彼女が疲れているのは
誰の目から見ても明らかだった。
蠱惑的悪夢
-涙-
「どういう事だ・・キラ?」
彼は至って真剣だった。
「ごめん、学校いったと思ってたんだけど・・」
"勘違いだったみたい"
決して嫌な空気ではない、ただ。
気圧が上がったように、呼吸が苦しい。
「じゃあ・・カガリは休みか?」
「うん。」
「具合・・悪いのか?」
「さあ・・」
話をはぐらかした。
具合が悪いなんて嘘は決して付いちゃいけない。
けど、
「・・・俺に・・逢いたくないって?」
「・・さあ。」
本当のことは絶対言わない。
君は、僕の親友だから。
貴方が探しているのは私じゃない。
それが酷く虚しい。
-他人-
カガリは学校に来なかった。
彼女はこの頃笑わない。
理由は・・・・・何となく分かる。
彼女は彼が億劫になったのだ。
「カガリ」
彼が探すのはカガリだけ。
彼は彼女以外見えていない。
他の女はおそらく、"人類"という分類でしかない。
彼の世界はカガリだけ。
カガリもそれを知っている。
だからこそ、
彼女はアスランから離れようとしている。
後悔をしていた。
やっぱり、あの時頷くんじゃなかった。
-ミステイク-
「カガリ、・・・大丈夫か?」
元気がないとき、彼は決まって笑ってくれた。
それは・・恋人になる前もなった後も・・何処も変わらない。
優しい・・笑顔だ。
「大丈夫だ、アスラン。」
彼は私が名前を呼ぶと喜ぶ。
そして、唇に柔らかいモノが当たる。
困ったように・・でも、嬉しそうに、彼ははにかんで笑った。
それが、当たり前だった。
頷いた瞬間から、
私は彼の
彼は私の
所有物になったから。
彼には彼女が居た。
だから黙っていた。
-無慈悲-
今日の彼は沈んでいた。
理由は簡単だ。
隣りにあの人が居ない。
「アスラン・・先輩。」
だから声を掛けた。
私は貴方が好きだから。