自分はあまり・・女子に興味が無い。
-------付き合うのって・・面倒だと思うし。
そんな俺でも、いつか誰かと結婚したりする日が来るのだろうか?
「アスランっ、悪いんだけど先屋上行っててくれないか?」
今日はカガリがこの間の約束を取り付けた日だった。
テストも終わったし・・・三人でのんびりと空を眺めるのは俺も好きだし・・。
「-----キラも・・そんな事言っていたな・・。」
そう言うとカガリはけろっとした顔で
「キラもラブレター来たらしいぞ。」
----------も?
「おっと・・やばい、もう三時半・・呼び出しされたんだった!」
--------つまりはカガリもラブレターが来たと?
「あっ後でお前にもいいものあるから、楽しみにしてろよ!!」
何となく変な気分の俺に、カガリは何も感じないように手を大振りして走って行ってしまう。
俺も手を振り返すのだがもやもやとした気分が抜けない。
・・・・・・・キラもカガリも昔から明るくて友達づきあいがいい。
一方俺は・・未だ二人以外仲がいい友達と言うのが作れないでいる。
----特に・・カガリは底抜けに明るいから、よく男達がカガリの話をしているのは耳にしていた。
「・・・・・・・。」
キラも、誰にでも優しくて・・お人よしだから結構もてる。
「俺だけか・・。」
結局・・人付き合いが苦手な俺はその二人が作ってくれる居心地がいい空間に置いてもらっている。
-------だけど・・その代わり、俺しか出来ない事で返してきたつもりだった。
・・・主に勉強だけ・・だが。
何となく悲しい気分になる。
「アスラン!」
明るい声が聞こえ振り返る
そこには当然のように自分の方に走ってくるカガリがいた。
「-----告白・・どうしたんだ?」
何となく・・気になったので聞いてみると、返事の代わりに手紙を渡される。
「あっこれ・・アスラン宛。時々恥ずかしがり屋の人が私に頼むんだよ」
見るとそれはラブレターのようだった。
「・・・また・・俺の知らない子だ-------何で手紙なんてくれるんだろう?」
----毎度思うのだが・・なんでカガリの下駄箱に入れるんだろう?
「ちゃんと行けよ・・相手だって必死に想い伝えようとしてるんだから。」
カガリも何の迷惑も感じていないように・・寧ろその女の子達の肩を持つ。
「・・・分かっているが・・。」
-----なんだか、釈然としない。
「キラ・・遅いな。断るの躊躇ってそうだもんな〜キラは」
--------つまりは・・
「・・カガリは断ったのか。」
カガリは噴出すように笑い、この前と同じ----また、違和感のある笑顔を向けてくる。
「だって、相手女の子だぞ?」
・・それは無理だな、と笑い返した。
「いい子だったら付き合えば?」
・・・・え?
俺が・・女の子と?
「な・・なんだよ?」
カガリは変な事言ったか?と覗き込んできて、少し顔が近いと思った。
「----いや、あぁ・・印象次第・・かな?」
カガリに言われた事に、少なからず衝撃を受けていた。
・・・何で・・カガリがそんな事言うんだ?
隣で違和感の消えない微笑を浮かべ、その微笑に見入った。
・・・・カガリが変わったのか・・?俺が・・変わったのか?
話題を切り替えなければいけない気がした。
「キラ・・遅いな。」
カガリは遅すぎると顔を曇らせてみせる。
「・・・・・・・まったくだ、何やってるんだ?あの片割れ。」
しばらくしてキラが微妙な顔で帰ってくる。
「・・・・・・・聞いてよ〜カガリ・・アスランっ!!」
よく見ると右頬だけ仄かに赤い。
「・・・・叩かれたか?」
苦笑しながらカガリは走って、俺は歩いて駆け寄る。
「だって・・僕が断ったら急にビンタだよ!?さすがに痛いし・・っ」
「分かった分かった、手で冷やしてやるよ。」
さも・・当然と言うようにカガリはキラの頬に手をあてた。
キラは少し目を開くが、嬉しそうに細めてカガリを見ていた。
「冷たッ!!あ〜でも気持ちいいー。」
その後二人は昔と変わらずじゃれあっていて、やはり変わったのは自分なんだと思い、悲しくなる。
「子供の時から・・全然変わらないな・・お前達は。」
----俺も・・お前達の兄弟だったら良かった。
「なにそれ・・アスランは変わったみたいな言い草じゃない?」
キラとカガリは不思議そうに同じ顔で見てきた。
「アスランも・・あんま変わらないぞ?」
一歩下がって立っていた自分の腕をカガリがクイッと引く。
「-------違うか?」
-----・・分からない。
隣で話す気分になれず、一歩後ろに引いて二人を眺めていた。
「・・・・?アスラン」
何度かキラとカガリに呼ばれるが、正直あまり話す気が無いので適当に返す。
前の双子は和気藹々と会話をしていて・・いつもなら自然と俺も入っていくのに・・。何でだろうと不思議になる。
--------何が・・変わったんだろう?
夕食の時、普通にキラと話せた・・大丈夫だ。
俺だって・・そう変わったりしないよな・・・。そう思えた。
その後キラに格闘ゲームを誘われ、暇だから付き合っていると風呂上りのカガリが自分とキラの間に来て肩を組む。
「次っ私も入れろよな!!」
耳元で元気良く、いつも通り発せられる声に・・ドクンと心臓の音が聞こえた。
思わず近い顔をカガリがいない方向へと向ける。
「負けたほう、変われよ!・・あッアスラン負け!!」
そのせいで画面が見えず、結果負けてしまった。
「どうかした?アスラン」
キラに「いつもよりあっけない」と言われてしまった。
「それは・・カガリが・・っ」
何となく悔しくて、言い訳をしたくなるが声を止める。
「なんだよ、私が邪魔したか?」
カガリは「二人にしたんだから同じだ」と言う。その・・通りなのだが・・。
----------やっぱり、俺は・・どこか変わったらしい。