AfterStory...T





「は・・・。」

親友からの言葉に、ただただ驚くばかりだった。




カガリとアスランはどうやら二年前のすれ違い?からやっと抜け出せたらしくとても幸せそうに見えた。
「カガリもアスランも・・この頃見違えるほどいいお顔になりましたわ。」
カガリの友、僕の恋人のラクスもこの絶賛様。
「私たちも・・負けないくらい仲良く在りましょうね、キラ」
そして校内で負けずと腕を組みその仲のよさを回りに見せ付ける。


--------そして近頃は家に上がろうともしなかったアスランが唐突に部屋に来た。

「・・どうしたの?僕の部屋じゃなくてカガリの部屋に行けば良いのに。」
そう言うと親友は真っ赤になってしまう。
---------あれ、・・・・今までカガリと何度身体を重ねたと思ってるのさ・・アスラン。
一応座布団を引き、小さな机を挟んで向かい合った。
「そんな・・恥ずかしい事できるわけない。」
「部屋に・・入るだけなのに?」
その答えにコクンと頷かれる。
「え・・え?どうしたの??だって・・君、今まで散々カガリに手・・・」
そう過去を掘り返すと、アスランは申し訳なさそうに眉を潜めた。
「・・・・・・・そう、なんだが・・。今になって・・キスですら、恥ずかしくて・・・・・・・」
-------一体・・どういう心境の変化なんだろう。
こんな真っ赤になるアスラン・・僕始めてみたよ。
「-----だって、考えてみろ。両思いの子に・・手出すんだぞ?」
「それはまるで両思いじゃなきゃ良いみたいな言い草で気に食わないけど・・・」
気難しそうに眉を潜めて考え込んでしまう。
まぁ一度大嫌いだと思い込んだアスランがもう一度、好きな人から愛してもらえるのはとても嬉しい事なんだろうけど・・・
「・・・駄目なんだ。昔はキスだって・・なんだって別に---平気だったのに。」
それはカガリの思考を殆ど無視していたから出来たと言うか・・・・

---お互い想いあってると思うと嬉しいのだが、なんだか・・・・
---------駄目だ。

「分かった、アスラン昔を思い出すのが怖いんじゃない?」
キラはポンと手を叩いた。
「だって・・君カガリに強姦に近いことばかりしてたんでしょ?」
「・・ご・・強姦?!」
「実際、内容聞いてたけど・・・何度君をぶん殴ってやろうと思ったか気が知れないよ?」
-------たしかに・・強姦といわれても・・・・・仕方が無い。
それだけ酷い事を重ね重ね・・強いていたのは自分だ。
「・・・・殴ってくれて・・構わないのに。」
-------早くに・・気づけたのに。
「今のアスランは殴る気もないけど・・・昔はね、カガリに止められたんだよ、君の家に乗り込もうとするたび。」

溜息をついて、キラは話を元に戻す。
「つまり、そんな事ばっかりしてきて・・しかも結局一度だってカガリはアスランのことを嫌いになんてなってなかった訳で・・・」
----カガリからしてみれば・・ホントいい迷惑だよ。まったく。
「それが申し訳なくて、手を出す事を無意識的に止めてる・・・・とか?」
そう・・それはそう・・だが・・・。
「-------それも一理あると思うが・・・」
そして今の現状を説明する。
「名前呼ばれるだけで・・・真っ赤になるんだ。顔が・・・」
情無い親友の声に溜息を付いた。
「-------つまり、それってただ・・カガリが愛しくて堪らないだけじゃないの?」
「・・・・そうかもしれない・・・。」
潔く認められて、自分できっと自覚してたんだろうなと思わざるえない。
「・・・苦しいところから・・引き上げてもらって・・改めてカガリに恋をした・・って訳だ。」
アスラン・・昔からカガリの新しい一面を発見する時必ず一ヶ月くらいカガリと話す時赤くなってた気がする。
「----カガリに言ってやんなよ。喜ぶよそれこそ顔真っ赤にして。」
「・・恥ずかしくて言えるわけ無いだろう。」

-------ホント・・歪まなきゃとことん真っ直ぐなんだから、アスランは。

そして少し、二年ぶりに正常になった親友に救いの手を差し伸べようと思った。
「夕飯うちで食べていくでしょ?カガリたぶん今ねてるから・・起こしてからリビング来てくれない?」
「え・・・」
「じゃあ、頑張って。」
そういい残して部屋を後にする。---ちゃんとセットしたんだから、生かして欲しいな。
クスリと笑い、リビングに向かった。

