第九話:逃げた先








あれから、アスランは存在が消えたように・・・・クラスに姿を見せなくなった。

授業はいるのだが・・・・終わればいつの間にか消えている。


-------ミーアも・・・ディアッカも、みんな必死に探していた。


・・でも、なんとなく・・・・いる場所が分かるような気がして、

カガリはその鉄のドアを開けてしまう。









「アスラン、いるんだろ。」

部屋は・・暗かった、けれど・・・何となくいる気がする。

思い出したのは・・・始めてであったときで、あの時と同じ匂いがしていた。


焼ける・・匂い。


パチンと化学室の電気をつけて・・・・大きな机の下を全部覗いて歩く。
途中・・・・・フッと鉄の匂いもして、さっきまで此処にいたんだと思った。

「----私の・・せい、なのか・・・。」


酷い罪悪感があった、やっぱり・・・彼には、私がいてやらないといけない。

そう・・思った・・・・・・けど、


「それじゃあ・・何の解決にもならない・・・・」


恋心を・・見つけないと。

でも・・・・本当に、分からない。

そう思って・・でも、でもと・・頭を振るっていた。


駄目だ、彼は・・・・


すくなくとも、今は---------駄目だ。


なら・・・

矛盾した答えだったのかもしれない、間違った・・答えなのかもしれない・・。


けど、




「放っておけない・・・。」

罪悪感を・・・はらす、手段だったのかもしれない。

けど・・カガリは駆けだしていた、そう・・遠くには行ってないはずだから。

そうして・・化学室を出ようとすると・・・・・逆にドアを開けられる。





「---------・・っ・・アスランっ」





「・・・カガリ。」



逢いたかった。そう、口にしようとして・・・・・・・・・・・・・けどアスランは思いっきり、背を向けていた。


「聞いてたんだろ?アフメドとの会話・・・」

言ったこと自体が・・嘘だとは、自分自身まだ思えない。けど・・・

「傷つけて・・ごめん。」


「・・・聞いてた、--------・・・同情・・・だったんだって・・・な」


キスも、

俺は・・


「本気だった・・・・でも、未熟なのは俺で、どうしようもなかった。」


君と約束したのに。

生きることが嫌になったら・・すぐ、



---------死を求める。





前とは違う。

生きているか死んでいるかじゃない、死にたい。








淋しそうに・・言う、アスランの背中に・・カガリは優しく抱きしめていた。

好き?

同情?




何だって良かった。




「・・・これも・・・・同情?」

「分からない。」

でも




「傍にいたい。」



「・・・・・。」

「いても良いか?」



いても・・いいか、なんて。

俺は・・・・


「うん・・いて。」


離さないでいい。




ずっと・・






------------------側にいて欲しい。





後ろから・・・抱きしめたカガリに向き直り、そっと抱き寄せる。

強引に出来ないのは・・・・臆病だから、捕まえたら・・消えてしまいそうな気がする。


「・・・傍に・・いて。」


壊れないように・・その、同情だけで良いから。

俺は・・まだ、未熟で・・・・


でも。




-----------------今は、こんな形でもいい。




君がいてくれるなら。









「切ったのか?」

「ごめん」

「焼いたのか」

「・・・ああ。」


暗い・・所に、置いてきてしまったんだな。

でも・・・・・・



「--------馬鹿だろ。」


「----・・うん・・・・」



そう言って・・カガリはぽかぽかと胸元を叩いてからアスランの瞳を見る。

「切ったら・・・・・・・・・・一ヶ月・・二ヶ月、口聞かないからな。」


「・・・分かった。」











好きかどうか分からない。


けど、


傍にいたいと思ったのも・・支えたいと思ったのも


----------全部、本当なんだ。















後悔する日が、良い意味で悪い意味で・・・来るような気がした。









矛盾だらけの選択肢。





でも----------






最善の選択肢だった。




































































+++++
あとがき
最高の逃げ道、友達以上・恋人未満。
2006/07/07