彼女は最初から嫌だと言っていた。
押し切ったのは俺。
蠱惑的悪夢
-エンドレス-
「・・カガリは?」
「もう行ったよ?学校」
そう、親友は言っていた。
「そうか・・ありがとう、キラ。」
すんなりとアスランは学校へ向かう。
カガリが学校で居る場所は・・決まって、保健室か屋上か・・クラスだ。
「カガリ?」
ガラガラと音を立ててまずは保健室。
誰もいない。
「カガリ?」
次は屋上。
ギィッと思い扉を開ければ、信じられないほど青い空が広がる。
カガリの笑顔が想像できた。
きっと・・此処にいたら、幸せそうに笑っているのだろう。
そこで思考を止めた。
カガリは居ない。
最後、教室。
「・・カガリ?」
ソコにいたのは見知らぬ女子生徒。
こんな早い時間・・やっぱり人は少ない。
「・・・・・カガリ・・なら、いないけど。」
「そうか、ありがとう。」
躊躇いがちに言ったその子の心情を
アスランが察する日は来るのだろうか?
「・・・・・カガリ。」
誰もいない廊下で呟いた。
彼には彼女が居た。
だから黙っていた。
-無慈悲-
私は一学年年下で、
私が学校へ入ってきたときには、
彼には既に彼女が居た。
綺麗な人だった。
優しくて・・人気のある人だった。
到底、叶わないと、知らされている気分だった。
「カガリ」
彼が呼ぶのは決まって彼女の名前。
私は・・・きっと、視界に入ったことがない。
「メイリンは妹っぽいよね。」
その一言が痛かった。
後悔をしていた。
やっぱり、あの時頷くんじゃなかった。
-ミステイク-
キラが言ってくれた。
「明日は休んで良いよ。親には言っておくから・・」
その言葉に甘えて・・今引きこもっている。
何の解決にもならない。
「アスラン。」
私が悪い?
貴方が探しているのは私じゃない。
それが酷く虚しい。
-他人-
「好きです!!」
そう言った私には自信があったのかもしれない。
でも、彼はいともあっさりそれを拒否した。
「・・好きな人いるから。」
とても・・冷たかった。
けど、逆に興味をそそった。
振り向かせてやると・・・思った。
「・・カガリ・・見なかった?」
告白翌日のことだ。
「・・カガリ?」
「ああ・・」
辺りをキョロキョロとして・・彼は頬を染める。
「今日・・カガリの・・あとその双子の誕生日なんだ。」
とても嬉しそうだった。
手に持っていたのは、余りにも似合わないクマの縫いぐるみ。
「朝・・渡したかったんだけど・・ごたごたして・・無理で。」
事情を説明しだして・・・・その語る目が優しくて、嫌になった。
だから、聞いてやった。
「・・・なんで、私にそんなこと言うの?」
彼は・・一瞬戸惑ったような顔をして・・・直ぐに口にした。
「いや・・、、つい最近話したような気がしたから・・知り合いだと思って・・」
--------違った?
困った子犬のような顔だった。
「・・・・・・・・・・・知り合いじゃないわ。」
私の返答はそれだけだった。
----そして今日、
貴方はまだ「カガリ」を探している。
「・・・・・カガリ・・なら、いないけど。」
私は此処にいる。