「キラっ・・・!」
一人部屋においていかれ少し悶々と考えた。
-----寝てる・・カガリが・部屋で寝てる・・・。
今まで何度も、裸でベットに寝ているカガリを・・・・見ていると言うのに。
-------今そんな姿のカガリを見たら多分気絶してしまう。
火照った顔を冷やすようにパンッと叩き、カガリの部屋に向かった。

コンコンッ

ノックをしても応答は無い、やっぱり寝ているようだ。
スッっと息を吸い込んでドアを開いた。
「カガリ・・・。」
暗い部屋で、制服のまま布団に潜ったカガリが見えた。
「夕飯・・らしいぞ。」
スースーと規則正しく音が聞こえ寝ていると判明する、
「・・・カガリ。」
布団から出ている細い肩を揺らすと、カガリは唸るように声をあげた。
そして寝返りを打ってこっちに背を向ける。
乱れた金髪がサラサラと流れて暫し見入る。
髪に手を通して撫でると、カガリはくすぐったいと声をあげた。

---------可愛い。

そう思うとまた顔が火照る。
「・・・カガリ、本当に・・・心臓に悪いから・・・・早く起きてくれないか。」
その声にカガリの身体はぴくりと動く。
「起きてるんじゃないか。」
「アスランっ?!」
ガバッと起き上がり、カガリは目を白黒させた。

「なんで・・お前が・・・・----キラかと思ってたっ」

「カガリを起こしてから来るように頼まれたんだ。」
そうして見つめあっていたら、何処となく恥ずかしくなってきた。
ボフッ音を立てたとおもえばカガリは枕に頭を打ち付けていた。
「・・・・カガリ・・。」
ホント・・心臓に悪いから・・・。
熱くなる顔を自覚しながら、困った顔をする。・・実際困ってるし。
一方のカガリは暗がりでアスランからは見えないだろうが顔が真っ赤だった。

なんだか・・昔に戻ったみたい。そんな事を考えていた。
-----・・もうちょっと、このままでいたいよな。
「アスラン」
そう声を掛けるとアスランはなんだ?と聞いてきてくれる。
指先を伸ばし、頬に触れて唇に触れて・・・そして顎に触れる。
大人になっても・・優しいアスランの顔が何だか泣きそうに嬉しくて頬に手のひらを当てた。

「・・・・カガリ。」
そんなカガリの手つきに確実に酔う。-------誘っているのだろうか?とさえ思える。
・・・でも、おそらくカガリにそんな気は無い。
だから、その手の甲をアスランは自分の手で優しく包んで見せた。
すると暗くて良く分からないのだが、カガリは綺麗に笑ったように見えてアスランの頬はさらに熱くなる。

「・・・・。」

本当に・・心臓に悪い。-----鼓動が早すぎて・・契れそうだ。
カガリはその手を外し、起き上がってからベットの横で態々目線を合わせるためにしゃがみ込んでいるアスランを見てにこりと微笑んだ。そして立ち上がろうとしたアスランの肩を押さえる。
「?」

アスランのあぐらの上にカガリは脚を開いて座って見せた。

「・・・・・・・・・ッ!?」
--------っなっなっ・・。
まだ制服でスカートで・・・近すぎて見えないが下着が見えそうな気がしてならないし・・・
それに・・それ以上に顔が近い。
「アスラン」
そう愛しそうに自分の名前を目の前で囁かれると、アスランは参ってしまいそうになる。

-------ちょっと前までは・・名前を呼ばれるのが恐くて恐くて・・堪らなかったのに。
こんなに・・・嬉しい事・・だったなんて。

カガリは顔を真っ赤にしながらもこうしている事が当然だと思っていた。
前とは違う。もっと・・ずっと優しく触れたり、話したり・・出来るんだと。

「アスラン」

もう一度・・何度も----名前を呼ばせて。
前には出来なかった事。--------今なら沢山出来るんだから。
そう思ってカガリはアスランの肩に頭を摺り寄せた。
そして耳元でもう一度、目の前にいる愛しい人の名前を呼ぶ。
「アスラン」

