「-----------なんだ、これは。」
そう・・カガリ達の一つ隣のB組でイザークは・・・・あるものを見てしてしまう。
---------------まさか、だった。
あれから・・あまり音沙汰が無くなり、正直安堵の色が見えて・・・・ミリィも少し肩を落とす。
よかった・・・でもまだ気を抜けない。
そう思い、ディアッカを見ると・・・・ディアッカは深刻そうに顔をしかめていた。きっと・・何か新しい情報をゲットしたのだろう。
「・・ちょっと・・トイレ、行ってくる。」
「いってらっしゃい。」
カガリと休み時間にそう話して・・・ミリィはディアッカの元へ急いだ。
あの、普段へらへら笑っている奴が、こんな顔をすると言うことは・・よっぽどの情報をつかんだのだろう。
ディアッカと共に教室を出て・・廊下の柱に隠れるようにし小声で話を始める。
「どう?」
「・・女、だけじゃないらしい。」
「?」
そう言うと・・ディアッカはポケットに手を入れて、がさがさと何枚かの紙を取り出した。
・・・・・・・写真。
つい、最近・・・やっと終わったばかりの、水泳の更衣室の写真だった。
「えっ・・・嘘・・。」
「・・嘘じゃない。」
ディアッカも真剣な顔で・・その写真をめくる、ざっと・・十枚ほど。
その中には・・当然カガリと共にいるミリィも映っていて、在ろう事に・・・着替えまで写されている。
メインは・・カガリだったが、隣のミリアリアの下着姿も当然見受けられた。
「有り得ない・・っ---これ、もう犯罪だわ!!」
「・・一枚五百円、ミリィとカガリ両方が映ってるのは、七百円だってさ。」
「ちょ・・何処から・・っ」
「そいつも誰かから買ったんだと。」
「っ・・!!」
コレはもう学校問題だと、ミリィはそれを担任のラミアス先生に見せに行こうと決心する。
こんなのない、酷すぎる。
トイレから出てきた・・カガリの手を取り、ミリィは怒りながら職員室へと入った。
途中・・カガリに写真を見せ、カガリも絶句してしまう。
--------こんな事、するのは男子だ、女子とは別に・・カガリに想いを寄せている男子が・・・・。
そう・・考えると、下着のことも納得する。
職員室にはいると・・すでに銀髪のものがいて、カガリは声を上げた。
「イザークっ!久しぶりだなっ」
こんな・・時にも関わらず、カガリはイザークに明るく挨拶をし、イザークは真剣そうにカガリに近寄って・・・睨んだ。
「貴様・・なぜこの事を相談せんのだっ!」
「へ?」
カガリ、ミリアリア、キラ、ディアッカ・・イザークは同じ中学校出身で、何かと一緒にいることが多かったのだが・・・
高校に進学し、クラスが別れて・・あまり話すこともなくなってしまって。
けど、カガリとイザークは中学のバスケ部の部長同士・・それなりに仲も良かった。
「ふざけるなっ!貴様の悪い癖だ、一人で背負い込むのは!」
バスケの時もそうだったと・・イザークはぐだぐだ言いだして、カガリは何のことだよと切り返す。
だが・・怒っているイザークに、注いだ油のような言葉だった。
「ディアッカから聞いたッ!虐められているのだろう?なぜ言わないっ!!」
その・・言葉に驚いてミリィを見ると、ミリィはゴメンと謝ったが・・すぐにカガリを見て「必要だと思ったの」と言う。
カガリからしてみれば・・これ以上事を荒げたくない。だが・・そうも言っていられない状況になりつつあるのは理解していた。
「まったく・・っ・・・。」
そう眉間を抑えたイザークは相変わらず心配性のようで・・・・・その素直じゃない言葉の中でしっかりと心配されているのを嬉しく思う。
ディアッカも・・そばでニッコリ笑い、カガリは泣きそうになっていた。
そして・・生徒相談室で、ラミアス先生に事情話し・・・話ながら、カガリは泣き出してしまう。
辛かった。
けど・・それを感じるのは、そこで負けた気がするから・・・・黙っていた。
ポジティブ思考のカガリだって、此処までやられれば・・泣いてしまうのは当然だと、イザークは思ったが・・・
カガリのこんなに悔しそうに泣く姿は見ていられない。
下着まで・・盗まれて、---------こいつの恋人は何をやっている?
ディアッカから・・何となく事情は聞いていたものの、それではカガリが不憫だと思えるのだ。
カガリの恋人、アスラン・ザラは・・成績優秀、運動もずば抜け出来る。負けず嫌いのイザークがそんな男を目に留めないはずがない。
しかし-------・・勝てなかった、それほど奴は天才か秀才ということだ。
そのかわり、そいつは酷く内向的で・・・それもカガリの手により、次第に変わってきているらしい。
だが・・・自分のせいで、カガリが傷ついているなんて、知ったら一大事だと・・ディアッカは言う。
大体下着を盗めるのは女子だけだ、きっと・・男女ともに行動しているのだろうと、イザークも予想を付けられる。
アスランが好きな女子、カガリが好きな男子。
始めたのは女子で・・便乗したのが男子ならば、アスランは自分を責めてしまうと、ディアッカは言うのだ。
イザークからしてみれば、むしろ責めろ。そして守れと言ってやりたいのだが・・・・生憎、そいつはネガティブで自殺しかねないから無理らしい。
----------まったく使えない男だな。
だが・・カガリもカガリで、そんな男を必死で守っているのだから、イザークは言葉を挟まなかった。
その代わり、その男が出来ない分の穴は、自分自身で埋めようとイザークは思う。
----性分的に・・許せん、イジメなど・・子供のすることだ。
その・・子供のいたずらに、カガリが気に病む必要なんて全くない。
だから・・そう、心付けてやろうと思った。
信じられないほど・・沢山泣いて、カガリはやっと一息を着く。
ミリィは・・タオルを貸してくれて、カガリはその中でもう一度涙を落とした。
「我慢しないで・・--無理してるカガリを見るのが一番心配なんだから。」
ミリィに抱きしめられて、カガリはその暖かい背中に手を回し泣きつくと、カガリと変わらない手で背を叩いてくれる。
辛かった・・・でも、私にはミリィもディアッカもイザークも・・・アスランだってキラだって居てくれているじゃないか。
-------そう・・思って、カガリは涙を拭く。
---もう・・絶対この件では泣かない。
泣いて何てやらないからなっ!!!!
そう心に言い聞かせて、カガリは立ち上がっていた。