「帰ろうか。」
そう言って・・歩き出す姿は何処からどう見ても・・・恋人同士で、
キラも・・・ラクスと一緒に帰るようになっていた。
----------でも・・まだ、カガリは返事を返してはいない。
返すのは・・きっと、もっともっと後になるとカガリは自覚していた。
「もうすぐ桜だなっ」
「・・そうだな。」
まだ寒い・・春の中、お互いはにかみながら手を握る。
今の・・自分たちにはこれでいい。
そう考えていると、そっとアスランからのキスが唇に触れて・・・・いつものように目を閉じていた。
そしてまたはにかむ。
「何処か寄ろうか?・・・軽く何か食べよう。」
「そうだな・・・クレープが良いな。」
「じゃあクレープだ」
そう言ってまた・・手に手を取り、アスランとカガリは歩き出す。
-----------哀しいな。
そう・・一抹に感じてしまうアスランは、そんな自分を許せないでいた。
カガリは・・俺のために傍にいてくれて、俺のためにキスを迎えてくれる。
同情、
でも
-----------こんなに嬉しいんだ。
どっちか分からないと言ってくれた、
まだ・・未来はある。
それに・・・・・・・・・・
君に・・触れていられるのは、俺だけ。
大きなデパートの地下にあるクレープ屋で二人は人目を気にせず互いのものを交換しあう。
最後には・・アスランが甘いものを食べかねて、カガリにあげてしまうのだ。
「せっかく・・こんなに美味しいのに・・甘いものが苦手なんて、可哀想だ。」
「けど・・その分、得もしているんだ。」
「?」
カガリが・・美味しそうにクリームを付けてる様が見ていられるとか。
指を舐めてる姿とか・・・
本当にドキドキしてしまう。
表情にこそ出さないが、カガリの一つ一つの行動が・・本当に可愛く見えてならない。
可愛い、可愛すぎる。
鼻の欠陥が弱ければ、間違えなく毎日切れて血が出ているところだ。
「・・な、なんだよっ」
「いや・・」
可愛いなんて・・言ったら、君は少しは俺を意識してくれるだろうか?
そして・・またペロッと音を立てて指を舐めたカガリに、笑って・・・一言残す。
「可愛いよ。」
「っ・・お前なぁっ!!!!」
恥ずかしそうに頬を染めて抗議するカガリに、アスランもほんのりと頬を染めると・・お互い見合って黙ってしまう。
嫌な沈黙ではない、むしろ・・・・心地よい沈黙。
食べ終わったカガリにお手拭きを渡して・・・また歩き出す。
カガリは少し恥ずかしいのか・・・あまりこちらを見ようとしない。だが、手を握ればしっかり握り返してくれる。
カガリのこういうところが凄く好きで、アスランはカガリの髪に軽く唇を押しつけて反応を待っていた。
・・・・でも、いつまで経っても・・・こっちを見ない。
怒っただろうかと顔をのぞき込めば、逸らされてしまう。
けど・・・
「カガリ」
耳まで真っ赤になった、君を・・斜め後ろから見ているのも悪くない。
「なんだよっ・・」
ふてくされたような返事に、苦笑し・・アスランはもう一度・・さっきの言葉を耳元で囁く。
「-------可愛すぎだから。」
今はこれでいい。
俺は・・・・
君がいてくれることが、最低で最高の条件なのだから。