彼女は最初から嫌だと言っていた。
押し切ったのは俺。
蠱惑的悪夢
-エンドレス-
「・・・だから・・俺と、別れた方が良いって・・?」
聞き返すように言われて・・カガリはコクンと頷いた。
その姿に、アスランは・・笑みをこぼす。
「な・・、何だよ!!」
真剣な話をしているのにと、眉間にしわを寄せたカガリに・・アスランはゆっくりと近寄っていた。
彼女は、ある意味、とても馬鹿だと思う。
ふんわりと抱きしめて、アスランは言葉を紡ぐ。
「・・馬鹿だな・・カガリは。」
思ったことを直接言った。
カガリは・・心外だと、怒ったように暴れたが、直ぐに大人しくなり・・アスランを見て言う。
「・・分かっただろ?私は馬鹿なんだ。お前みたいな頭の良い奴とは違うんだよ。だから・・・」
「・・本当に・・分かってないよ。」
背に回したはずの手を腰に下ろし、這いずるように優しく撫でる。
もう一つの手は、髪を撫でて、梳いて・・・顎まで引きずった。
「・・何処が・・良いか、教えてあげる。」
「え・・っ・・ぅん。」
深いキスをして、カガリを腕に閉じこめ、壁に背を付けさせる。
カガリが逃げないように。
「・・・俺を・・カガリはいつだって想ってくれる・・だから、好き。」
私じゃ幸せにしてあげられない・・・----そんなちょっと間違った思考だけど。
それだって、、俺を思ってのことだろう?
それだけじゃない。
強引なようで、とても優しい。
大胆なようで、とても繊細。
がさつなようで・・本当は、誰よりも可愛い。
「・・・聞こえた?」
何度でも言うよ。
そう・・翡翠の瞳に覗き込まれ、カガリは何も言えなくなってしまった。
代わりに、
耳まで真っ赤にして目をそらしていた。
彼には彼女が居る。
だから・・・・。
-無慈悲-
彼らはあれから再び一緒にいるようになった。
彼女は、私を見ると申し訳なさそうに目を伏せた。
彼は、私を見てから・・彼女を見て、ゴメンと、一言謝って・・
私にも頭を下げていた。
「カガリ」
そこには、優しい笑顔があった。
私の好きな、笑顔だった。
それを私が見ることは、きっと叶わないだろう。
「アスランさん」
さようなら。
貴方には最愛の彼女が居る
だから、
私は、
さよならです。
「アスラン」
あの時、頷くべきじゃなかったと。
思うのは今も同じだ。
それは・・・・きっと変わらない・・。
「・・どうした?」
大好きな空を見上げているのに、カガリは何処か淋しげだった。
「・・・メイリンを・・ミーアを・・・・・傷つけてしまった・・・」
私が、子供だったから。
恋愛が、分からなかったから。
溢れた涙を、アスランはふき取って・・・・カガリを抱きしめる。
「・・俺が悪いんだから・・カガリは、泣くな・・。」
後悔をしていた。
やっぱり、あの時頷くんじゃなかった。
-ミステイク-