第十八話:死刑宣告



「アスランっ・・」

切りつめた声を上げたのはカガリで・・アスランはその声の理由を良く知っている。











「おはよ!アスラン!!」

「おはよ。」

今日のまともな会話、




--------たった・・それだけだった。








カガリは怒ったのだと直ぐに感じて、アスランの腕を奪いこちらに振り向かせる。
謝ろうにも謝れないじゃないか。
説明しようにも・・・・
あるのはただ憤りで、アスランを睨んでいた。

「・・----何?」

「・・・・--・・っ・・。」

アスランは悪くないのに・・なんでこんなにアスランに苛立ちを感じるのだろう。
元をたどれば・・自分がアスランに告げなかったのがいけないのに・・・。
でも、それは・・アスランのためを想って・・っ・・

-----------ダメだ。


こんな・・心では、きっとアスランを責めてしまう。
お前にだけは傷ついて欲しくなかった。

なのに・・---------私が責めて、どうするんだよ。

「・・用がないなら・・いくけど。」

冷たく吐かれた言葉に、カガリはその腕を払い背を向けた。
その小さな背中に、アスランは深い裏切りを感じる。
俺は・・・

---------どうしたらいいんだ?

君の恋を応援すれば・・・いい?そんなこと出来るはずがない。

なら、俺だけを見てと頼めばいい・・・?--------また、同情を引くために。


違う。

俺は・・、



君に、愛して欲しい。

もうアスランには写真を追求しようと言う気さえなかった。

追求して・・真実を知るのが嫌なのだ。


カガリが・・好きなのはイザーク。

-----------そんな真実は知りたくない。

でも、カガリは気が付いてしまった。

俺が怒っている原因、なら・・・

君の口からは・・一体何が飛び出るんだ?



裏切りの言葉・・・・・・。



----------聞きたくない。


だから・・


君とは話したくない・・。

でも傍にいたい。

どうしようもない矛盾に・・かられて、考えたくなくなり学校でも睡眠薬を使おうかと考える。
授業でいくら集中していても、前の席にいるカガリを見れば、また心が痛くなるから。







やってしまった・・。

そう、、、、カガリは深い溜息をつく。
今凄くアスランは傷ついているに違いない。
---------私が、傍にいて・・支えていてやりたいのに・・・
傷つけたのも私だ。
・・・・くそ。
そう悩みながらも・・猪突猛進なカガリが止まるはずなく・・放課後、泣きそうになりながらアスランに声を掛けていた。
誤解を解きたかった、
他の誰に・・何度二股女と言われようと、どうだってよかった。
アスランが・・--------傍で、幸せそうに笑ってくれるなら・・・

アスランが、苦しまなければ・・・・・・・・・・

---------それでいい。









「何で・・避けるんだっ!!」

「・・・。」


帰り・・・まだ人通りの多い中、カガリはアスランの腕を放そうとしない。
言ってくれるまで離さないからな・・、、、そう睨まれて、アスランは深く溜息をつく。
どうしたらいいのか・・分からない。
ともかく此処では目立つので・・誰もいない公園へと足を踏み入れた。

「--------・・これ。」

それを見せるのが精一杯だった。イザークが・・下着姿のカガリに抱きついた写真。
これは事実だ・・。なら・・理由が知りたい。
その写真を見てカガリは少しショックを受けたようにして・・アスランに抱きついてきた。

「これは・・勘違いだ、私は何も・・イザークだって、何もしてない。」

本当だ、信じてくれと・・・泣きながらカガリはアスランの肩に身を埋める。
その震える肩に、どうしていいか分からなくて・・・アスランはカガリを引き剥がし、「どうしてこうなったんだ?」と訪ねた。
「・・私が・・・・-------・・」
男に・・ユウナに・・・
原因は女子で・・ユウナはこの学校にもういないから、きっとその女子がアスランの所に・・・
その女子はアスランのことが好きで、前から私に嫌がらせをしていて・・・・

「・・・・・カガリ?」

言えない。
アスランのせいだ・・なんて、言えない。
だって・・アスランは・・・-----------
自分のせいだと思ったら・・・・・・・・・・・凄く傷つくから。
私のせい・・なら、もっともっと・・軽くなるのか?
アスランは何も悪くない。
私は・・・

--------・・アスランを、苦しめたくない。

「・・言えない・・。」

少し・・考えて、出てきた結果がそれ?


