「入っちゃ駄目だぞ・・・・絶対。」
「な・・いくら私だってそんな恥ずかしいコトするはず無いだろ?」
そう・・アスランが言葉を残したのでお風呂でどっきり作戦はナシになる・・というか、実はラクスとメールでやり取りしていたのだが・・。
【釘打たれちゃったよ、ラクス・・(涙)】
【アスランのシャイな性格を考えたら・・・当然ですわよね、それに何よりベットを共有という過酷な試練が・・】
【試練?】
【いえ、・・それより、お電話差し上げて宜しいでしょうか?今・・アスラン、お風呂なのでしょう?】
【ああ、いいぞ。】
そう・・返信を打つと直ぐにラクスから電話が来て携帯を取った。
「まったく・・・太股まで触っておいてって・・感じですわよね。」
「いや・・私に魅力がないんだ。」
「あら・・・?アスランに言われまして?」
「だって・・普通に考えて、あの雰囲気で・・・・襲わないのはそれしか理由がない・・。」
凹んでしまった・・カガリの声に、ラクスは何だか可哀想になってくる。
だいたい・・女性から抱いてくれ、なんて言えたものではないし・・---・・まぁ、迂闊に誘うと後が恐いのですが。
キラから理由を聞いて・・アスランがカガリに手を出さないわけも知っているラクスからしてみれば、なんだかアスランも不憫だ。
あのお方も・・・さっさと自分の気持ちに素直になればいいのに、と思ってしまう。
「大丈夫ですわよ、カガリには十分色気も・・・魅力もありますもの。」
「・・・-----・・どーだろうな。」
「ベットの中で少し当たり障りのないことをお話ししてみるのも良いのでは?・・今まではそんな機会・・無かったでしょうし。」
「・・うん、--そうだな。私はアスランに抱かれなくても、やっぱり一緒に寄り添って寝るだけでも・・嬉しい。」
ベットと言えば・・アスランからの強要された愛撫。
そう----根強く印象付いているけれど、やっとそれを拭えるんだ。
それだけで・・なんだかとても・・心が安らぐ気がする。
「そうですわね。」
「ああ・・ありがとうラクス。アスラン風呂早いから・・もう、切るな。」
「ええ。」
そういって・・電話を切り、カガリはこれでいいと溜息を出す。
優しいアスランに・・・抱かれたかったのも真実だが・・・・私自身それほど良い女ではない、これが現実だ。
くっそぉ・・いつか絶対、うんともすんとも言えないくらい綺麗になってやる・・見てろよッ!!!
もう-------互い以外相手がいないことが唯一の救いだった。
これで・・結婚の約束とかしてなかったら・・・・・---------------。
ブンブンと頭を振る。
アスランは良い奴だから・・きっと、顔じゃなくて、性格で選んでくれるよなッ!!私とアスラン、性格ピッタリだしッ!!
慰めるように言葉を書けて・・その一人百面相をアスランに見られ、カガリは真っ赤になる。
アスランも・・吹き出して笑って、カガリを風呂へ促した。
着替えは・・・アスランの部屋においてある。
幾度と無くあの行為が繰り返される時・・・この方が安全策だと持ってきていた。
鏡の前に立ち・・・下着姿でポーズを取ってみるが、全然・・いや、まったく色っぽくない。
そりゃ・・・昔よりかはマシだが。
一応、アスランに最初に全身を見られた十四からしてみれば大進歩だった。
「フレイなんて十四の時からDあったのになぁ・・。」
大きく溜息をついて・・・カガリは下着を外し、風呂へとはいる。
「・・本気・・だよなぁ・・・・---------カガリ。」
一緒に寝る・・・・・添い寝、だが・・。
大丈夫だろうか-----------自分は。
だが、それも・・あのベットなら大丈夫なような気がする。
・・・・・・・・あのベットは嫌いだ。
カガリを・・・沢山、恐がらせてしまった場所、・・無理を強要したところだから。
寝るたびに・・・覚えてはいない、悪夢に目を覚ます。
罪悪感だった。
こうやって・・今、一緒にいてくれる・・カガリが奇跡のように思える。
だから--------絶対、あのベットでは抱いたりしない。
思い出させたくない・・・・あんな、辛い・・過去は。
俺も-----------出来ることなら、無かったことにしたい・・・・・・・・逃げているだけかもしれないが・・。
暫くすると・・パジャマ姿のカガリが出てきて、二人でバライティ番組を見たりして・・いつの間にか就寝時間となる。
「さーてと、寝るか。」
「ああ・・。」
アスランも・・すっかりと平常心になっていて・・・-----------興奮は冷めることも知らないが、その興奮に心が慣れてきたらしい。
だから・・よし、大丈夫だ。
理性が強い人間で良かったと、心の底から思う。
歯磨きをし終え、二人でシングルのベットに潜り込む。
カガリは・・クスクスと笑って、アスランはそれを覗き込んだ。
「・・嬉しいんだ。-------こうやって・・・アスランと一緒にいるの。」
「・・・-------・・俺もだ。」
何でこんな可愛いことを言うんだろうか?
