第二話:クラスメイト








朝・・いつも通り、アスランは早めに学校に来る。
家が・・・・・嫌いだったから。
そして誰もいない教室で・・アスランは俯せて寝ていた。





「おはよ!カガリ!」
「ん!おはよ!!」

そう・・何度目とない挨拶を交わし・・カガリはまた一点に集中しだす。
それをみて・・キラを始め他のクラスメイトも・・その一点を見ていた。

「・・綺麗・・だよな・・」
「・・カガリよりね。」

「失礼だな、キラっ!!」

徐に・・携帯を取り出し、カメラにして・・それを写した。
カシャッ・・・

「ぅ・・ん?」
「あ!おはよ!!アスラン!!」

「・・・・・---------・・え?」

急いで携帯をしまい、カガリはまるで何もなかった様に・・寝ていたアスランに話しかけ、アスランは驚いてみせる。
だって・・・

「お前、寝顔綺麗だったから・・・思わずみんなでみとれてたんだよ!」

アスランの周りに・・・十四五名が・・・・・いるんだから。

「アスランッ!ホント君綺麗だった、女装させたいくらい!!」

バンバンと・・キラ・ヒビキに背を叩かれ、目の前からはディアッカと呼ばれる男子に、指を指して笑われている。
その周りにいる・・ミリアリア・ハウ・・・・・学級委員のサイ・アガール・・・その他にも・・沢山。

「何キョトンとしてるんだよ!アスラン!!」

「いや・・」

どう・・反応して良いか分からず・・少々困ってしまう、だが・・直ぐに、カガリはそれを察知したのか話を始めていた。
「昨日さ〜化学室行ったのに、クルーゼ先生いなくて・・でもアスランがいてな!勉強教えてもらって・・」
特別・・面白いことなど、何もなかったはずなのに・・・・・カガリが言うと妙に面白くて・・本人は真剣で、・・それにみんな笑い出す。
アスランからも・・自然と笑みが零れて、それをみて・・カガリがニッコリとするのにも・・アスランは気が付いていた。




休み時間になり・・廊下を歩いていると、・・・急に、ひょこっと・・横から話しかけられて、アスランはびっくっとしていた。

「その反応・・露骨すぎて傷つくぞ?」

「・・すまない。」

礼も・・言わなければ。
そう・・思って口を開こうとすると・・・・カガリの方が早く開いていて・・言葉を続けられてしまう。

「でさ!今日・・うちこないか!キラがアスランとゲームしたいんだって!」
「え・・?」

キラ・ヒビキ・・この子の・・双子の弟。
なんで・・?さっき一度話したきりなのに?

「いいか?」

「ああ・・・」

「ん!良かった、じゃ、今日は三人で帰ろうな!!」

変な奴だな。
そう思って・・顔を見ていると、相手は「顔に何か付いてるか」と訪ねてきたので・・アスランは頭を横に振った。








放課後になり・・・・・・気が付いたら、アスランの横には双子がいて、一緒に歩いている。

--------・・なにが・・どうなって、こうなったんだ?

人とは・・距離を置いていたし、・・・・・いや、こうやって・・人と・・・・歩けるのは嬉しいのだが・・・・だが・・。
「アスランは何が好き?私は・・甘いものも辛いものも好きだぞ!」
「カガリ、もうちょっと女の子らしい会話してよ、食い意地這ってるのばれちゃう。」
「お前に言われたくないぞ!!美味いものしか食べない癖に!!」
「僕じゃなくて今はアスランッ!ね?アスラン、何が好き?!」
「そうだっ!!アスラン、お前は何が好きなんだっ!!!」

「------・・ロール・・キャベツ。」

二人に・・・・のぞき込まれて、一瞬困ったが・・・・・何となく素直に言葉が出ていた。
そして・・それを聞き終えると、キラとカガリは二人でぱんっと手を合わせる。

「「じゃ、今日の夕食はロールキャベツ!!」」

「ふーん・・良かったな。」

そう言うと・・カガリに「馬鹿っ何言ってるんだよ」と背中を叩かれていた。

「?」

「お前も食べるんだ!!」

「は?」

「え?アスラン食べない気だったの?!」

「え・・ちょ・・」

「大丈夫!家には友達と食べるって言えば良いだけだろ?」

強引・・だとおもう・・。けど、


「・・いい・・のか?」


聞いてしまったのだ。

「いいに決まってるだろ?な、キラ」
「当たり前でしょ?」


--------なんだか・・嬉しくて。




そうして・・歩いていくと、ヒビキ家につき・・・中から、息子そっくりの母親が出てくる。
「あら!お友達?」
「うん、それと・・今日の夕飯はロールキャベツがいいなぁ〜。」
「アスランの分もな!」
「はいはい、アスラン・・君?・・仲良くしてやってね。この子達と。」
結構やんちゃだから・・と、念を押され・・アスランは頭をぺこりと下げていた。

