バスに乗って2:2に別れると、自然とカガリの隣になる。
「---・・。」
ちょっと気恥ずかしいのもあって、暫く話さないでいるといつのまにか寝息が聞こえてきた。
--------・・・・・・・・、カガリらしいな。
どうやら俺が隣とかそんな事カガリには関係ないらしい事に気が付き少し切なくなる。
そしてちょっと不機嫌になる。気が付かれないようにカガリの頬にキスをしておいた。
--------、まぁ・・これでおあいこだよな。
カガリに目をやると夏のせいかのか割と露出が多い服を着ていることに気がつく。
キャミソール一枚に凄く短いジーパン、そして高さのないサンダル。
その服はカガリのスタイルのよさを強調しているかのように見え、少しドキッとした。
入場の際、並んでいる最中どうも人の目線が気になって仕方が無い。
しかも・・男が、カガリを見ている。
確かに、中性的で綺麗めな顔立ちのカガリ。しかも人外れたスタイルのよさを更に強調するような服。
ただでさえ長めの足は、サンダルで強調され長さを増したように思わせる。
腰周りだって同年代からは考えられない細さだし・・それに反比例するように活発そうな肌の色。
世の中の男が見るのも--------分かるような気がする・・が、
「・・・?どうかしたのか?アスラン」
そんな気も知らないカガリは不思議そうな顔で覗き込んでくる。
「いや・・・人ごみだなって思って・・。」
「そーだなー・・・嫌いだもんな、アスラン人が沢山いるところ。」
「-------・・まぁな。」
確かに・・人ごみも好きではない・・・だが、それ以上にカガリの良さを他の男に認知されるのが堪らなく嫌だ。
でも人ごみだと言うのを理由にカガリに腕を絡める。
「------・・はぐれたら・・困るからな。」
カガリは人前で腕を組んだりするのは好きではないと知っていたが、でもこの状況なら仕方ないとカガリも腕を絡め返してくれる。
お昼になりキラとの打ち合わせどおりにわざとはぐれる事になった。
カガリは仕方なくという感じで二人で回る事に一応成功して少し浮かれる。
「お化け屋敷っ・・あれ、入りたくないかっ!!」
子供のように指をさして、アレに乗りたい乗りたいと言う姿は昔と変わらないなと笑みがこぼれる。
中に入って暫くすると、乗り物のようなものに乗せられた。
「勝手に進むみたいだな。」
「あぁ---。」
少し怖がりぎみのカガリに安心しろよと身体を密着させる。
「---っ・・。」
恥ずかしそうに息を呑んで、少し此方を伺ってからカガリもギュッと腕を掴んでくれた。
腕同士が素肌でしかも広い面積でくっついて、何となく恥ずかしくなってしまう。
それに、カガリが怖さのせいかあんまりにも強く腕を引き寄せるから、胸にも当たっている。
だがカガリはそんな気全く無いようにアトラクションに熱中してしまっているのが少し切ない。
---------っガタンッ!
