結局、俺の人生の大半はカガリに懸かっているのだろうと、そう感じた。
小さい時から不思議なくらい自分はカガリに執着している。
他の女の子を一度だって好きになった事も特別に感じた事も無い。
ただ・・・カガリがいてくれればいい。
「お・・おはよっアスラン」
次の日カガリは珍しく俺の迎えに来てくれた。
「おはよう・・まだ六時半だぞ?」
いつもより三十分も早いじゃないか。
「いつも迎えにきてくれてるお礼だよッ」
制服に着替えたばかりの俺にカガリは嬉しそうに微笑んでみせる。
早く逢いに来てくれたことは凄く嬉しかったのに、今までのことを思うと申し訳なくて合わせる顔が無い。
「・・・なんだよ、その微妙な顔はッ」
カガリは唇を尖らせ、ズカズカと家に上がりこんできた。
「カガリ?」
リビングの俺が朝食を食べようとしていた椅子の前に腰を下ろす。
「朝ご飯食べるんだろ?外で待ってるの寒いから此処にいる。」
--------あぁ、そうか。
「ありがとうな、カガリ」
そう、カガリの意図に気が付いて言うとカガリは頬を赤く染めて、顔色を伺うように見てきた。
「・・・一人じゃないぞ?私がいる。」
家族がいない同然の俺に・・会いに来てくれたんだよな。
「・・・・。」
-------昔から・・そうだ。カガリは俺が寂しいんだと思えば必ず・・こうして来てくれる。
望んでいる事を・・しようとしてくれるんだ。
「---カガリは・・・」
そこで言葉を止めた。・・・・怖かったから・・ではない。
----恨んでいるのか?
愚問だな。きっと
そんな愚かな質問をする前に・・何か・・・
俺が君に出来る事は無いのだろうか?
「・・・俺に・・何かして欲しい事とかないのか?」
いつだって俺は受身だ。
・・・・カガリとキラが俺の居場所を作ってくれて、何をしようと俺に愛を注いでくれたカガリ。
----なのに、俺はいつだって・・傷つけるばかり。
「・・・ずっと・・傍にいてくれ。」
小さく真っ赤になってカガリは小声でそう言った。
「---・・い・・嫌か?」
目を逸らして、ギュッと目を瞑り恥ずかしそうに開いて伺うような視線が合う。
---------・・・
「・・・駄目だな・・俺は。」
「え?」
・・・・だって、そのセリフをカガリに越されるんだから。
「---・・大人になったら・・・・結婚しよう。」
結婚、そうはっきりと口に出す。
言わなければいつかカガリから言われてしまいそうだったから。
もう二度と・・傷つけない。間違わない。疑ったりしない。
-------誓うよ。
「アスラン・・・」
言った俺も赤ければ、それを言われたカガリも真っ赤だった。
「・・・ちゃんと・・守れる存在になるから。」
君が俺を守ってくれる存在であるように・・・・。
----俺も、
「・・・嬉しいっ」
カガリは椅子の上で泣き出して顔を手のひらに埋めた。
丁度朝食を取り終わって、カガリの横に行き抱きしめる。
「ありがとう、カガリ・・・・こんな俺のこと・・好きでいてくれて---ありがとう。」
無性に----涙が溢れた。