その態度に・・ビックリしたのか・・
「キラ・・カガリ、今回は随分と礼儀正しい子ねぇ・・」
「だろっ!」

まるで・・自慢であるかのようにカガリが言って、アスラン自身驚いてしまう。
正直・・・・仲良くして貰っているのはアスランの方で・・・・・・、今のこの母親の言葉に、内心震えたのだ。
二人は・・自分たちが面倒を見ていると・・思ってるはずだと感じていたから、けど・・・

「何ボーっとしてるんだ?早く・・っ」
「ゲームゲーム!!」

まるで・・友達のように、扱ってくれていることに・・驚きを隠せない。
「ああ・・。」
まだ・・少し戸惑いながらだったが、アスランはハッキリと・・そう言って、二人の家に上がっていた。





「・・・・。」
「・・・・・・・。」

「・・・、あ、アスラン負け。」

ズンっっと、アスランの中に・・今まで感じたことがない、敗北感が生まれる。
「よしっ・・じゃ、次は私と・・」
「ちょっとまってくれ・・・リベンジする。」
「はぁッ!?ずるいぞ!私だって・・・」
「そうそう、アスランはカガリに勝ったらまた僕とやれるでしょ?」

ただの格闘ゲームだ。-------そう・・思っていたが・・・案外負けるとムカツク。
正直・・今まで誰にも・何ででも負けたことのないアスランからしてみれば・・相当の痛手だったのだ。

「そうだっ、私と勝負してからっ!!」
「・・・・分かった。」

そう・・苛ついたままカガリと対戦し・・・・・在ろう事にカガリにも負けてしまう。

「あー・・残念っ!」
「でも、初心者にしては・・上等だよなっ!」

その・・カガリのフォローの声も、アスランの隠された負けず嫌いに・・・・灯油を注ぐだけだった。
次・・次こそ勝ってやる。
一瞬・・アスランの目に、そう・・炎が映り・・・・・それからは本当に死闘となる。


-------・・二時間後。


「アスラン上達するのはやいぞ!!!」
「僕の方がまだ勝算上だもん!!」
「直ぐに抜かしてやるさ!」

「なんだよっ私は眼中に無しかッ!!見てろ、足下掬ってやる!!!!」

ギャーッと三人で騒いで・・でも、やっぱつかれかたらと勝敗を先延ばしにしてゲームの電源を切った。
「目・・いたい。」
「あ、目薬つけるか?」
「あっ!僕も!!」
そう言うと・・カガリは、目薬を持ち出して、キラの目にさしてやっていた。
そして・・そのままそのノリでアスランの方にも寄ってくる。

「ほら、上向け!」

「ああ・・ありがとう。」

そう言うとその子の細い指先がアスランの目に触れて・・冷たいものが目に入りヒンヤリとした。
もう片方の目も・・・そのままやってくれる。


「どうだっ!巧いだろ!!」

嬉しそうに笑う・・その子にアスランも笑顔を返していた。


「キラ〜、カガリ〜、アスラン君も、夕ご飯だから降りてきて手伝って頂戴〜!」

「あ、ご飯だ、いこ!」
「ロールキャベツか・・久しぶりだなっ」

そう・・歩き出した二人と共に、アスランも自然と歩いていて・・・階段を下ったところでそれに気が付き、カァッと顔を赤く染める。


--------今・・当然だと思って歩いていた。


それが・・なんだか、新鮮で・・・なによりくすぐったい気がする。

「?アスラン」
「・・・いや・・・その・・」


"ありがとう"


「・・・うんっ、いこッアスラン!」

その・・アスランのぎこちない笑顔を見て、カガリは満面の笑みを浮かべアスランの手を取り、リビングへと歩き出す。


握られている自分の手が、妙に暖かい気がして-------









・・優しく握り返していた。




































































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あとがき
アスカガってこんな感じ・・・?
2006/06/25