「・・・・?」
--------残ってた・・。
+花一輪+
「どうかしたのか?カガリ・・・。」
あの場所に来ていた。
「ほら・・あそこ。」
それは慰霊碑の前。
「え・・何処だ?」
オーブの・・海岸沿いに在る、慰霊碑の前。
「・・ほらっ」
そう言いカガリは走り出す。
「これ!」
波に曝され、戦争に巻き込まれ・・・・。
そこにあったはずの花畑はボロボロだった。
美しく・・何も知らず咲き誇っていた無数の命。
それが跡形もなく消える・・・・・・・・・。
---------戦争とはそういうものだ。
「・・花?」
ただ一輪、凛と咲き誇っている。
「----残ってた。」
嬉しそうな顔のカガリをアスランは嬉しそうに見る。
「残ってたな。」
「あぁ。・・・良かった・・一輪でも・・残っていて・・。」
しゃがみ込み、その花に手を当てカガリは一瞬切なそうに微笑んだ。
「・・・・仲間が・・沢山、死んでしまったな・・。」
「・・それでも、生きられたんだ・・・・幸せだ・・きっとその花は。」
---------たった一人でも?
「・・・アスラン。」
「なんだ?」
しゃがんだままアスランに話しかける。
「----幸せか?」
「----------カガリがいるからな。」
「・・・そうか・・。」
そして立ち上がり向かい合う。
「・・・・・シンは・・悲しかったのかな・・一人で・・・・。」
「・・・・今は・・ルナがいる。」
「-----今は・・か。」
『綺麗事はアスハのお家芸だな!!!!』
きっと苦しかったんだろう。
家族を奪われ・・・たった・・一人で-----。
「・・それでも・・シンは今幸せだと思う。」
「・・・そう・・なのか?」
「あぁ。」
かつて、何度も死んでも良いと思った。死にたいと感じた。
----そんな俺だから。
「分かるんだ。何となく・・・。」
「・・・そうか。」
今こうやって、カガリと一緒にいられる事。
キラという親友がいる事・・・・ラクスという友がいる事・・・・。
「大丈夫だ・・・きっと、シンも同じだ。」
愛する人が支えてくれる歓び。
-----それを知らずして死ぬ事がどれほどに勿体無い事か。
そして、愛する人が出来てから命を落す事がどれほど悲しい事か・・・。
恋人に限らず・・家族・・・友人・・・・・自分にかかわる全て。
「死んだら・・何もかも・・・・終わってしまう。」
俺だって-------
「もしかしたら、カガリに会う前に死んでいたかもしれない。」
「それは・・・嫌な話だな。」
カガリは眉を潜める。
「あぁ・・だから、例え一人で生き残っても・・・生きている方がずっといい。」
かつて自分がカガリに救ってもらえたように。
「・・・・・そうだよな。」
そしてカガリはその花を見つめる。
「生きるほうが・・・・戦い・・だもんな。」
「カガリの言葉・・今でも覚えてるよ。」
そっとアスランはカガリの肩に腕を回した。
「・・・・・一人でも・・出逢えば二人だ。」
波の音を聞きながら、その孤高の花を後に二人は歩き出した。
+++++
あとがき
・・・運命後あの場所に二人で訪れると良いと思いました。
シンはキラと和解するのではなく、カガリとすべきだったと思うのです。
でも・・まぁシンの性格から考えると無理かな・・?
って訳でアスラン君に一任させました。つうかアスランはそういう人ですよ。
どっちの意見も良いと思う人間・・・そういう人は世の中には必要ですよ。きっと。
カガリは立場上、どうしても白黒つけなきゃいけないのがちと可哀相。
何はともあれ花一輪、生きる事は幸せですよ。未来があるんですからねっ!
2006.03.12