彼女は最初から嫌だと言っていた。
押し切ったのは俺。
蠱惑的悪夢
-エンドレス-
あれから、何とか一緒に帰って・・カガリを家まで送り届けた。
どうして、彼女が疲れたのか。
自分の何が・・そうさせてしまったのか。
アスランには全く分からなかった。
彼には彼女が居た。
だから黙っていた。
-無慈悲-
泣くだけ泣いても涙が止まらない。
酷い、と漠然と思った。
代わりでしかなかった。
その程度の存在だった。
私は・・・
「アスランさん・・」
好きだった。
あのアスランさんに比べれば小さかったかもしれないけど。
私は、
私は・・
「大好きでした・・っ・・」
届いてくれとは思わない。
届いても、
散るだけだ。
彼が疲れているのは
誰の目から見ても明らかだった。
-涙-
「・・・-----アスラン。」
「・・っ・・キラ・・」
泣きそうな声だった。
「・・・俺の・・何が、カガリを困らせてるのか・・分からない・・」
無闇に近づけないと、彼は言う。
恐いと、何度も何度も口に出して言っていた。
「・・嫌われて・・行くのが恐い・・でも、カガリが誰か物になる方が・・もっと・・恐い・・」
悪寒が走るそうだ。
自分以外の男の元で微笑む姿、泣く姿、あまつ・・抱かれる時なんて、考えられないと。
「・・そう言うところでしょ。」
「・・でも、これはカガリに対する愛情なんだ・・好きだから・・好きじゃない子に・・こんな事・・思わない・・」
「・・アスラン・・カガリの何処がそんなに・・」
答えなど、いつも・・決まっている。
キラもそれは知っていた。
「・・何処って・・馬鹿言うな・・全部だ。」
「それ・・カガリにもそう言ってるわけ・・・?」
ウザイよ。
ハッキリと一刀両断する。
後悔をしていた。
やっぱり、あの時頷くんじゃなかった。
-ミステイク-
何を間違えたのか、カガリには分からない。
「カガリ・・・・ちょっと・・話さないか?」
その言葉に、カガリは大きく溜息をついて歩き出した。
屋上・・カガリの大好きな場所。
「・・昨日はゴメン・・・首・・しめるようなコトして。」
律儀に謝る姿がアスランらしい、だが・・。
「・・私は・・」
「・・・キラに言われたんだ。カガリは・・俺がカガリの何処が好きなのか分からないって、なんで、そんなに思ってくれてるのか・・分からないから困惑してる・・、、そうなのか?」
「・・それもあるけど・・それだけじゃない・・・。」
いっぱいあり過ぎて分からない。
私より、全てが出来る男だ。
アスランは顔も、性格も・・全部が、いい男だ。
私が・・
何をどう頑張ったって釣り合うはずがない。
なのに、
お前は私を愛していると言ってくれる。
分からない。
分からない、理解できないアスランを私は・・愛せない。
貴方が探しているのは私じゃない。
それが酷く虚しい。
-他人-
彼は少し切なそうに彼女の名を呼び、そして二人で消えてゆく。
どうだって良いことだ。
もう、
私は屋上には行かない。
綺麗な空の中に・・
いつだって、アスランはカガリの笑顔を思い出していたんだ。
彼女は空が大好きだから。
「私は、お前に釣り合わないと思うんだ。」
綺麗な空を眺めてカガリはそう口にした。
「何で・・・何処が・・・?」
アスランからしてみれば、考えても居ない回答だった。
釣り合わない?
「お前が私に執着するわけも分からない。好きと言われても・・意味が、理由が・・分からない。」
カガリは言う。
私より、良い子は沢山居る。
メイリンにしろ、ミーアにしろ。
「アスランには・・その子達の方が、絶対にあうと思うんだ。」
だから。
「アスランが・・周りを見られないほど、私の何に填ったか私には分からないけど・・・・私は、お前ほど、愛を捧げられないから。だから、他のこと一緒になった方が良いぞ。」
疲れたと。
お前の愛が重いから、
私はその分を返せないから。
だから。
「別れた方が良いって・・ずっと、思ってたんだ。」
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あとがき
ホント淡々と進む・・・。。。
2006/08/28