故郷



「・・この服やだ。」


青白い。まるで死人のような服。


「仕方ないだろう。これからCPUスキャンだ。それに検診も色々ある。」

「ホント僕ここ嫌い。」


早くカガリの家に帰りたい。
きっと、これはアスランも一緒。


だってアスラン、カガリのこと言ったことはないけど大好きだもん。



「・・仕方ないだろ?」



アスランは同じセリフを困ったように僕に言う。








「知ってるけど。」




白い、ただ白い廊下。

僕はここが恐い。



「アスランさ。」

「ん?」


「好きって、何種類有るの?」



僕と彼は優秀だ。

十数年は僕等を超す作品は出来ないと、研究者が言っていたのを僕は赤ん坊ながら覚えている。

科学技術は日々進歩するけど、僕等以上の人形はなかなかできないのだ。


何故?簡単な話だ。


僕等は人間の遺伝子とほぼ一緒。人間は、遺伝子操作が最も難しい上に、技術以上に運が要求される。


つまり僕等は偶然、たまたま出た産物。



「さぁ・・。」

「僕、僕がカガリを好きなのと、君がカガリを好きなのは違うと思うんだ。」


「・・・。」


「・・好きって、いっぱい形があるんだね。」



能力が高いイコール僕等は感情が乏しい。

だから、こんなに優秀でも分からないことが多すぎる気がするんだ。






この間のキスも


僕は、分からない。


ラクスは何を思っていたのか、分からない。




それが、とても悲しい気がするのはなんでだろう。

















「あら、オリジナルじゃない。」

クスリと笑う、自分と全く同じ顔、同じ声の少女。

殆ど同じに作られているはずなのに、違いが出来るのがラクスは不思議だった。



「・・・ミーアさん、ひさしぶりですわ。」

「あら?あなた私のことミーアって呼んでたっけ?」


工場ではみんな、コードナンバーで呼ばれる。

でも。

私はあの家で名前を呼ばれる事が嬉しかった。



だから、相手にもそうするだけの事。




「ラクスは・・新しい場所、楽しい?」


その問いに、ラクスは何の迷いもなく頷く。



「そう・・いいなぁー。私は・・まだここにいた方がマシだったわ。」


彼女は、顔も声も自分と一緒なのだが、決定的に体型と運動神経が違った。

「欲にまみれた人間の世話は大変なのよ。・・・その為に生まれてきたんだから、仕方ないけど。」



"仕方ない。"



そう諦める彼女が、とても悲しかった。











「お帰り〜。」


三人がもどると、広い玄関にパタパタとスリッパの音が鳴る。

金色の髪が揺れ、アスランはその表情を緩やかに解いた。

キラはそれをチラリと見て、何も見なかったように、靴を脱ぎカガリに飛びつく。



「ただいまっ!ただいま!!カガリ!!」

「うわぁ!!もう、キラはいっつもこうなんだな。」



嬉しいようで、カガリはキラの背をパフパフと叩いた。



「ただいまですわ、カガリさん。」


「ただいま、カガリ。」



キラが洗面所へと離れ、ラクスがカガリの横を通り過ぎた直後、アスランはカガリを緩く抱きしめる。

カガリは、少し驚いたようにアスランの顔を見上げた。




「・・カガリの傍が・・一番、いいな。」


小さくそう言って、アスランはスッと離れ、キラとラクスの後を追う。

カガリは、囁かれた耳を押さえて、少し頬を染めてアスランを見ていた。































































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あとがき
ちょっぴりアスカガ ついでに、ラクスがオリジナルと言われるのは、ミーアの遺伝子の元だから。
2008/03/31