鳥籠の正体、その後1



「アースランッ」
「わッ・・カガリっ・・」

あれから・・・二人は本当のラブラブカップルになった、と・・・キラは思っていたが・・。果たして。
季節はやっと・・春になる手前、まだ寒い。

「な、今日こそ・・お前のい」
「あ・・カガリ、そう言えば・・この間、アイス食べたいって・・」

「・・こんな冬空に・・誰がそんなこと言うんだよ。」

どうやら・・--------------・・そうでもないらしい。







「・・嫌われてるわけないでしょ?」
「だよな・・そうだと思うんだけど、なんか・・・余所余所しいって言うか・・何て言うか、この頃は顔も見てくれない・・・」

カガリがそう言うのも無理はないとキラは思う。あの態度は・・絶対変だ。
そして・・その理由も、キラは知っている。

「あーっ・・お前何か隠してるだろっ!!教えろ!!」

「・・アスランに聞いた方が良いよ?・・僕の口から言うよりアスランからの方が・・」

馬鹿ップルとはこの事だ。
まったく・・アスランったら、カガリのことになるといつだってヘタレだ。
折角両思いが証明されたのに・・・。
家の中でカガリは教えないと枕を投げる・・と、まで言いだして、キラは必死に逃げ回る。

「カガリも・・そんな気になるなら、隣なんだし・・アスランの家、いってきなよ!!」
「・・・っへ?あ、そうだなっ!そっか。行ってくる!!」

八つ当たりは絶対僕にくるんだから・・もう、アスラン・・しっかりしてよね。
そう苦々しくも、微笑んでキラはカガリを見送っていた。









ピンポーン・・・

「・・誰だ・・・・、、もう、十一時だぞ・・・?」


ピンポンピンポンピンポーン・・・


「・・・まさか・・」

-----------この・・鳴らし方は・・・。
玄関を開くと・・思った通りというか、想いの人が立っていて・・アスランは息を呑む。

パジャマ姿。

シャワーを浴びたばかりなのか・・・髪も少し湿っぽい。


「・・よっ・・上がるぞ!!」

「待て・・カガリっ!!」

しゅるりと腕を抜けカガリは容易くザラ家に入る。
そして・・当然のようにソファーに腰を掛けていた。

「・・・・・・。」

「・・な、なんだよ。」

こっちの気も知らないで・・・・・・・・・・・・-----------って・・その、前に・・。


「今何時だと思ってるんだ!」

「な・・十一時。」

「そうだ、深夜だ。真夜中だぞ!!」

「勝手に上がって悪かったが・・けど、」

「そんなことが言いたいんじゃない!危ないだろっ・・こんな時間に、そんな格好で・・・」

ブラも付けていないし・・冬の終わりだから、何処か布も薄い。
髪も濡れていて・・・・・・・・・・・。


「変質者が出たらどうするんだ!」
「たった十メートルだぞっ!!普通に考えて出ないだろっ!!」

お隣なんだから・・とカガリは頬を膨らませる。
そ、そんな顔したって、駄目なものは駄目なんだぞ、と心で自分を戒めるアスランがいた。

「なんだよ、お前・・私が会いに来たら、迷惑なのかよ!」

切り札のように・・出された言葉に、アスランはう"と言葉を失う。
迷惑なはずがない。


けれど・・・。



「あのな・・俺は、男なんだ、カガリも良く知ってるだろ・・・。」


よく言うな。
カガリは心の中で・・・ハッキリとそう悪態を付く。
あの時から・・・・・両思いになったときから、一度だって身体に触れていない癖に。

何故だか分からないが・・・アスランはあの時からぱったりと触れるのを止めてしまった。

カガリからしてみれば・・・優しくなったアスランに・・抱いて貰いたいのに。

イヤらしい意味ではなくて、やっぱり・・愛されているんだと、愛しているんだと・・実感しながらしたい行為だ。

今まで一方的だったから・・次こそはカガリからも愛してみようと・・そう、考えているのに。


