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「驚いただろ?・・アスハカンパニーを統べるのが・・まだ歳半ばも行かない娘とは・・。」
「いえ・・誰であろうと、お守りするのが私の役目。」
そうサングラス越しあう目線、そして深々と奴は頭を下げた。
「父はつい最近殺されてしまってな・・・つい最近といっても・・一年前か。」
大きなリビングでソファーに腰を下ろし、写真を見せる。
「・・どうだ、かっこいいだろ?---自慢の父だ。」
父が亡くなったことがつい先日のように思い出される。
優しかった父、大きかった父。強くてたくましくて・・理想だった父。
「・・・優しそうな・・お方ですね。」
「あぁ、最高の父親だ。尊敬しているし・・感謝もしている。」
さて・・その父を殺したのは・・どこのどいつだったかな。
・・・なぁ、アス・・、アレックス。
お前が憎くて堪らない。
カガリ・ユラ・アスハ・・19歳、未婚。
性格:打算的、厳格主義。
アレックス・ディノ・・22歳。
性格:忠誠心が強い、誠実。
-------嘘ばかりだ。
「さて、今日はヘリに乗って・・ニューヨークだったか・・?パリだったか・・?」
「・・今日の予定ではロンドンです。」
「そうだったか?」
「はい。」
そうしてヘリに乗り込み、隣に座る。
周りには何人ものアスハカンパニーの重役がいた。
出されたコーヒーを躊躇わずお互い飲む。
「暇だ・・なぁ、アレックス。」
「はい、そうですね」
その機械のような応答にカガリは眉を潜めてアレックスを見つめた。
「時間は沢山ある・・寝ておくのも良いだろう。お前は現地についてからはほぼ起きていると聞いているしな。」
「はい。」
「私は寝る。・・・・、おやすみ。」
「ごゆっくり。」
そしてカガリ・ユラ・アスハは寝息を立て出した。
-------・・忘れて・・しまったのか?俺を。
そして無性に腹が立つと同時に静かに決意を固めていく。
仕事は仕事。
私情は・・挟まない。
そう、随分と前に決めた。
誰であろうと・・それを変えさせはしない。
それが例えば君であっても。
そしてゆっくりと服の中にある銃を触る。
冷たい、温度の無いモノ。
そして静かに目を閉じた。
深い藍色の髪。
サングラス越しの冷たい翡翠。
・・・・・・・・---あの時のままだ。
雨。
身体ばかり・・大きくなって。
-----・・・。
「っ!」
「あ・・起こしたな、悪い。」
そう細い指がそっと離れていく。
「寝ているのにサングラス・・邪魔だと思ったんだ。」
そう少し困ったように笑い、もう一度手を伸ばしてきた。
「・・はずさないのか?」
「えぇ、ないと落ち着かないもので。」
「---そうか。」
サングラスを調えていると、その相手はじっと見つめてくる。
「・・---似合わない、--と思うぞ、それ。」
「そうですか。」
「ああ・・凄く似合わない。」
「・・・。」
そうしているといつの間にか目的地に着く。
「パーティーに出て・・あと・・」
「セイラン家との仕事の掛け合い・・それとアルスター家との・・」
そう会話をして、パーティー会場の控え室に入った。
「お前は外で待っていろ・・お前用の控え室も隣にある。」
そう言い、適当にドレスを取り着替えて化粧をし外に出るとすでに着替え終わったアレックスが立っていた。
「・・---お前・・タキシードでもそれ、つけるのか?」
そうサングラスを指すと「ええ」と言い切って後ろに付かれた。
「・・まあ・・いいけど。」
そうして主人の後ろに護衛は付いた。
「・・あ・・悪い、控え室に忘れ物だ。」
「とってきましょうか?」
「・・・そうだな、一緒に行くか。」
そしてわざとらしくアレックスの手を引き控え室に戻る。
「・・・?」
「忘れ物だ。」
小さく硬いものをアレックスの手の中に入れた。
「-------・・。」
「さ、パーティーにいくぞ。」
----・・。
・・。
「はい。」
赤い・・石。
それは血のように。