第八話:言葉無き暴力








どうすれば・・いいのか、分からなかった。
誰もいない化学室でグルグルと考える。
答えはない。

-----------君が、教えてくれない。

導いて・・・・・・くれない。

・・・・こんな・・事をしているから・・・・俺はいつまで経っても駄目なんだ。

理解していた、けど・・

それを・・直すのは・・・・・・無理だ。












そういえばと・・カガリは思う、もうじき・・バレンタインデーだ。
あと三日ほど・・・丁度いい、作って渡して謝ろう。
喧嘩だけはしたくないとカガリは思う、喧嘩したら・・・・・アスランは誰に本音を言えばいい?


-----------・・・-----・・。

・・・やっぱり・・私はアスランに恋をしているんだろうか?

・・・・。


分からない・・・。











あれから・・三日、アスランは何だかよく分からない・・今までにない精神状況に立たされていると自覚する。

眠れない。


-------眠りたくない。


何か・・嫌な夢を見る気がして・・それに、寝たら何かが終わってしまう気がする。

今日が・・終わる?-----寝ていても、起きていても、終わるものは終わるのに。



グルグルと・・・答えのでない迷路だ、




----------なんで、出られない、一人では出られない?

こんなに俺は非力なのか、だから・・カガリに同情されたままなのか?


じゃあどうすればいい、


他の女の子なんて・・見る気もしない、---それは、視界が狭いと言うことなのか、それではまたカガリに心配されてしまう。

なら、他の女の子と付き合って・・大丈夫だと見せてやればいいのか?----------どうせ、振って泣かせるのに?

そんな女泣かせ、きっとカガリは嫌いだ。

では・・


なら、






---------どうすればいいっていうんだよ。












「・・ころごろ・・アスラン元気ないよね。」
「・・・・私の・・せいだ、大丈夫、今日仲直りするから!」

そう言ってカガリはキラに作ってきたチョコレートを見せる。
「うわ・・食べれるの?それ。」
「殴るぞ?」
そう言ってから・・・教室の角で仮眠を取るアスランに近寄り・・そっと、肩を叩いた。
けど・・起きなくて、「おい」と話しかける。

ビクッと・・・・・・肩が動いて、アスランはハッと顔を持ち上げた。


「これ・・チョコ、たくさん・・貰ってるだろうけど-------------・・。」
はにかんで・・笑うカガリは可愛かった、けど・・その笑顔に、アスランは悲しさを感じる。

これも同情?

沢山貰っている・・けどそれはほとんど知らない子達から。
本当の俺を知らない・・・知っていたら、きっとくれない。

---けど君はくれる。

つまらない・・・人間だと、承知の上でくれる君は・・・。



「いらない・・。」




同情の・・チョコレートなんて、いらない。




「アスラン?」



「-------いらないって、言ったんだ。」



キッと・・・睨んだ、アスランに、カガリも少し腹の虫を悪くする。

アスランが・・受け取って、こないだのことは悪かったと謝りたいだけなのに。


「・・・---------そうか、なら・・・いいよ。」


けど・・こんな所で怒っては元も子もない。

我慢して・・アスランの机に座る。


「----・・・・眠いんだ・・退いてくれないか。」
「・・寝てなかったろ、さっき。」
「・・・・ああ、でも今は眠い。俯せていたい。」

アスランからの・・拒絶の言葉に、カガリは内心淋しくなるのを感じていた。

親離れ・・される気分?

---------それとも、好きな人に・・突き放された気分?


なんだか・・その気分に、腹が立って・・・・・カガリはアスランの傍から離れる。


「おっ、カガリ!振られたのか、アスランに!」

「馬鹿、勘違いするなっ・・・-------・・あ、これいるか?」

「お、らっき〜カガリのチョコなら結構高値で売れるんだぜ〜」

そう笑って・・・言うディアッカに、カガリは笑い・・・それをアスランは眺めていた。
そしてまた俯せる。





-----カガリを・・怒らせたい・・なんて、有り得ないのに。

嫌なんだ。

俺のことを・・同情の対象としか思っていない君、それをどうしようも出来ない俺。

そして・・傷つける。---傷つく。



----------痛い。




今なら切らなくても分かる、胸が・・心は、昔も今も叫んでいるんだ。

治ったはずだった











---------こんな暗い気持ち、二度となりたくない。




誰にも・・見せられない。



カガリにも・・・・・・・・・





----------これ以上、同情なんてされたくない。















帰り・・薬局により、軽い睡眠薬を買う。

今は・・身体のためにも寝て、ともかく体力を回復しよう。

病は・・気から、なら逆も然りだ。

家について・・・・・・・・・・・その薬を飲み、ベットに倒れる。









早く寝たい。



考えたくない。




・・・・・・・・









--------------もう、考えられなくなってしまいたい。













「あれ・・アスランは?」
「先帰っちゃったのかな・・」
そう双子は顔を見合わせて・・・・カガリは少し哀しそうに微笑んだ。
キラも・・そんなカガリに優しく微笑む。


「---------仲直り・・したかったんだ、私は・・でも・・っ」

「うん。分かってるよ。」







泣きそうになった姉に手を差し伸べて・・・キラは小さく笑って見せた。






































































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あとがき
キラ様は神です(笑)少し離れたところから見守ってます。
2006/07/04