「アスランっ・・」
切りつめた声を上げたのはカガリで・・アスランはその声の理由を良く知っている。
「おはよ!アスラン!!」
「おはよ。」
今日のまともな会話、
--------たった・・それだけだった。
カガリは怒ったのだと直ぐに感じて、アスランの腕を奪いこちらに振り向かせる。
謝ろうにも謝れないじゃないか。
説明しようにも・・・・
あるのはただ憤りで、アスランを睨んでいた。
「・・----何?」
「・・・・--・・っ・・。」
アスランは悪くないのに・・なんでこんなにアスランに苛立ちを感じるのだろう。
元をたどれば・・自分がアスランに告げなかったのがいけないのに・・・。
でも、それは・・アスランのためを想って・・っ・・
-----------ダメだ。
こんな・・心では、きっとアスランを責めてしまう。
お前にだけは傷ついて欲しくなかった。
なのに・・---------私が責めて、どうするんだよ。
「・・用がないなら・・いくけど。」
冷たく吐かれた言葉に、カガリはその腕を払い背を向けた。
その小さな背中に、アスランは深い裏切りを感じる。
俺は・・・
---------どうしたらいいんだ?
君の恋を応援すれば・・・いい?そんなこと出来るはずがない。
なら、俺だけを見てと頼めばいい・・・?--------また、同情を引くために。
違う。
俺は・・、
君に、愛して欲しい。
もうアスランには写真を追求しようと言う気さえなかった。
追求して・・真実を知るのが嫌なのだ。
カガリが・・好きなのはイザーク。
-----------そんな真実は知りたくない。
でも、カガリは気が付いてしまった。
俺が怒っている原因、なら・・・
君の口からは・・一体何が飛び出るんだ?
裏切りの言葉・・・・・・。
----------聞きたくない。
だから・・
君とは話したくない・・。
でも傍にいたい。
どうしようもない矛盾に・・かられて、考えたくなくなり学校でも睡眠薬を使おうかと考える。
授業でいくら集中していても、前の席にいるカガリを見れば、また心が痛くなるから。
やってしまった・・。
そう、、、、カガリは深い溜息をつく。
今凄くアスランは傷ついているに違いない。
---------私が、傍にいて・・支えていてやりたいのに・・・
傷つけたのも私だ。
・・・・くそ。
そう悩みながらも・・猪突猛進なカガリが止まるはずなく・・放課後、泣きそうになりながらアスランに声を掛けていた。
誤解を解きたかった、
他の誰に・・何度二股女と言われようと、どうだってよかった。
アスランが・・--------傍で、幸せそうに笑ってくれるなら・・・
アスランが、苦しまなければ・・・・・・・・・・
---------それでいい。
「何で・・避けるんだっ!!」
「・・・。」
帰り・・・まだ人通りの多い中、カガリはアスランの腕を放そうとしない。
言ってくれるまで離さないからな・・、、、そう睨まれて、アスランは深く溜息をつく。
どうしたらいいのか・・分からない。
ともかく此処では目立つので・・誰もいない公園へと足を踏み入れた。
「--------・・これ。」
それを見せるのが精一杯だった。イザークが・・下着姿のカガリに抱きついた写真。
これは事実だ・・。なら・・理由が知りたい。
その写真を見てカガリは少しショックを受けたようにして・・アスランに抱きついてきた。
「これは・・勘違いだ、私は何も・・イザークだって、何もしてない。」
本当だ、信じてくれと・・・泣きながらカガリはアスランの肩に身を埋める。
その震える肩に、どうしていいか分からなくて・・・アスランはカガリを引き剥がし、「どうしてこうなったんだ?」と訪ねた。
「・・私が・・・・-------・・」
男に・・ユウナに・・・
原因は女子で・・ユウナはこの学校にもういないから、きっとその女子がアスランの所に・・・
その女子はアスランのことが好きで、前から私に嫌がらせをしていて・・・・
「・・・・・カガリ?」
言えない。
アスランのせいだ・・なんて、言えない。
だって・・アスランは・・・-----------
自分のせいだと思ったら・・・・・・・・・・・凄く傷つくから。
私のせい・・なら、もっともっと・・軽くなるのか?
