今日・・午後三時、あいつはこの部屋にやってくる。
それは、恋人でなくても・・私の心は温かくなる。
願わくばお前もそうであれば良いと思った。
「・・次年度追悼慰霊の警護の話がザフトと決まりました。」
「そうか・・、段取りは?」
「はい・・。これが・・」
そうして警護の説明を・・アスランから受け、あらかたのことを理解しカガリは頷く。
チラリと顔を上げて顔を確認したくても・・そうはさせない空気が嫌に思えた。
--------けれど、イヤでも・・嫌いではない。
お互いに・・不器用でこうやって距離を取り合わないと・・どうして良いのか分からないんだ。
そう----------・・私の勘違いでも、思いたい。
まだまだ私達は繋がっていると。
今は、まだ・・一緒に肩は並べられないけれど・・・・・いつか。
いつかはまた・・・昔のように、一緒に歩いていける。
そうだろ?アスラン。
コツコツと・・長い廊下を歩き、目当ての人の執務室の前で止まる。
この頃・・・・顔を合わせるのさえ、恐いのは・・相手との距離を測りたくないから。
あければ・・机に向かう彼女の姿があって、山のように積まれた書類と格闘していた。
アレが・・、あのカガリなのだろうか。
昔・・・MSに乗って・・宇宙を共に翔ていた・・・、カガリなのだろうか・・。
あの頃は、お互いが一番近くにいて・・
-----------一緒に育っていくものだと思っていたんだ。
見る物、触れる物・・・全てが、俺と君の記憶。
けどそれは・・・・・・・離れてしまえば変わるのだ。
考え方も、価値観も・・見る物触れる物が変われば、当然変わってしまう。
それがハッキリ分かったのは、ザフトに復帰したときだったか。
「・・ご苦労だったな・・、わざわざプラントまで足を運ばせて・・」
「いえ・・。」
二りっきりでも・・敬語を使うことを怒らないカガリが、哀しかった。
でもそれは自分の甘えだと分かっている。
-------カガリの・・今すべきことは、俺の手を取ることではない。
頭ではいくらでも理解しているが・・・やはり、いつまでたっても哀しい物がある。
それは・・。
自分とカガリが、繋がっているという確信があるからだった。
「・・ありがとう、じゃあ・・。」
そう手を軽く敬礼させたカガリに・・アスランも敬礼をし・・・・・国家元首と軍人で別れを告げる。
今すぐなんて言わない。
そんな子供の時代は・・自分たちにはとうに終わりを告げていた。
ただ・・
互いの未来のために。
今は・・・それを培うために。
「・・・がんばろう・・な。アスラン。」
「・・君も・・。」
小さく・・誰にも、ばれないほど小さく。
カガリはアスランに、
アスランはカガリに
想いを伝える。