「え?」
そう音がして照明が消え、乗り物が止まった。
客から少し悲鳴が上がり、掴んだ腕に更に力が込められた事に気が付く。
「・・・アスラン・・いるよな。」
不安そうに言われ、可愛いなぁと頬を緩めてから絡まる腕を解いた。
「アスラン?」
肩に手を回そうとした少しの間ですら、カガリは不安そうな声をあげる。
大丈夫だよと微笑んで肩に手を回してから、
「これで・・恐く無いだろ?」
といって、髪にキスをした。おそらくだが、カガリは顔が真っ赤だろうと予想して。
暗がりが続くとカガリはススッと自分の胸板に頭を摺り寄せてきて、愛しさが増し肩を抱く腕に力が入る。
そうした時、パッと照明が戻り、お化けや幽霊達の姿が青白く映し出された。
『大変申し訳ございませんがアトラクションが・・・・』
しばらくこのままで良かったのにと少し溜息を付いて、係りの人が指示したとおりに出口まで歩く事になった。
カガリは余り話さず、間近でアトラクションを見て少し眉間にしわを寄せた。
「・・・っ・・、早く・・出たい。」
意外と怖がりなのかと尋ねると反発するように言い返される。
「こ・・怖くなんてないっ」
-------意地張ってるな、これは・・。
そう溜息を付いて、少し意地悪をする。
「じゃあ・・腕はなすぞ?」
「なっ・・・。」
カガリはそんなのないと顔を膨らませ肩を抱いていた腕を解いてしまう。
「大丈夫だッ」
だが、直ぐにお化けに驚いてビクッと肩を振るわせた。
「-------怖いんだろ?」
「こ・・怖くないっ」
このまま行くと、肩を抱けなくなるような気がして苦笑しながらカガリの隣に行き声をかけた。
「カガリ。」
顔を俯かせたままのカガリを他所に勝手に肩に腕を回すと、まだ不機嫌な目で俺を見てきた。
「・・・怖いなんて・・・言ってないからな。」
頬を膨らませて抗議するのは昔からだと少し笑えてくる。
「分かったよ」
そして肩にある手を外し、髪を撫でると思いも寄らない言葉が帰ってきた。
「・・・・・・---っ・・ありがとな。」
そして頭を俺の方に頭を倒して大人しくなる。
・・・やっぱり、ずっと可愛くなったような気がする。
お化けなんてそっちのけで、ずっとこうしていられればいいなんて思ってしまう。
だが当然出口に着いてしまい少しガッカリするのだが、カガリが嬉しそうに笑うのを見れたのでいいかと溜息を付いた。
夜になり、パレードを見たそうにするカガリに声をかける。
「バスの時間が近い・・・お土産かうんだろう?----もう、抜けた方が良さそうだ。」
買い物の場所に行くと、カガリは急いで人数分の菓子を揃えてきた。
だが、その量は半端ではない。
「誰にあげるんだ?」
「えっと・・ニコルだろう・・シン、ルナ、レイ・・イザークにディアッカに・・あとマリュー先生とムゥ先生と・・当然トール、サイ・・・」
少なからず男子の名前が聞こえ少し不機嫌になった。
「カガリは人気者だからな。」
自分に言い聞かせるように言って、肩を抱いたままバス停に行く。
「何不機嫌になってるんだよ。」
「別に・・勘違いじゃないのか?」
少しイライラしてカガリに辛く当たってしまった。
「なぁアスラン。お土産って何で買うと思う?」
「・・・?」
「私は思い出を別けてやるためだと思ってる。」
?
「-----アスランとの今日の思い出、皆に渡しながら伝えてやるよ。」
だから機嫌直せよ、そう言われているように思えて、笑いが零れた。
「失礼だぞ・・人の顔見て笑うなっ」
「いや、カガリにはかなわないな」
ちょっと怒るカガリの髪の毛を優しく撫でた。ありがとうの意を込めて。
「子ども扱いするなよっ、私のほうが年上だぞ!」
「五ヶ月ね」
ムキになるカガリを黙らせる手っ取り早い方法としておでこにキスをした。
「-----っおまえなぁ」
真っ赤になり、俯いてから黙り込んでしまうカガリが愛しくて堪らない。
そして行きと同じく、バス内でカガリはまた爆睡してしまう。
窓側の席のカガリを都市のネオンが明るく照らして、綺麗さが増したように見えた。
「カガリ?」
小さく話しかけ、完全に寝ている事を確認してからカガリの顔に見入る。
-----起きないよな。
カガリの唇にそっと自分の唇を当てた。
・・・柔らかい。
バスが揺れるのを気にせず、ただ触れるだけのキスを長い事していた。
「ん・・。」
カガリが少し違和感を感じたのか少し唸ってまた寝息を立ててしまう。
そしてカクンとカガリの頭が自分の肩に乗った。
「・・・おやすみ」
キラキラとネオンに照らされて光る金色の髪にキスをして、自分も寝に入った。