「あ、お母様・・・まただ、あの犯罪者まだ捕まってないんだって。」
「そう・・みたいだな、」
あれから、何度目の初夏が来たのだろうか。
そんなことをぼんやりと思いながら、久々の子供との休みを楽しんでいた。
しかし・・やっぱり、この時期は雨。
最後に・・あいつにあった季節なんて、覚えてはいなかった。
「・・---------どうしてくれるんだよ・・アルスター家に行く予定・・・」
「・・大丈夫だろ、俺に犯されたとでも言えば・・」
裸のまま寄り添って、カガリをきつく抱きしめているアスランは、もういつものように余裕の声だった。
そして・・またキュッと指を絡められる。
「・・・。」
優しい手だった、知っていたが・・・・・・・・・どんなに血に染まっても、アスランの手も瞳も優しい。
それは認めている。
けど
「離せ」
「・・今は・・まだ、嫌だ。」
「私は嫌なんだ」
「・・・。」
言ってやらない、
好き・・とか、愛してる、なんて
言われる資格などアスランは持ち合わせていないのだから。
「・・じゃあ・・・・・離さない。」
「おい。」
人を殺して・・・・それ自体を認めてやったりしない。そんなアスランを愛するはずがない。
好き、だが、それは・・・・・・・優しいアスランだ。
「カガリ・・」
また・・身体を重ねられて、カガリはビクッとしてアスランを見る。
「・・な、やめろッ・・・・ばっ・・」
抵抗しても・・体力なんて無くて、唇を貪られて・・・・拒否するように、背を向けた。
すると背筋を舐められ、ビクンと身体は反応する。
「・・・まだ、足りないだろ?俺も・・君も」
後ろから手を回され、方胸を鷲掴みにされて・・・声を上げると、力を緩めて優しくもみ上げる。
大きな掌に愛撫されて、カガリはまた自分の意志とは反して出る高い声が嫌に思えた。
---本当に可愛いな、心だけじゃない、身体だって敏感に反応する。
そう思って・・アスランはアナルにちょんと舌を当てると直ぐに穴がしぼんで・・・そして上がった艶やかな声に自分自身を発たせていた。
腰を浮かせて、陰毛をさすってもう片方でアナルに少しだけ指を埋める。
「や・・、やっ・・あすら・・ん--------!!」
「此処にはしないよ・・けど、カガリの身体・・見れるだけ見たいんだ。」
ソコに触れられたときの・・君の反応が何より見たい。
高く上がる艶やかな声も、可愛らしい声も・・
震える身体、涙目・・・全部
そう言って・・内股に舌を這わせて優しく下っていくと、安心したようにカガリの声は甘く変わる。
足の先までたどり着いて・・・指の間を舐めると、くすぐったいようで身体が動いた。
安心したのを良いようにアスランは直ぐにカガリの身体をひっくり返しまた仰向けにする。
そしてカガリの足をM字に開いて、その場所がハッキリ見えるようにしてしまう。
直ぐに・・気が付いたカガリだが・・アスランに足を押さえられ、指す術が無くなる。
「み・・見るなよっ・・」
「嫌だ」
犯すように見ていると・・その視線だけでも感じるようでカガリはまた愛液をその場所から流し、アスランはそれを指で絡め取って舐める。
それを見て・・逸らしたカガリの瞳を追いかけて、唇を重ね・・・そのまま中に侵入した。
「んぅ・・ぅ・・ん!」
声を上げられず・・そう唸るカガリに微笑んで唇を離して・・・アスランは必死に話しかける。
「カガリ・・俺・・---------頑張るから」
こうしても・・君が罪悪感を感じないで済むように。
君の・・父に申し訳が立つように。
だから・・
今は、その為の力が欲しい。
いつか・・でも、繋がっていられるという力。
君の元に返って来るという・・心が・・
「・・・君に・・愛して貰えるように・・」
心の底から
そう・・言ったのは、今でも、カガリの中に・・・・何となく残っていた。
「あーあ・・・折角お母様が帰ってきたのに、雨じゃキャッチボールも出来ないよ!」
「仕方ないだろ・・・何なら雨でもキャッチボールするか?」
「ホント!!しよッ!!!」
パチンと・・消されたテレビの中に、ひっそりと映っていた・・アスラン・ザラを、見えなくなったテレビにすら追っていた。
今は・・、どうなのだろう。生きているのだろうか。
生きていたとして・・・・もしも、逢ったとして
私はアスランを・・愛せるのだろうか
知っている
そのマフィアを潰し、金を全て手にして・・・・その半分以上を募金に回した、不思議なマフィア。
アスラン・ザラ
だが、その殺人の多さ故・・・国際警察組織からは見逃されそうにもない。
小雨の中庭に出て・・子供とキャッチボールを始めカガリはやっぱり体を動かすのは楽しいと感じる。
自分と同じ・・太陽を譲り受けたような金髪。
キャッチボールをしながら、子供はカガリに言葉を投げかけだした。
「お母様は・・・なんで、生んでくれたの?」
「・・・お前のことか?」
「そう-----だって、父親はいないし、・・それにお母様・・キャリアウーマンだから子供欲しがらないタイプに見える。」
「そうか?・・これでもお前への愛情は誰にも負けないぞ?」
「あ!そう言う意味じゃなくて・・お母様は凄く愛してくれてると思う、けど・・出産したの20ぐらいだし・・子供の世話とか面倒そう」
「うーん・・やっぱり・・」
アスランとの子供だからな。
そう言おうとして、口を噤み・・・・・・投げたボールは点で的はずれの方向に飛ぶ。
「悪い。」
「だぁっもう!お母様派手に反れすぎ!!!!」
そう・・悪態を付いて、そのボールを拾いに言った我が子をカガリは微笑んで見送っていた。
「ったく・・お母様はっ」
そう少し声を漏らして、草むらの中へとボールを取りに進む。
実は・・こういう探検的なことも好きなのだ・・でも誰にも言ってはいない。---なんだか、子供クサイから・・。
そう考えながらガサッと・・草むらをかき分けると、驚くような光景を目にする。
赤かった。
「お母様ッ!!!」
真っ赤な水たまりの中、一人の人が、倒れていた。
夜のような色の髪を、水面に少し浮かして・・・・・
「・・・生きてる?」
「さぁ・・・」
倒れた奴に、少し笑って・・・・
カガリは手を差し伸べた。
「・・・・・・?お母様?」
会いに来てくれたのか。
----ボロボロじゃないか。
「なんで泣いてるんですか?」
その言葉に・・カガリは倒れた奴を抱き起こし、静かに声を漏らす。
「・・雨、だろ、きっと」
その時、小雨は・・やっと上がった直後だった。