家に帰れば、温かいご飯と・・優しい家族に迎えられる。
---------それが・・夢でもあった。
だが・・両親は共働き、母さんだって・・・今じゃ一ヶ月に一度しか帰ってこない。
父さんなんて・・・・・・・・あったのがいつだったかも・・思い出せない。
生徒会が終わり、暗くなった道を一人で歩く。
隣には・・誰もいない。
冬の風が、その寂しさを増徴させているようにさえ思えた。
でも・・帰れば・・・・カガリがいる。
---------いつも通り、俺をベットの上で待っている。
・・・、、、多分・・その行為が終われば、寒さなどに関係なく俺の心はまた軋むだろう。
-----一瞬だけの・・快楽。
刹那に触れる肌。
そして明日の朝には何もかも無かった様に消え失せる。
ぬくもりも・・・。傍にあった肌も-------、、ましてや、心なんて元からないけど。
ガチャンと自宅のドアを開ければ、懐かしい匂いがする。
--------ロールキャベツか?
久しぶりに母が帰ってきたのだろうか?
・・・それはそれでやりづらい。
そう思ってリビングにいけば、思いもよらない人の影が見えた。
-------か・・カガリ?
「お帰り、アスラン」
つけていたエプロンを急いで外し、俺の方へスリッパをパコパコ鳴らしながら近づいてきた。
「今日、ロールキャベツ作ったんだっ・・アスラン好きだったよな?」
--------なんで君は・・。
そう、考えるのと同時に抱きしめていた。
-------俺の欲しいものをくれるんだろう。
今までの寒さなんて忘れてしまえるように、暖かく感じる。
体温だけじゃない・・・・・心が
するとカガリは潤んだ目で微笑んでそっと瞼を閉じて唇を近づけてきた。
ちゅ
そう、音がしてアスランの冷えた唇にあたたかくふんわりとした唇が重なる。
思わず唇を押さえて、-----どうしようもなく、嬉しくて・・・息を呑んだ。
初めてだった、カガリから---唇を重ねてくれたのは。
「-------アスラン?」
カガリは新婚さんみたいだとニコリと笑い、その微笑みにアスランも微笑み返す。
・・・・なんで?
疑問が膨らんでゆく。
--------嫌われたはずだ。
そう、困惑した瞳のままでいるとカガリが体重を預けるように此方に倒れこんで顔を疼くめる。
「か・・カガリ・・。」
抱きたいと、いつも当然にしている行為をするのになんでこんなに恥ずかしさが沸くのか分からなかった。
何だか嘘みたいだと、思うのだが、たしかに此処にカガリはいる。
胸元をギュッと掴み、中々離そうとしないカガリを覗き込む
なんで・・・どうして----------?
・・・・・・・信じても・・いいのだろうか。
「-----夕飯、ちょうど出来たところだから・・・一緒に食べよう?」
・・・・一緒に。
昔の約束を思い出し胸がキリリと痛んだ。
でも・・・こんな時ぐらい・・・・信じていても良いじゃないか。
「--------・・凄く・・巧いな、ロールキャベツ。」
「ほ、本当かッ!頑張って作ってよかったっ」
カガリは嬉しそうに微笑んで、やっぱり----カガリはカガリなんだと確認する。
百面相ともいえる顔はいつだって正直にカガリの心を映し出す。
-----・・・そうならば、今の彼女は・・幸せそうに見える。
・・・・俺といる事が・・彼女にとっての・・・・幸せ・・・?
---------本当に?
