「でな、アスランがキラに負けて・・・」
「お化け屋敷入って・・・」
「そしたらな、黙って隣に来てくれて・・・・」
「あぁッもう!!分かったわよあんたの惚気は!!!!!」
ビシャンとフレイに怒鳴られ、ミリィとラクスが苦笑した。
「のろ・・け?」
「だーもう!!この天然っ子!鈍!恋愛初心者ッ!!!疎々星人!!!!」
「うとうと・・星人?」
堪忍袋が切れたフレイはカガリに怒鳴り散らす。
「なんでそんなにラブラブなのに付き合わない訳があるのっアホ子!!」
「フレイ言い過ぎ。」
ミリィは止めるようにブリックパックのジュースを飲みながら笑う。
「ったく〜〜〜男も男よッ全く・・・せっかくそそる格好させたのに・・・何やってんのよあの将来的に禿はッ!!」
「--あらあら、それは少し痛い未来ですわね」
ラクスもアハハと笑っている。
「ちょっと・・文句言ってくる。」
「なんて?」
「ちゃんとあるはずのものあるのかって。」
「・・・何の事だ?」
そうしている間に起こったフレイはずかずかと廊下に出て行った。
「チャイム・・なるまでにあんま時間無いのにな。」
「-----あーあ、お昼のアスラン君楽しみだな〜。ラクス、その時のこと聞かせてね。」
「分かりましたわ。」
そうしてラクスは自分のクラスへと帰っていく。
「何はともかく、ありがとうねカガリ。お土産・・嬉しかったよ。」
ミリィにそう微笑まれなんだか嬉しくなる。
「ああっ、気にいってもらえてよかった!」
ニカッっと微笑むとミリィもにこりと微笑み返してくれた。
フレイや・・ミリィ、ラクスも---みんな付き合えと言ってくる。
別に嫌なわけじゃないし・・・アスランに自分以外の恋人が出来たらショックなのも認めるさ。
ただ・・私は前ラクスが言っていた・・・恋人と幼馴染の両方を取り入れた関係になりたい。
それから・・徐々に徐々に・・恋人に偏っていくのは・・構わない。
・・・「今すぐに恋人と幼馴染、どちらかしか選べません」と提示されるのが嫌なんだ。
-------すくなくとも、今の私は恋人と幼馴染だったら幼馴染の方がいい気がする。
・・アスランだって・・・・きっとそうだ。
お昼のとき、少しアスランがそわそわしているように見えてならない。
「-------?あれ?---ラクスと・・キラは?」
「なんだか---委員会の用事らしいぞ?・・・来れたら来るって。」
そう、言葉を交わしながらもアスランは少しそわそわして青ざめているように見える。
いつもの様に屋上に入り、校庭が見えるところでお弁当を広げた。
「・・・・・。」
いつもよりずっとずっと黙り込んでいるアスランは、何も言わずご飯を食べだす。
「・・・アスラン・・具合・・悪いのか?」
「---そんな訳じゃ・・。」
覗き込むとアスランはフッと目を逸らしてしまう。
「--------?」
結局食べ終わってもキラとラクスは来ない。二人でのんびり会話でもしたいのに・・アスランは喋りたくないように見える。
「やっぱ・・具合悪いのか。」
「大丈夫だから」
この話題はナシと言われるようにキッパリと切られ、余計に心配になる。
手のひらをおでこに近づけようとすると、ぱっと手で払われた。
「・・・・ゴメン・・本当に大丈夫だから。」
ムスッとする。何だよ・・・心配してやってるのに。
大体・・アスランがこういう態度の時は嘘つくに決まってるんだ。
グッと素早く腕を伸ばし、首を捕まえた。
「え・・・?」
アスランは驚いた顔をしたがそのままおでことおでこをくっつける。
翡翠色の瞳が此方の瞳を覗いているが気にしない。
「・・・熱は・・ない---みたいだな。」
「・・・っカガリ・・。」
そしておでこを離して近い顔同士を着き合わせ微笑んで見せた。
「具合悪いなら・・言えよ?」
そして腕を解こうとする、しかしそれをアスランの手に遮られた。
「----え?」
ちゅ
そう音がして、コンクリートに優しく倒される。
「--------・・・・?」
何が起こったのか未だに良く分からない。
視点が合わず暫くすると、アスランの顔が飛び込んできた。
「・・・今・・なに・・・・・」
--------したんだ?
そう・・聞こうと思った。
するともう一度彼の綺麗な顔が近づいてくる。
・・・。
「っ」
口の中に何がおかしなものが入ってきて、動いている。
「っん---ぁん・・・」
ビックリして声をあげようとするのに唾液とその塞いでいるもののせいで声は上がらない。
しばらくそうしていて、やっとアスランからのキスだと気が付いた。
そう、思えた瞬間に・・抵抗の声を止ませる。
「・・ん・・ぁす・・らん?」
時々開く口から、何だか不思議な声が出ていると感じた。
とてつもなく・・夏で暑いのだが・・この熱さは別のものだと確信する。
----------そして、悲しくなった。
グッと腕でアスランを押し返す。
「・・・か・かがり?」
アスランは拒否されたと、悲しそうな声をあげた。
「・・・私たち・・・・・、、幼馴染・・・じゃ・・なかったのか?」
泣きそうだった。