12,無知



彼女は最初から嫌だと言っていた。

押し切ったのは俺。




蠱惑的悪夢



-エンドレス-




あれから、何とか一緒に帰って・・カガリを家まで送り届けた。
どうして、彼女が疲れたのか。

自分の何が・・そうさせてしまったのか。

アスランには全く分からなかった。













彼には彼女が居た。

だから黙っていた。





-無慈悲-




泣くだけ泣いても涙が止まらない。
酷い、と漠然と思った。

代わりでしかなかった。

その程度の存在だった。



私は・・・



「アスランさん・・」



好きだった。

あのアスランさんに比べれば小さかったかもしれないけど。


私は、


私は・・




「大好きでした・・っ・・」




届いてくれとは思わない。


届いても、


散るだけだ。













彼が疲れているのは
誰の目から見ても明らかだった。




-涙-




「・・・-----アスラン。」

「・・っ・・キラ・・」


泣きそうな声だった。



「・・・俺の・・何が、カガリを困らせてるのか・・分からない・・」

無闇に近づけないと、彼は言う。
恐いと、何度も何度も口に出して言っていた。

「・・嫌われて・・行くのが恐い・・でも、カガリが誰か物になる方が・・もっと・・恐い・・」


悪寒が走るそうだ。

自分以外の男の元で微笑む姿、泣く姿、あまつ・・抱かれる時なんて、考えられないと。

「・・そう言うところでしょ。」
「・・でも、これはカガリに対する愛情なんだ・・好きだから・・好きじゃない子に・・こんな事・・思わない・・」

「・・アスラン・・カガリの何処がそんなに・・」


答えなど、いつも・・決まっている。

キラもそれは知っていた。



「・・何処って・・馬鹿言うな・・全部だ。」


「それ・・カガリにもそう言ってるわけ・・・?」




ウザイよ。

ハッキリと一刀両断する。













後悔をしていた。

やっぱり、あの時頷くんじゃなかった。




-ミステイク-




何を間違えたのか、カガリには分からない。



「カガリ・・・・ちょっと・・話さないか?」

その言葉に、カガリは大きく溜息をついて歩き出した。
屋上・・カガリの大好きな場所。

「・・昨日はゴメン・・・首・・しめるようなコトして。」

律儀に謝る姿がアスランらしい、だが・・。
「・・私は・・」

「・・・キラに言われたんだ。カガリは・・俺がカガリの何処が好きなのか分からないって、なんで、そんなに思ってくれてるのか・・分からないから困惑してる・・、、そうなのか?」

「・・それもあるけど・・それだけじゃない・・・。」


いっぱいあり過ぎて分からない。


私より、全てが出来る男だ。

アスランは顔も、性格も・・全部が、いい男だ。



私が・・

何をどう頑張ったって釣り合うはずがない。



なのに、



お前は私を愛していると言ってくれる。









分からない。








分からない、理解できないアスランを私は・・愛せない。



















貴方が探しているのは私じゃない。
それが酷く虚しい。




-他人-




彼は少し切なそうに彼女の名を呼び、そして二人で消えてゆく。

どうだって良いことだ。


もう、


私は屋上には行かない。


綺麗な空の中に・・



いつだって、アスランはカガリの笑顔を思い出していたんだ。









彼女は空が大好きだから。































「私は、お前に釣り合わないと思うんだ。」
綺麗な空を眺めてカガリはそう口にした。

「何で・・・何処が・・・?」

アスランからしてみれば、考えても居ない回答だった。
釣り合わない?


「お前が私に執着するわけも分からない。好きと言われても・・意味が、理由が・・分からない。」


カガリは言う。

私より、良い子は沢山居る。

メイリンにしろ、ミーアにしろ。



「アスランには・・その子達の方が、絶対にあうと思うんだ。」



だから。

「アスランが・・周りを見られないほど、私の何に填ったか私には分からないけど・・・・私は、お前ほど、愛を捧げられないから。だから、他のこと一緒になった方が良いぞ。」


疲れたと。

お前の愛が重いから、


私はその分を返せないから。


だから。




「別れた方が良いって・・ずっと、思ってたんだ。」































































+++++
あとがき
ホント淡々と進む・・・。。。
2006/08/28