至近距離、しかも最後は耳元で優しく息をかけられては・・・爆発しそうになる心臓を押さえてなんとか平常を保った。
ギュッと胸板にある服を掴まれて、さらに脈拍は早くなる。
「・・・・かが・・り」
やっとの思いで頬にキスをした。それだって・・何故か気恥ずかしい。
・・・-----過去に・・あれだけの事をしておいて、今更何でそんなに緊張するのかと自問自答する、
するとカガリもお返しにと優しく頬にキスをしてくれた。
柔らかいものが頬に当たりアスランはまた心拍数を上げる。

「----カガリ・・。あの・・もうじき--夕食だから・・・・。」

情無い。アスラン自身で思うのだから、相当なさけない。
恥ずかしくて逃げるようにしていった言葉。カガリは唇を尖らせた。

「・・・・いや・・か?こういうの・・・。」

アスランは・・もとからもっと、刺激的なのがすきなのだろうか?
-----うーん。嫌じゃない。想いが通っている相手なら、正直どんな事をされたっていい。
それに・・・今のアスランなら、きっと優しくもしてくれる。

「いや・・な・・・訳ではないのだが。」

-----恥ずかしいなんて・・今更・・・いえないよな。
カガリの顔を見るとカガリは、にっこり笑って

「そうか・・分かった。じゃあ---」

ちゅ

「え」

唇に唇を重ねられ、座っている状態から無理やり倒された。
フローリングの上に軽く頭を打ちそうになるのをカガリの腕がカバーしていた。
「・・っ・・・」
歯のラインをカガリの舌になぞられる。カガリの舌は開かない歯を少し不思議がっていた。
ハッと離して、カガリは困惑した表情を浮かべる。

「-------これも・・いや・・なのか?」

自分からこんな事したのが凄く恥ずかしいのにアスランはちっとも良いと思ってくれていないようだった。
・・・アスランは・・どうしてほしいのだろう?
-------でも今の自分にこれ以上の事を望まれても・・こっちがリードするのは無理があるし・・・。

アスランの上に馬乗りになったままでカガリはなにやら真剣に考えている。
もう、今すぐにでも気絶できそうだとアスランは実感する。
・・・好きな人からこうやって唇を重ねられるなんて・・・嬉しすぎて心もパンクしてしまいそうだった。

「カガリ・・ありがとう」

カガリから愛される事で心がこんなに満たされるなんて思っても見なかった。

「・・・困ってるように見えた。」

カガリは嘘をつくなと言う目でアスランを見る。

「カガリが・・あんまりにも--------その、・・可愛すぎて・・困った。」

---------っ!!

その答えにカガリは目を開きパクパクと口を動かす。

「あ・・アスランっ・・なんでお前は・・恥ずかしい・・・ッ・・口にだせるなっ」

馬乗りになっていたカガリはガッと立ち上がり、真っ赤な顔を手でおさえた。
そして、言った本人アスランも顔が真っ赤だった。

「---本当の・・事だから。」

コレばっかりは引けない。カガリが可愛いのは本当だ。

「お世辞は・・お世辞っぽくいえっ----お前に言われると・・まに受けちゃうだろうがっ」

カガリは真っ赤なままやっと起き上がったアスランにそう声をあげる。


「だから・・本当の事なんだ。」
「嘘」
「嘘なもんか」
「ホラ吹き」
「違う。」

「・・・っ」
「うわぁ」

ギュッとカガリから抱きしめられて、何となく落ち着く。


「-----カガリ。」

「アスラン」


ガチャン



「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」


「ねーいい加減バカップルやってないで、夕食手伝いに来てよ。」

そこにはキラの姿。二人はただでさえ赤い顔を更に赤く染める。


「--------いつから・・」

「カガリの「困ってるように見えた」とか「カガリが可愛すぎて困った」とかから。」

「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」

二人がボンッと音を立ててまるで顔が林檎だとキラは思った。


「----続きはながーい夜にして、ともかく今は夕飯でしょ?」

そう二人をからかってから、三人でリビングに向かった。































































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あとがき
ピュアなアスランです(爆)
鬼畜を考えるのもそれなりに楽しいと思っていたら
ピュアも書いてみると結構面白い事に気が付きました。
カガリを愛してやまないアスランが好きで溜まりません。
いつまでも、そんなアスランであり続けていると思います。(笑)
2006.03.25