「・・・馬鹿アスラン・・。」
「・・何か言ったか。」

「・・どーせ私のこと・・どうでも良くなったんだ。」

「あのなぁ・・。」


呆れたような顔のアスランを・・泣きそうな目で睨むと、アスランは真っ赤になっていて・・・---その顔の可愛さに、カガリも頬が赤くなるのを感じる。

「・・と、ともかく・・・今日は家に帰った方が・・いい。キラも・・両親も心配する。」
「イヤだ。」

「嫌じゃないっ・・!!」

潤んだ瞳で・・睨まれたって、何の効果もない・・・・・あるとしたら、アスランの心拍数を上げるだけだ。
顔が真っ赤になったのも・・分かるし、カガリも・・少し赤い。

「今日はアスランと一緒が良いんだ・・・・・・・・-------駄目か?」

「っ・・○×%#・・@・・」


言葉にならない言葉を・・必死で隠し、アスランは深く深呼吸をする。

駄目・・駄目って・・・・・・・・・・理性が、だめ、だ。

「・・カガリ・・っ・・」

お願いだから・・帰ってくれ・・・・・

「・・-------・・。」

強引そうな・・表情から一気に哀しそうな顔になる。
その顔に・・罪悪感を覚えて覗き込むと、目が合い・・・ゆるりとカガリの瞼が閉じられた。


あ・・・---------・・。
目の前にある、桜色の唇に・・・・引き寄せられるように顔を近づけるが、ハッとして止める。

「・・アスラン・・・?」
「・・・・---今日は、帰るんだ。送るから・・」

「・・--・・分かった・・。」


観念したように、頷いたカガリに・・アスランはやっと安堵の息をもらす。
こんな可愛い・・・カガリと、共にいたら・・絶対におかしくなる。

手を出したくない・・。

今まで酷いことをしてきたから・・それの、償いと・・それに・・。

両思いになった・・カガリに、一度手を出したら・・・・・もう、溺れてしまう。


辛くは当たらないだろうが、カガリの意志や、体力に・・反してしまいそうだ。
だから・・

「・・今日は、帰る。だから・・キスしてくれ。」
「・・・・・--・・・・はぁ・・。」
「溜息付くなよっ・・嫌なのかっ・・?」
「嫌じゃない・・。」

ちゅっと・・触れるだけのキスをする。
カガリは不服だと顔を歪ませるが・・こればっかりはどうしようもない。
深いものをしたら、理性なんてものは吹っ飛ぶだろう。

「ほら・・・約束、守ったんだから、帰るぞ・・。」
「・・・・・」

しかめっ面のカガリの手を引き・・玄関までくると、次は靴を履くのを嫌がる。
全く・・子供じゃないんだからと・・思うが、そう駄々をこねるカガリもまた可愛い。

抱き上げて・・・お姫様抱っこをしてやる。

「うわっ・・」
「お姫様は我が儘だからな・・。」

そして・・カガリの履いてきたサンダルを取り、アスランも適当においてある靴を履き、玄関を出た。
するとカガリはアスランの首に腕を回し・・ぎゅぅっと抱きついてくる。
とても・・嬉しいのだが・・胸が。
むにむにと当たる胸に・・大分意識を取られながらも、何とか玄関まで送り入れた。

「・・もう・・こんな時間に出歩くなよ。」
「・・・。」

「分かった・・は?」

「言わない・・。」


大分不満らしい・・・。けど・・仕方ないだろう?
そう思いながらも・・・湿った金髪を優しく撫でて、耳にかけていた。
くっついたときに香った・・リンスの匂い。
それだけだって・・すごくドキドキするんだぞ・・こっちは。

「・・・もう・・いい、じゃあな、お休み!!アスランっ!!!」

バンッと・・戸を閉められて、やれやれとアスランは家に帰る。
そんなアスランの後ろ姿を・・カガリはちょっと考え事をしながら、黙って見送っていた。
































































+++++
あとがき
記念小説です・・。こんなのですいません。
2006/08/04