キスをした時・・・思った。
・・・あぁ、嬉しい。
でも・・
「・・・私たち・・・・・、、幼馴染・・・じゃ・・なかったのか?」
それは自分への質問でもあり、目の前にいるアスランへの質問でもあった。
アスランはその答えを直ぐに出して
「俺は・・・君の事が---好きだ。」
そう、翡翠の瞳は真剣に語る。
「幼馴染とは・・もう思えない。」
幼馴染じゃない?
-----今まで・・私とアスランが・・共に過ごした17年は・・なんだった?
たった・・一、二年の間に育った、恋なんて感情を前にしたらこんなに早く・・
--------なかったことに・・されてしまう事ではないはずだ。
目に涙が溜まり、雫が頬を伝おうとする前に、アスランはもう一度顔を近づけてきた。
なんで?・・なんで・・・・?幼馴染より・・恋の方が、上だとなんでそんなに簡単に決められる?
私は嫌だ。幼馴染でいたからこそ、アスランが好きなのかもしれないと思ったんだ。
顎を引ぱられ口を上に向かせられる。コンクリートと馬乗りのアスランに挟まれ身動きは取れない。
アスランの目は優しくて"大丈夫だから"と言っているように思える。
唇だけ重ねられてギュッと自分の唇を閉じると丁寧なまでに割目を舐められる。
・・・くすぐったい・・。その言葉に負けて口への進入を許してしまう。
----・・違う。許す気でいるんだ。私は。
・・・・・・本当は、流されてしまいたいと・・心も身体もそう言っている。
歯の付け根を丁寧に舐めて、けっして無理に入ってこない。
-----心の準備が出来たらあけて。そういわれているように感じる。
息継ぎをするさい、少し開いたのをアスランは見逃さない。見逃さないと知っていて息を吸った。
「んッ・・・・・・---ぁ・・ん」
アスランの唾液が重力に従って落ちてくる。一瞬口に溜まったがゴクンと人のみした。
あくまでも優しく、撫でるような舌の動きに酔い始めている自分に気が付く。
でも・・・。
嫌だ。-----恋人になりたくない。
17年間の・・友情をパアにしてまで、----それでも、こうしてくるアスランが分からない。
そう、考えている-----はずなのに。
口からは次第に考えられないような水の音と自分の声が混ざったものが聞こえる。
なんで・・選択肢はいつも二択なんだろう。
中間が・・あったっていいじゃないか。
私はただ・・・アスランの隣に居続けられればいい。
----後にも・・先にも、きっとコレだけしか望んでいない。
アスランは力を緩め、ゆるりゆるりと口の中でゆっくりと動き出す。
----・・・・。
気持ち良い・・なんて-------
不覚にも・・思ってしまう。
誘うように、まるで本心を知っているような舌の動き。
"本当は・・こうしたいんだろ?"----・・そうだけど・・・。
ペロッと舌先が合う。
ビックリして引っ込めるとアスランは必要以上におってこなかった。
あくまでも・・・自分から、というつもりなのだろう。
酷いじゃないか・・そうしなきゃ、唇を解くことも許さないくせに。
そうゆっくり延ばすとアスランは巧く舌を絡めてきた。
さっきと違い、お互いを確かめるような少し官能的な動きで背筋に旋律が走る。
----・・・アスラン。
気が付いたら自分もキスに没頭していた事に気が付いて急に恥ずかしくなった。
「・・・・アス・・ラ・・ン」
離してから直ぐに声をかけると、ちゃんと口が廻らないことに気が付くが、アスランは気にせず頬にキスをしてくれた。
微笑んで、ごろんと自分の横に寝転がり手を繋ぐ。
-------・・分かってるんだ、本当は。
「じ・・・時間が・・欲しいんだ。」
・・・・・すきだってことも・・。キスするのも嬉しい事・・・。
でも、それでも----幼い自分を裏切るようで、納得いかない。
「---分かった。・・・待ってる。」
「いつまでなら・・・待っててくれるか?」
気持ちの整理だって・・必要だし-----。
「大丈夫、カガリの決心がつくまで・・待ってる。」
微笑んでから手の甲ちゅっと唇を当てられた。
「--------・・でも・・俺は・・カガリとはもう幼馴染には戻れないから・・・。」
その言葉に胸が締め付けられた。
「ごめん・・、、好きだから。」
そんな事・・・・言われたら、--------・・二度と幼馴染のように接する事は出来ないみたいじゃないか。
フレイにもミリィにも模索されたが何も答えないでおいた。
"正式にそうなったらちゃんと伝えるから"
それだけ伝えた。
二人は"わかった"といってくれた。
「アスラン・・・?」
家に帰り今日のキスの感触を思い出し顔が赤くなる。
-----気持ちよかった、なにより-------嬉しかった。
恋人になればそんなこと・・幾らだってできるかもしれない。
でも----、・・・いや・・もうそうなる道しかない。
「好きだから」
---------ッ・・。
駄目だ、真っ赤だ。絶対今私は真っ赤だ。
どうしようもならない不安と、もう戻れない日々が尊く感じる。
早く・・答えを出した方がいいのかもしれない。
そうじゃなきゃ---心臓が壊れそうだ。
そして・・・答えは一つしか用意されていない。
次の日、キラとラクスに頼んでお昼を二人っきりにさせてもらった。
「あ・・あのな、アスラン」
ドギマギゆう心臓を押さえつけて、呼吸をする。
「わ・・わ・私は・・・・アスランのことが・・・。」
"すきだ"
聞こえただろうか、彼に。
「で・・でもな、幼馴染だった日々も・・凄く大切なんだ・・・だから---」
もう駄目だ。泣いてしまいそうだ。恥ずかしさでつぶれる。
「急に---恋・・人らしく・・・出来ない・・・・・それでも、、いい・かな?」
少なくとも・・今の自分が昨日のアスランのような態度をとるのは何年経っても難しい気がする。
「アスラン?」
-------・・・。
「カガリ・・今-----すきって・・いったよな?」
真っ赤。
「いった・・ちゃんと聞いて置け。」
私も・・真っ赤。
「カガリ」
ギュッと音を立てて抱きしめられる。
「-------好きだ。」
「私も・・・・すき・・だ」
そして次の瞬間アスランからの猛烈なキスがカガリを襲った。