収まったはずの熱気がまた体の中で活動をし出す。
胸元の服を・・キュッと掴んで、カガリはアスランを見上げてニッコリと微笑んだ。
「・・落ち着く。」
「・・・ゆっくり寝てくれ。」
「ん・・」
スイッチで電気を消して・・・・・アスランの胸元に顔を埋めたカガリを抱きしめたくて堪らない。
でも・・---------そんなことをすれば、絶対に止まらない・・。
カガリの寝息が聞こえ・・理性を保つためにアスランはカガリに背を向けた。
目を瞑り・・・・・心拍数と格闘していると、ムクッと隣の・・カガリが動く。
「・・寝ちゃったか・・アスラン。」
「・・・、」
片目を開け、直ぐ閉じた。
向き合ったら・・・・絶対、負ける。自分自身の本能に負けてしまう。
「・・なんだよ-----------・・ちょっとだけ、、、期待してたんだぞ。」
ふてくされたような声。
期待してたのかっ?!と、内心酷くアスランは突っ込んでしまう。
「---------・・だって・・ここ、悪い想い出ばかりだろ?・・・だから、いい想い出に・・・塗り替えたくて。」
どもりながら、恥ずかしそうに・・カガリは言葉を繋ぎ、アスランはそれに聞き入っていた。
記憶を塗り替える・・---そうか、そう言う考え方も・・・あるのか。
すごくそれがカガリらしい。・・・そう考えられる・・カガリが凄く愛しかった。
「それに・・私、優しいアスランになら-------抱かれても、いい。・・っていうか、抱いて欲しかった。」
「・・・。」
「・・まぁ・・・・これだけして、こんなにあっさり寝られるって事は・・----------私の色気とか魅力とか・・足りないんだよな、これから精進する。・・・・・・・折角・・スカート二段折っても、胸元のボタン開けても・・・・全然お前、平常心だったし。」
「------------------・・。」
そんなはず無いだろう?
ドキドキだった・・・。
「-------って・・起きてるときに言えば良かった。馬鹿みたいだ・・私。・・おやすみ、アスラン。」
ちゅ。
「っ・・!!」
首筋に・・柔らかなモノが当たり、アスランは思わず肩が上がる。
カガリは・・その反応に目をパチパチとさせ、アスランは観念するようにカガリの方を向いた。
「・・おま・・起きてたのかっ!!言ってくれよ・・・一人で大告白しちゃったじゃないかッ!!!!!」
「・・-----たしかに・・抱いて欲しかったって言うのはビックリだった。」
「馬鹿野郎・・起きてたら・・言わない、そんなはしたない・・。」
いや・・・・でも、それ以上に・・。
「・・・良い想い出に・・塗り替えたいって・・凄く-------カガリらしい・・。」
「そうか?」
目の前で互いの息が少し掛かりながら・・カガリに訪ねられて、まずいな・・と反射的に感じた。
「俺は・・絶対この部屋ではカガリを襲わないように・・って、思ってた。」
「なんでだよ・・それじゃあ悪い想い出のままじゃんかよ。」
「・・・悪い記憶だから・・・・消したいって、思って。」
その答えに、カガリはアハハと笑い・・・アスランはキョトンとしてカガリの返答を待つ。
カガリは・・凄い、俺とは違う答えを・・考えを持ってくれる。
「過去なんて消せないんだぞ?塗り替えるしかないっ!!それに・・・もう、今は今だろ?過去は過去。」
馬鹿だなぁ・・と笑うカガリにアスランは目を細めていた。
そうしていると・・カガリの顔が近くなって、唇と唇を重ねられる。
「よし、これで良い想い出一つ目だ。」
触れるだけのキス、けど・・・・今のアスランには十分すぎるほどの加熱剤だった。
笑う口元に・・・・今日二度目のキスを重ねる。
けれど-----最初とは比べモノにならないほど、深い・・キス。
「・・ぅん・・ぁ-------------・・。」
深いモノをした後に、啄むように・・キスの形を変える。
ちゅっちゅと、何かの泣き声のように甘い音が部屋に響いていた。
その・・音が脳に響くたびに、理性の鎖が外れていくのが分かる。
身体も、カガリを欲しいと・・・・本格的に唸りをあげていた。
「・・あすらん・・・・・?」
「--------・・そういえば・・さっき、誰が魅力的じゃなくて・・色気がないって・・・・・?」
「へ?」
捕らえられたカガリは可愛く声をあげて・・・・・・・アスランはその首元に吸い付く。
ビクンと反応する身体が愛しい。
「・・誰よりも・・魅力的だ。--------色気だって・・あるんだぞ?・・カガリには・・」
「だって、お前-----全然・・」
「我慢してたんだ・・・・-----------カガリに手を出さないようにって・・けど・・」
カガリが良いのなら。
「馬鹿じゃないのかっ!!そういうのは告白の前に我慢しておけよ!」
「・・その通りだな--------------------・・ごめん、カガリ。」
カガリの上に、馬乗りになって・・アスランはヘッドライトをつける。
お互い、了解の上でやるのは始めてで・・なんだか凄く緊張していた。
「・・ごめん、なんて・・いらないぞ。」
「・・---ありがとう、カガリ。」
そう言って、カガリの身体に顔を寄せる。
カガリも・・まるで迎えるように手を広げてくれた。