アスランは何も悪くない。
私は・・・
--------・・アスランを、苦しめたくない。
「・・言えない・・。」
少し・・考えて、出てきた結果がそれ?
--------・・あんまりだ。
「・・カガリは・・そういう女だったのか。」
俺に誤解だと言って、それなのに説明できないような間柄に・・イザークとなっているのか。
「ちが・・」
「じゃあ・・なんで言ってくれないんだ・・・。」
悲しみの口調ではない。
怒りの口調で・・・・・・・・俺はカガリを責めていた。
カガリを責めたいわけじゃない、けど・・でも、
俺と君はとても曖昧で・・・--------・・俺はいつも君に振り回される。
こんなに・・好きなのに、愛して欲しいのに。
君は・・・
「----------・・俺で、遊んでいるのか?」
違う。
傍にいてくれと・・頼んだのは俺だ。
俺は・・こんな我が儘、言っちゃいけない。カガリは・・
「同情して・・一緒にいてくれてるんだろ?」
「・・何で・・っ・なんで・・そんな事・・いうんだよぉ・・」
なんで?
--------俺は・・・
「・・二股を駆けないで欲しい。-------・・俺は・・」
違うのに、
違うと言っているのに。
なんで・・アスランまで・・・お前にまで
「なんで・・そんなこと、言われなきゃならないっ!!!!!!!!!!!!!」
守っていたのは私だ。
--------お前を・・守りたくて、私はこうしているのに。
なんでそのアスランにまで・・・
---------------こんな事、いわれなくちゃいけないんだ!!!!!!!
「私が・・二股なんて・・そんな・・馬鹿みたいな事・・・」
お前にまで・・・
アスランにだけは
「するはずないって・・・----------------アスランは、思ってくれると・・解ってくれると思ってた!!!!!!!!」
言われたくなかった。
アスランにだけは・・誤解して欲しくなかった・・・だから、こうやって、来ているというのに。
叫んで・・カガリは公園から走り出していた。
もう知らない、アスランなんて・・知らない。
私は・・ずっとずっと、
アスランのためだけを思って我慢していたのに、辛くても・・耐えてきたのに・・、傷つけたくなかったのに・・・
----傷つけて、
自分も・・・傷ついた。
理解してくれない事への怒りと、アスランをまた傷つけてしまった罪悪感で涙がこぼれる。
泣かないって・・決めたのに。
-----・・・でも、私は・・・。
「アスラン・・っ・・」
守りたかった。
自分を・・傷つけてでも、なのに。
両方とも・・ボロボロだ。
-----何をやっているんだろう。
走り去って・・行ってしまったカガリに、アスランは言いようのない切なさに胸を占められる。
"--------アスランは、思ってくれると・・解ってくれると思ってた!!!!!!!!"
・・・カガリ・・。
「・・・っ・・・・。」
不安定になる、カガリが・・離れていってしまうと思うと・・・・・・・・凄く恐くて、周りが見えない。
君も・・見えなくなって、
-----------・・そして、君を泣かせる。
あの涙に・・嘘はない。
俺が・・
君を責めて・・泣かせてしまった。
-----------・・君は・・俺の傍から・・離れていってしまうだろうか?
ぞくっと・・自分の思考に背筋が震える。
俺のせいでカガリを泣かせ、そして俺に傷つけられたカガリは・・・
-------俺を嫌いになる?
もう・・側には居てくれない・・。
「・・・・嫌だ・・」
俺のせい・・・・・・・俺が悪い、だから・・でも・・。
「離れないで・・。」
謝るから・・・嫌いにならないで、置いていかないで。
俺には・・君しかいないんだ。
君じゃないと・・
---------駄目なんだ。