言葉に出して聞きたいのに、駄目になるのが恐くて不信な目を向けてしまう。
だが、カガリはちょっと心配そうに首をかしげて、箸を唇に当て見返してきてくれる。
「----この前もいったけど・・・態度だけじゃ伝わらないぞ。」
私はエスパーじゃないんだから。そう笑って言われて----・・頑張ってみようと口を開く
「・・か・・カガリは・・・・・・俺と一緒にいて・・・どうなんだろうと思って。」
言ってしまったと酷く後悔したが、言ってしまった以上後には引けないと覚悟を決める。
-------拒絶・・されるかもしれない。
「こうやって-----いられたら、嬉しいと思う。---傍にいたいと・・ずっと想ってるんだけどな。」
ちょっと俯いて、そして恥ずかしそうに頬を赤らめる。
だが、急に哀しそうな顔をされて・・・・嘘なのかと、心で呟いてしまう。
--------もう、君に突き放されるのは嫌だ。
「なぁ・・アスラン-----」
そう、口を開いたカガリをすぐさまとめた。
「アス・・・。」
ビックリした目で、カガリはアスランを覗き込む。
さっきまでの和やかな空気は打って変わりピリピリとして肌に突き刺さる。
-------何を・・望んでいるんだ?アスランは・・・。
そして、さっきまでとまるで変わったアスランが目の前にいた。
・・・・ベットの上と、同じ顔。
でも、此処で引いてはと言い聞かせる。
さっきまでのアスランは昔と同じだったじゃないか。
昔と同じアスランがいる以上・・・・・大丈夫だ。
---話せば・・・絶対に和解できる。
だが、その想いとは逆に無理に手を引っ張られ、アスランの部屋がある二階へと連れて行かれる。
「聞いてくれっ・・アスラン・・・・話せば・・ちゃんとっ--------」
だがアスランは言いかける言葉を止めるように口を塞ぐ。鼻にまで手が重なり呼吸が苦しい。
それでも、必死にアスランアスランと叫び続ける。
部屋の前まで来て、手が離れた一瞬---ハッキリと声に出した。
「嫌だ・・アスラン!!!!!!!!!!!」
初めて・・彼との行為を拒絶した。
アスランは一瞬とまり、キッと睨んでカガリを睨む。
-----拒む事なんて許さない。
例え・・カガリがいやだって・・・・・許さない。
・・・・・・・・・・なお更・・
繋ぎ止めないと
そして腕が緩んだ隙にカガリは元来た階段へと駆け出す。
--------・・・逃げさせない。
そう頭で過ぎったのか反射的に追いかける。
階段の直前でカガリの腕を掴んだ。
逃がさない。
君が俺を・・どんなに嫌おうと、
-------俺は・・・。
涙をいっぱい瞳に溜めて、カガリはこっちを睨みつけてくる。
その視線が痛い。
だが、それは急に弱いものへと変わった。
「・・・好きなのにっ・・・・こんなに好きなのに・・・っ・・・。」
---え?
急に何かが戻ったような感覚に襲われて、掴んでいた手が離れた。
カガリは、アスランと逆方向に力を出していて・・・それは階段の下側にだった。
-------落ちるっ
そう覚悟カガリはして、目をつむる
「えっ」
グッと腰に力が入り、何もしていないのに宙に浮いた気分になった。
グイッと引き寄せられて、暖かいものにぶつかる。
「「・・・・・・・・・・・・・。」」
アスランだ・・・・・・・。
「なんでだよ・・ぉ・・アスラン・・っ・・何で・・・。」
しゃくりあげて泣くカガリにアスランは困惑した瞳を向けざる終えない。
--------何を言っているんだ?
そう頭に言葉が浮かぶ。
「何で私は・・・ずっと・・ずっと大好きだった・・お前に-------犯されなきゃなんないんだっ!?」
「・・・・・え?」
-----ずっと、、ずっと・・・好きだった
カガリが・・・・・・・・・・
「嫌い・・・なんだろう?俺のこと。」
そうだと・・君が言ったんじゃないか-----だから・・・
「好きじゃない奴と・・・度々やれるかよっ!!」
怒りで赤くなった顔を覗き込む。
嘘なのか・・本当なのか・・・?
「なのに--アスランは・・・いつだって・・身体しか求めない・・------お前は私が嫌いなのかっ!!?」
そう怒鳴られて、言い返す。
「嫌いなわけないだろうっ・・!?君が・・・前に・・・・・・・」
----大嫌いだと
「なんだっお前!!昔の私の言葉は信じられるのに、今の私の言葉は信じられないのか!!!」
抱きついて、カガリはわんわん泣き叫んだ。
「一緒にいるって・・約束したのに----っ!!お前は私の事・・ずっと前から嫌いになってたのかっ!!」
一方のアスランはその言葉を聞いている間ずっと目を白黒させていた。
「好きだから・・・だから---っ・・嫌だったけど・・・・・今まで私は誘いを断らなかっただろっ!!」
首元をつかまれガクガクと揺らされる。
「お前が何も言わないから!!嫌いなら嫌いってハッキリ言えよ!!そしたら直ぐにどっかいってやる!!
-------っ身体だけなら他に当たれ!!!!私は嫌だっ!好きな人に同情で抱かれるのは!!!」
言いたい事を全て言い、肩で呼吸を繰り返した。
「・・・・それでも・・身体だけでも--------・・そうどっかで思ってたかも・・しれないけど-----」
途切れ途切れに、アスランに伝える。
「でも-----何されても・・嫌いになれないんだよ・・・・・アスラン」
声が震えだす。アスランは---私に、何を求めていたんだろう?
「-----好きなんだ・・ッ--だから・・・嫌いにならないで・・身体だけの関係にさせないでほしい・・・・なのにッ・・」
----------届いているだろうか私の声は・・アスランに・・・。
「・・・どうなんだよ!!!」
もうやけくそだと、言い聞かしアスランを見る。嫌いだと言うのであれば・・・もう二度と、こいつの前には姿を出さない。
-------そう・・思って見あげた・・・・はずだった。
「-----------アス・・ラン?」