開ける。

彼女は居ない。





「・・・・・・-------・・。」




この家で、鍵がある場所。


「・・お腹の調子・・悪いのか?」


トイレだけだ。




「・・休んだだろ・・・?学校・・大丈夫か?」




ソコにいると思われるカガリに必死で話しかける。

鍵が掛かっているから、


それが・・何よりの証拠。


「・・・昨日・・疲れたって・・言っていたな・・・ちゃんと、寝れたか?」

自分でも、分かる。

声が・・




「カガリ・・お願いだ、返事してくれ・・」



上擦る。


知ってるよ、なんで・・そんなこと言ったのか、

俺の・・せいだって、事も。


「俺の前から・・いなく・・なるな・・・っ・・・お願いだ」


開けて。
謝るから、

お願いだから、

開けて。













彼女が疲れているのは
誰の目から見ても明らかだった。




-涙-




アスランの、目から見ても。
それを僕は、きっと誰よりも、彼よりも、知ってたよ。

だから、カガリに伝えた。


「アスランが・・哀しそうだよ」って。


カガリは・・・瞳に涙をためて、僕に言った。

「知ってるさ。」

そんな答えを期待してたんじゃない。
僕は、ただ。

君たちの恋を応援したかった。


カガリが苦しそうになるのが耐えられなかったと、



間接的に、伝えただけだった。






アスランの・・一体何が不服なの?


その質問に、カガリは答えなかった。

そして黙って雫をこぼした。



-----僕も、君を傷つけた。





アスランも

そんな、カガリに・・・


気が付かないはずがないんだ。













後悔をしていた。

やっぱり、あの時頷くんじゃなかった。




-ミステイク-




目の前の扉、たった3pもない、その壁の向こうにいる人。
アスランの・・一体何が不服なの?

愛の重さ。

いや、
もっと、実際・・色々あった。

簡単な話じゃない。


「・・・っ・・」


アスランの・・涙ににじんだ声を聞きたくない。
泣くなよ馬鹿野郎。
抱きしめたくなる。


「カガリ・・俺のこと・・・・・・・・・・・嫌い?」


顔も見たくないほど、

学校を休むほど


「・・嫌い・・なのか?」


違うと、

言ってやらないと、いけないと思った。


でも、


それは・・・




エンドレス




終わらない。


また、後悔する。













彼には彼女が居た。

だから黙っていた。





-無慈悲-




その日、彼からの連絡は来なかった。
上手くいったのだろうか?

なら、私はまた貴方の笑顔を見ていられる。

それはそれで良いと思った。































































+++++
あとがき
相変わらず淡々と続いております。
2006/08/27