C-8:両手いっぱいの嘘










ダブルデートの日が近づいてきて、でもデートに着ていける洋服なんて全くなくって・・・
結局、一番流行に敏感なフレイにお願いして家にある服でどうにか着ていけそうなのを選んでもらった。
「-----これでいいじゃない、あとこのパンツ。」
赤いキャミソールと三年ほど前に履いていた制服なんかよりずっと短いジーパンを出される。
「ちょっとこれ・・短くないか?三年前のだぞ?」
「----------いーのよ、あんたのスタイル・・生かす服装なんだから。」
そしてニッコリと微笑まれ
「本当はミュールがいいんだけど、あんた高さあるの嫌いだから・・サンダルね。そしたら足も疲れないわ。」
絶対コレでいきなさいと念を押され、あぁと頷くとフレイは「今度アスランからかおうっと」と笑って帰ってしまった。



ネズミーランド行きのバスに乗り、アスランの隣だと言うのに爆酔してしまう。
数時間後ついて、下りると結構人がいた。
「あらあら・・こんなに混んでいるものですのね。」
ラクスは逸れてしまわないようにとキラと腕を組んで頬を肩に密着させる。
「僕らでチケット四人分取ってくるから、先に並んでてよ、入り口に」
そう言われアスランと入るために並んだ。
「・・・?どうかしたのか?アスラン」
アスランは少し不機嫌そうに見えて、せっかくなのにと溜息が出そうになる。
「いや・・・人ごみだなって思って・・。」
「そーだなー・・・嫌いだもんな、アスラン人が沢山いるところ。」
「-------・・まぁな。」
グッと腕に腕を絡められ、ちょっとビクッとする。
「------・・はぐれたら・・困るからな。」
公衆の面前で腕を組むのは何だか恥ずかしいが・・・でも、この人ごみなら仕方ないと自分からも絡めなおす。
暫くして、ラクスとキラが戻ってきて入園時間になりネズミーランドに入った。

射的の未来版のようなもので乗り物に乗りピストルを構え的に当てるというものに乗った。
ゲーム好きのキラと負けず嫌いのアスランが本気で争いだす。
結果、私は8000点、ラクスは4000点、そして・・その二人は。
キラ:20500点、アスラン19900点の600点差でキラが勝利を飾る。
負けず嫌いのアスランは、時間が余ったらもう一回乗りたいという顔をしていた。
直ぐにお昼になり、パレードの時間が近づく。

「じゃあ・・僕とラスク、ちょっと早いけどパレードの席取っておくよ。」
「では後ほど。」
そう言って二人は姿を消してしまった。
パレードの時間が近づき、ラクスとキラに連絡を入れても中々通じない。
「-------・・、あれ・・おかしいな・・・。」
「人ごみで音が聞こえないかもしれないな。」
パレードも始まり、しかたなく二人で行動する事にした。

「お化け屋敷っ・・あれ、入りたくないかっ!!」

そう言うとにっこりと笑ってアスランは行こうと言ってくれた。
入ると、所々蜘蛛の巣があったりして少しビックリする。
ある程度進むと乗り物に乗ることとなった。
「勝手に進むみたいだな。」
「あぁ---。」
腕を握ったまま、乗っているとアスランは少し此方に寄るようにしてくる。

「---っ・・。」

ちょと恥ずかしくて、でも少し恐いのもあり自分もグッと腕を強く固定する。
チラッとアスランのほうを覗くとアスランは「どうした?」と顔を此方に向けてくれた。

---------っガタンッ!

「え?」
そう音がして照明が消え、乗り物が止まった。
客から少し悲鳴が上がり、少し恐くなってアスランを見る。
「・・・アスラン・・いるよな。」
そして更に強く腕を握るとアスランはそれを嫌がるように解いてしまった。
「アスラン?」
不安になって話しかけると同時に、背中にアスランの腕を感じた。
肩を抱かれ、耳元で囁かれる。
「これで・・恐く無いだろ?」
そして子供をあやすように髪の毛にキスをされた。
そうしてもらったお陰で大分落ち着き、アスランに擦り寄るとより強く肩を抱かれる。
パッと照明が戻り、お化けや幽霊達の姿が青白く映し出された。
『大変申し訳ございませんがアトラクションが・・・・』
そうアナウンスが流れ、故障したらしいから出口まで歩けと言われた。
係りの人が来て、
「此処からのお客様は、出口からお願いいたします」
そういわれてアスランと席を立った。
最初のうちは割りと面白がって見ていたのだが、時々幽霊と目が合うと堪らなく悪寒が走る。
それに、もう五分ほど歩いている気がするのに・・出口が見えてこない。

