W 幼い日の幸せと罪




「カガリっ」

「アスランッ」


幼稚園から毎日同じように、三人は一緒にいた。

「何、今の・・・僕だけ仲間はずれみたいじゃないッ?!」
キラは憤慨して腕を組み溜息を漏らす。
それはいつだったのだろうか、恐らくはまだ自分達が小学校五年生・・四年生だっただろうか?
「何言ってるんだよ、キラ----拗ねるなよ。」
そう言ってカガリはニコやかにキラの頭を撫でている。
一方のアスランは、カガリに頭を撫でてもらった経験など無い。
この三人は、だいたいカガリがリーダー、アスランが補佐、キラはカガリが決断できなかった時のサブリーダーなのだ。
そして、一番しっかりとしているのは当然アスランだった。

「今日は探検して帰るぞッ」

カガリはぺんぺん草を回しながら陽気に通学路ではない道を指した。
「-------そっち・・通学路じゃないだろう?」
だいたい、家の場所によって通学路は変わるが・・・そんな道誰一人通ってはいない。
「だから行くんだよッ」
アスランの手を取りカガリは駆け出す。キラも隣で笑いながら走り出した。

--------幼い日の、綺麗だった頃の思い出。


そして小さな公園を発見する。滑り台と、小さな鉄棒が一つ。本当に小さい公園。
「遊んでいこうっ」
「・・・五時までには家に帰るからな。」
「アスラン硬いこと言わないっ」
のんびりと三人で夕日が沈むのを見ながらランドセルを置いて遊びだす。
誰が一番長く前周りを繰り返せるかとか、滑り台を三人で一緒に滑り降りたりとかしていた。
その時に、キラ、カガリ、アスランの順に下から並んだ。

-------ギュっ

そうアスランがカガリの腰から腹にかけてを強く抱きしめて、幼いながらカガリは真っ赤になってしまう。
滑り終わってもほてりが取れず、顔に手を当ててアスランを見た。
「・・・、ゴメン-----。」
ちょっと赤くなって言われ、首を振る。自分だってキラの事・・抱きしめてたし。そうするものだし・・・・・。
--------それに何より、嫌じゃない。
「あ・・アスランがギュって抱きしめててくれて・・安心して滑れたぞっ・・ありがとう。」
その言葉にアスランは顔を真っ赤に染め上げ、キラは呆れた目線でその二人を見た。
「-------いっておくけど、カガリは僕のだからねっ!」
「・・っな・・!!」
キラとアスランの取っ組み合いが始まりカガリは仲介をするように中に潜れば二人に揉みくちゃにされる。
「---カガリは・・どっちがすき!?」
キラはもうこうなったらやけくそだとカガリに尋ね、カガリは迷いに迷ってしまう。

「-----っ・・喧嘩する二人は・・嫌だッ」

そういい残してカガリは公園から去ろうとするのでアスランとキラは必死に追いかける。
「ま・・待てよカガリッ・・。」
二人同時に腕を掴めば涙目のカガリはキッと二人を睨みつける。
「喧嘩しないなら・・・二人とも大好きだ。」
ボソッと言われた言葉にアスランはどうしようもなく赤くなり、キラは歓喜でカガリに抱きついた。
・・・・・・・そんな、緩やかな感じて・・自分達は育ってきた。

そして今でもハッキリと覚えているのは、保健体育の授業後アスランがカガリを呼び出したとき。
お互い丁度性についての授業を受けたばかりで、なんだか自分達は違うんだ、から男と女なんだって・・という次元まで来ていた。
「----あの・・さ、カガリ。」
たどたどしく声をかけられカガリは不思議そうにアスランを覗き込む。
「どうかしたのか?」

「-------・・俺、カガリを泣かせたり・・困らせたりしないような人になりたいんだ。」

「--------え?」

ギュッと両手を握り合い、アスランはカガリの目を見て真剣に言う。

「だ・だから・・・・将来・・・お嫁さんに・・なって・・ほしいんだ。」

小さく呟かれた声にカガリは頬を赤らめて明らかにいつもと違う態度を取る。
その時のアスランは内心嫌われたんじゃないかと嫌な汗が流れていた。

「-----・・嬉しい、ぞ・・アスラン、ありがとう。」

にっこりと微笑まれアスランはドキンと胸が鳴るのを聞く。
「---そうだな・・お前が私を困らせたり・・泣かせたりするのから・・守ってくれるなら・・・。」
カガリは恥ずかしそうに俯いて顔を上げた。

「じゃあ私はっ・・ずっとアスランの隣にいてやるからな!」

その答えにアスランは目を白黒させて考えていた。

-------ずっと一緒にいられる。・・・カガリと。

--------嬉しい・・。


「アスラン?」
不思議そうに覗き込んでくるカガリにアスランは真っ赤にながら呆然と頷いた。

「ずっと・・一緒にいようッ・・・・約束だぞ!」

指切りげんまん・・
カガリがそう歌いだすとアスランは

「ハリセンボンは嫌だ------どっちか死んだりしたら元も子もない。」
「じゃあ・・何がいいんだ?」
「-------そうだな・・。」
アスランは直ぐに思いついたように顔を上げる。

「絶対・・離れていかない・・・・ってのは?」

カガリは首を傾げるが「良くわかんないけど分かった」と言ってその答えを承諾した。
そして指切りを終え、二人は小さな手を握り合ってクラスへと帰っていく。


---------一番輝いていた時代の話。
























































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あとがき
ホワイト・ザラことピュア時代アスラン。
こんな頃もあったんですと伝えたくて書きました。
えぇ・・・こんな時もあったんですよ!!

2006.03.21