U 和解を望まれない心



学校での彼はまるで仮面を付けたようだと感じる事が多い。

・・・・・・・・私の前が・・偽者なのかもしれないけど。

--------実際はどれも本物の彼なんだろう。


「帰るぞ、カガリ。」
そう手招きをされて嬉しくてニッコリ笑って駆けていけばとても優しい表情のアスランに抱きとめられる。
「--------寒くなってきたな・・この頃。」
手を真っ赤にして白い息を吹きかけると見かねたアスランは腕を掴み手をアスランのポケットに入れてくれる。
「・・これで寒く無いだろ?」
「-----あぁ・・ありがとう」
ちょっと恥ずかしそうに見あげればアスランも少し恥ずかしそうにポケットの手を握り返してくれた。

アスランが好きだ。
それは・・・きっと永遠に変わらないと感じられる。----でも

「おい、こら貴様・・生徒会サボる気か馬鹿者ッ!」
パコンと鞄でアスランを殴り堂々としているのはいっこ年上のイザークだった。
「・・・しかも、女連れとはなッ」
フンと鼻を鳴らしこちらを見てくるが・・・私には何の非も無いと睨み返すとイザークは噴出してしまう。
「-----貴様に言っているわけではない、アスランに言っているんだ。」
イザークとは時々喧嘩になりながらも結構仲が良いので「当たり前だ」と言い返して笑った。
「・・・・・・・・仕事なら終わっている。」
アスランは不機嫌そうにフロッピーを押し付けるような形で渡す。
「---・・じゃあな。」
アスランが手を引き、挨拶をしようと振り返り飽いている手でイザークに手を振った。

---------痛い。

「・・・アスラン・・手・・痛いぞ。」
帰り道を歩きながら、アスランに抗議する。----イザークと話したから?・・・まさか、そんな事で?
実際・・・この前はなした時は・・・・・平気だったよな?
アスランは私を前にすると驚くほど喜怒哀楽が激しい事は承知していたし・・許す覚悟も出来ているつもりだ。
でも・・あの程度で、そんな態度を取られるのは流石に困る。
-----ましてや・・学校で。

「・・・すまない。」
パッと手を離されて、ポケットからも追い出されてしまった。

-----違うだろ?

そう思って直ぐにポケットに手を入れると、アスランは困ったような瞳を自分に向けてくる。
「・・に・・握るのは良いんだよ・・。ただちょっと痛いって思っただけだ。」
頬を染めてそう言うとため息を付き、キュッと手を握られた。
「----・・からな。」
スッと隣でいわれた言葉がよく聞き取れず、「?」と言う顔を向けるとおでこにわざとらしく音を立ててキスをされた。
辺りを見渡して誰もいないと確認をしてから、アスランを見る。

そして先日・・いや、ずっと前から感じていた疑問をアスランに投げかけようとしたが、恐くて口が聞けなかった。
-----・・そいう話は・・アスラン怒るから。
でも、いつまでもこんな変な関係は嫌だと思っていた、もう・・随分と昔。アスランがおかしくなった時から。

「-----アスラン・・口に出さないと・・・・分からない事だってあるんだぞ?」

いつもお前は態度で出すから・・・。そう思って口にすると「何の事だ?」と聞き返される。
「・・・アスラン・・私は・・・--------。」

いつも・・いつも------あんな行為を無理強いされる度、心配で堪らない。
・・・・・何がお前を--------優しかったお前を歪めたんだ?
心配そうに覗き込んでいると、アスランは黙り込んでしまう。
結局黙ったまま、家の前まで来るとアスランは何も告げづ家に戻ろうとする。

「-------・・アスランっ・・。」

哀しくなってそう声をあげても、アスランは絶対に振り返らない。
--------知っているけど。


「・・・なんで・・そんなんになっちゃったんだよっ・・!!!」


家の前で少し大きめの声で絶対に聞こえていると確信しながら声をふり絞った。
--------こんな事言うと、次にアスランの部屋に呼ばれた時が恐い・・けど。
ポロポロと涙が零れたのは、多分希望だったんだと思う。

信じてるから・・私は。


絶対・・・・・・・昔のように、戻ってくれるって。







哀しくなって、キラに相談をするとキラは困ったように首をかしげた。
「---------・・僕は・・カガリを守れるけど・・それじゃ、根本的な解決にはならない、よね?」
おそらく、そんな事をすればアスランはカガリが一人の時を発見すれば必ず直ぐに部屋行きだとキラは知っていた。
「・・・・そう、なんだか・・・・----。あんなアスラン・・見ていられない。」

----------哀しい。

「・・・好きで・・いてくれているん・・だよな。」
歪んだだけで。・・・・・そっちの歪んだ方が本心だとは未だに思えない。
「-----昔から・・アスラン、カガリのこと大好きだったから・・。」
キラは慰めるように抱きしめて背中をさすってくれた。
「-------アスランだもの・・きっと大丈夫だよ。」
大丈夫・・・そう、、、でもそう思うにも余りにもアスランは盲目的すぎる。
それでも--------、信じたい。ずっとずっと・・私だって・・アスランの事が好きだったんだから。

・・・その想いは思いがけないカタチで実ってしまったけれど。

「・・・あぁ・・。」


14年間、生まれてからずっとずっと、私を守り続けてくれた彼が二年前急に態度をガラリと変えた時があった。
-------その時、何かがずれて・・それは未だにずれたままだ。
だからこそ・・。
「---私が・・アスランを守る番なんだ。」

--------私の番なんだ。

14年間、その間彼が自分を守ってくれていたように・・私は彼のそばにいる。絶対・・突き放したり、見捨てたりするもんか。


「そうだね、頑張って・・カガリ。」



幼い日に交わした約束。


-----------じゃあ、私はずっとアスランの隣にいてやるからな!!



その誓いは今もまだ胸にある。






















































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あとがき
相変わらずダークネタですね。
でもこういうの結構好きです、歪んじゃった〜!!って思う。(what)
カガリ視点ばっかりなんで、アスラン視点も書きたいなッ!!

2006.03.20