--------・・あんまりだ。


「・・カガリは・・そういう女だったのか。」

俺に誤解だと言って、それなのに説明できないような間柄に・・イザークとなっているのか。
「ちが・・」
「じゃあ・・なんで言ってくれないんだ・・・。」
悲しみの口調ではない。
怒りの口調で・・・・・・・・俺はカガリを責めていた。
カガリを責めたいわけじゃない、けど・・でも、

俺と君はとても曖昧で・・・--------・・俺はいつも君に振り回される。

こんなに・・好きなのに、愛して欲しいのに。


君は・・・


「----------・・俺で、遊んでいるのか?」




違う。

傍にいてくれと・・頼んだのは俺だ。

俺は・・こんな我が儘、言っちゃいけない。カガリは・・


「同情して・・一緒にいてくれてるんだろ?」

「・・何で・・っ・なんで・・そんな事・・いうんだよぉ・・」


なんで?

--------俺は・・・



「・・二股を駆けないで欲しい。-------・・俺は・・」









違うのに、

違うと言っているのに。


なんで・・アスランまで・・・お前にまで





「なんで・・そんなこと、言われなきゃならないっ!!!!!!!!!!!!!」

守っていたのは私だ。

--------お前を・・守りたくて、私はこうしているのに。

なんでそのアスランにまで・・・


---------------こんな事、いわれなくちゃいけないんだ!!!!!!!


「私が・・二股なんて・・そんな・・馬鹿みたいな事・・・」

お前にまで・・・

アスランにだけは


「するはずないって・・・----------------アスランは、思ってくれると・・解ってくれると思ってた!!!!!!!!」


言われたくなかった。
アスランにだけは・・誤解して欲しくなかった・・・だから、こうやって、来ているというのに。
叫んで・・カガリは公園から走り出していた。
もう知らない、アスランなんて・・知らない。

私は・・ずっとずっと、

アスランのためだけを思って我慢していたのに、辛くても・・耐えてきたのに・・、傷つけたくなかったのに・・・

----傷つけて、


自分も・・・傷ついた。




理解してくれない事への怒りと、アスランをまた傷つけてしまった罪悪感で涙がこぼれる。

泣かないって・・決めたのに。


-----・・・でも、私は・・・。


「アスラン・・っ・・」

守りたかった。


自分を・・傷つけてでも、なのに。




両方とも・・ボロボロだ。




-----何をやっているんだろう。













走り去って・・行ってしまったカガリに、アスランは言いようのない切なさに胸を占められる。

"--------アスランは、思ってくれると・・解ってくれると思ってた!!!!!!!!"

・・・カガリ・・。



「・・・っ・・・・。」


不安定になる、カガリが・・離れていってしまうと思うと・・・・・・・・凄く恐くて、周りが見えない。

君も・・見えなくなって、



-----------・・そして、君を泣かせる。

あの涙に・・嘘はない。

俺が・・


君を責めて・・泣かせてしまった。







-----------・・君は・・俺の傍から・・離れていってしまうだろうか?






ぞくっと・・自分の思考に背筋が震える。

俺のせいでカガリを泣かせ、そして俺に傷つけられたカガリは・・・


-------俺を嫌いになる?



もう・・側には居てくれない・・。




「・・・・嫌だ・・」

俺のせい・・・・・・・俺が悪い、だから・・でも・・。




「離れないで・・。」


謝るから・・・嫌いにならないで、置いていかないで。




俺には・・君しかいないんだ。





君じゃないと・・







---------駄目なんだ。































































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あとがき
ダブルハツカネズミです。
2006/07/11