時々思うのだが、俺ばっかりカガリが好きなんじゃないかと思う事がある。











+「目、閉じてくれないか?」+



「カガリ・・よければ今日の夕食一緒に取らないか?」

「え?あぁ---いいけど?」

いつも夕食を誘うのも俺で、会う約束をするのも俺。

カガリが忙しいのは分かってるけど、なんだか嫌だ。










「へ〜、コレ美味いな!」

そう言って食事を前よりずっと上品にほおばるカガリも綺麗だとは思う。

「食べないのか?」

そう聞かれ、あぁ・・と適当に流しカガリを見つめていた。

どう自分の記憶を探しても、やはりカガリから何かをしてもらった事はないように思える。

そりゃ、物に変えられないほどの恩や情を貰ったのは事実だ。

でも・・何だか今現在俺の想いが一方通行のように思えるのは勘違いか、真実か?










帰り、カガリを家まで送ると車をアスハ邸まで走らせた。

「星が綺麗だな・・な、アスラン。」

楽しそうに手を上に伸ばすカガリ。

「危ないから、引いて置け。」

ハンドルを片手で操作し、カガリの腕を引きおろす。

「なんだよ・・綺麗なんだぞ、お前も見てみろよ。」

「今見たら事故に繋がるだろう。」

「・・そうだけどさ。」


ちょっとムスッとしたカガリの顔が容易に浮かんだが、仕方ないだろうと運転を続けた。

そしてアスハ邸の前まで着く。





「ありがとな・・アスラン、今日は楽しかった。」

その言葉にあまり会話もしていないのにと聞きたくなる。

でも、俺もカガリと一緒に居れる事が嬉しい事、カガリも同じ気持ちなのかと思うと少し嬉しい。


「じゃあ・・またな。」

カガリからそう言われると少し悲しい気分になるので、今日は自分から言ってしまう。


その言葉を聞いても、カガリは車から降りるのを少し躊躇った。


「どうか・・したのか?」



「星・・まだ見て無いだろ?」


そういえばそうかと上を見る。満天の空と言うに相応しい星空が広がっていた。


「目、閉じてくれないか?」

そう言われ、え?と聞き返す。


「星見たままでいいから、目、閉じてみろって。」


良く分からないが・・まぁ言われたとおりに目を閉じた。







----チュッ








そう、唇に押された柔らかい感触に思わず目を開く。


「あっ、閉じてろって言ったじゃないかっ」

そう、恥ずかしそうにして乗り出した身をまた座席に戻そうとするのを急いで止めた。


「なっ」


腰に腕を絡め、もう一つの腕は背中から回し頭をガッチリと手で押さえる。

こんな事、カガリがしてくれるのも初めてで、なんだかさっきの思考は俺の勘違いらしいと思い直した。


「もう一回。」


「はぁっ?」



いい気になるなと殴られそうだと思うが、昔ほどお転婆ではなくなったカガリを思い少々期待してしまう。


「もう一回・・だけだからな。」


その言葉に驚いているとカガリから二度目のキスが降ってきた。


そして次は口の中にまで入ってきてくれて嬉しくなる。


プハッと急に唇を離され、少し物足りないなとカガリを見る。



「そんな目しても、駄目だからなっ!今日は二回で終わりっ!!」



そしてバンッ扉を開け急ぎ足で自分の家へ入ってしまった。


「---中々・・美味しかったかもしれない。」



自分の唇に軽く触れ、カガリからのキスの感覚に少し酔った自分がいた。
















+++++
あとがき
カガアス・・・?いや〜たまには美味しい想いしてくださいよ、アスランさん。
その思いで書きました今回の。
だってねぇ、いつだってキスとかハグとかってアスランからじゃないか?と思って。
たまにはカガリからしてやるのも良いかな〜って思いました。
2006.03.01