「・・・っ・・、早く・・出たい。」

そう呟くとアスランは「怖いのか?」と馬鹿にしてきた。
「こ・・怖くなんてないっ」
「じゃあ・・腕はなすぞ?」
「なっ・・・。」
ちょっと意地悪なアスランに機嫌を損ねて喧嘩腰になってしまう。
「大丈夫だッ」

腕を外しツカツカと歩いていると、急に棺おけから人が出てきてビクッとする。

「-------怖いんだろ?」

「こ・・怖くないっ」
だが、度々そういう事がありさすがに"怖くない"で通すのに無理が出てくる。
「カガリ。」
フッと横に来て囁かれてドキッと心臓の音がした。
グッと肩を抱かれ、勝ち誇ったような目で見られる。
「・・・怖いなんて・・・言ってないからな。」
そう言い切る自分をアスランは苦笑してから
「分かったよ」
そして肩にある手を外し、髪を撫でてまた肩に戻す。
「・・・・・・---っ・・ありがとな。」
これ以上口で言うのは恥ずかしいから頭をアスランのほうに倒して軽く擦った。
そしてまた暫くすると明るい出口が見えてくる。

「出口だっ」

そう言って出るとアスランは「よかったな」と笑いながら言ってくるが、ちょっと怒りながらも笑顔で返した。


夜になりナイトパレードが始まっても、結局ラクスとキラには逢えなかったがいつの間にかメールが入っていた。
"なんか、はぐれちゃったから・・別行動しよう?"
恋人同士のキラとラクスを思えばそっちのほうが良かったんだろうと思う。

「バスの時間が近い・・・お土産かうんだろう?----もう、抜けた方が良さそうだ。」
お土産のゾーンに行き、クッキーの缶三箱とペンを二本買った。
指で数え、足りない分が出ないか確認する。
「誰にあげるんだ?」
「えっと・・ニコルだろう・・シン、ルナ、レイ・・イザークにディアッカに・・あとマリュー先生とムゥ先生と・・当然トール、サイ・・・」
そう長々と言うとアスランは溜息を付く。
「カガリは人気者だからな。」
不機嫌そうに言われ、肩を抱いたままレジ行きバス停でバスを待っていた。
「何不機嫌になってるんだよ。」
「別に・・勘違いじゃないのか?」
カチンと来たが、アスランは拗ねてくれているのかもと少し嬉しくなった。
「なぁアスラン。お土産って何で買うと思う?」
「・・・?」
「私は思い出を別けてやるためだと思ってる。」
アスランは何が言いたいんだと首をかしげた。

「-----アスランとの今日の思い出、皆に渡しながら伝えてやるよ。」

ニッコリと微笑むとアスランは噴出した。
「失礼だぞ・・人の顔見て笑うなっ」
そう怒るとアスランは笑いそれを少し止めてから、
「いや、カガリにはかなわないな」
と頭を撫でられた。
「子ども扱いするなよっ、私のほうが年上だぞ!」
「五ヶ月ね」
機嫌直せとおでこにキスをされて真っ赤になってしまう。

「-----っおまえなぁ」


そうしているうちにバスが来て、一番後ろの席に乗ってスヤスヤと寝てしまった。



































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あとがき
幼馴染と恋人から全く進歩しないorzあと二話(計四話)しかないのに。
・・・はぁ、でも今まで大体同じ時間軸で書いていたのを止めれば、それなりに・・・・
でも同じ時間軸で書きたいし・・アスランサイドはアスランだけ、カガリサイドはカガリだけがいいし・・・
読んでる人からしてみればぶっちゃけ同じセリフが続くわけで、くどい(自覚してるならやめろよ)わけで。
でもそーいう小説もありかな〜なんて思うわけで・・・。(爆死)
2006.03.23