アスラン、何・・欲しいかな?
そう、考えた結果たどり着いたものを手にしてその店を後にした。
「・・いらっしゃい、カガリ。」
中に通して、カガリが男物の上着を脱げば少し女の子らしい服装をして来ている事に気が付いて嬉しくなる。
「な・・なんだよ、」
膝丈のフワリトしたワンピース、それに毛糸のカーディガンに中にはジーパンをはいているのが惜しい。
そして紅茶を入れて早速誕生会にしようとカガリは笑った。
「・・・甘さ控えめのチーズケーキと・・ショートケーキ、アスランってチーズ平気だよな?」
「ああ、大丈夫。」
買って来てくれたケーキを前にして中々意地が悪いと言うか、甘ったれた事を思いついてしまうのは男の性だろうか?
「・・---食べないのか?」
そう
美味しそうにケーキをほおばるカガリを前にして、可愛いと思いながら手は動かさない。
ニッコリ笑うとカガリは何かを察したように俯いてしまう。
「・・カーガーリ」
食べさせて欲しいな。
そう笑ったことに気がつかれたようで、以心伝心とはこの事かと笑いがこみ上げる。
「・・一応、俺の誕生日だよな?」
「・・・・・-------何歳だよお前・・ッ」
甘えたいだけ、折角こうやって二人きりでいられる時ぐらいいいじゃないか。
他の人の前だと嫌に気張ってないと落ち着かないし・・。
カガリの前だけなんだから。
「・・一回だけだぞ。」
「ありがとう」
そう言ってカガリはフォークでケーキを切り欠片をさして、口に持ってきてくれる。
「・・おいしいよ、カガリ。」
「私が作ったんじゃないぞ。」
「・・そうだけどな、心使いが。」
「・・・・・・---・・。」
笑うと笑うだけ、カガリの頬は染まっていく事に気が付いてアスランは面白くなってしまう。
「・・顔、赤い。」
「お、お前のせいだッ・・・----。」
愛されてるな、俺もとケーキを食べて紅茶を飲んだ。
「あッ・・あのな・・---ちゃんと、誕生日プレゼント買ってきたんだ!」
恥ずかしそうにでも、はっきりと声に出してカガリは鞄をゴソゴソとしだす。
「・・俺、カガリにリクエストしたいんだ。」
そう言うと、やっと鞄からそのものを見つけたのか手が止まりパッと向かれる。
そしてアスランは自分の手の中にある小さな箱を背中の方で握り締めた。
夏休みから・・ずっと持っていたそれ。
渡したくて、でも色々あって渡せないまま・・離れてしまった。
「あの・・-------カガリ。」
パッと箱を開いて中のものだけを取り、カガリに見えないようにしてカガリの左手をとる。
「・・・・・?」
そして薬指にスッとそれを嵌めた。
赤い、ブレスレットと同じ・・赤い色の、ガラス細工ではない本物の宝石の入った指輪。
なんだか恥ずかしくて、顔をあわせられないまま声をあげた。
「・・---カガリが欲しい。・・ずっと、一緒にいたい。」
それを・・プレゼントとしてもらえないか?
・・・・・他に、何もいらないから。
そして顔を上げて琥珀色の瞳を覗きこむと、カガリはパッと俯いてしまう。
-----・・いや・・ではないはずだと、思いたい。
・・・カガリには俺、俺にはカガリしかいないから。
「・・・・・ちょ、ちょっと・・横むいてろ。」
そうぶっきら棒に言われて横を向くと、スッと指に何かを通される。
「・・・・・っ-------カガリッ」
真っ赤な・・石、そして清楚の外観。
左手の薬指から目に映るのは、指輪だった。
「・・・・・アスラン・・直ぐ、不安がって色々するだろ・・?だから・・安心して欲しくて・・」
そう真っ赤になりながら言うカガリ、それにそれを渡してもらえて事に嬉しくてたまらないアスランがいた。
「・・・・----ブレスレットも・・勢いで壊しちゃったし・・それの謝罪も込めて・・なんだが---」
チラチラと反応をうかがうようなカガリが可愛くて、アスランは眩暈がしそうになる。
独占欲と・・思われてしまったのではないか。
何も言わないアスランを目の前に恥ずかしくて、でも・・喜んでくれていると思い込んでいる自分がいる。
まさか・・アスランから「ほしい」と言ってもらえる・・とは。
まるで婚約みたいだ、いや・・そのつもりで渡したんだけど・・。
でも・・アスラン何も言ってこないし。---ちょっとくらい反応してくれても・・・・。
そう、思っている真っ最中だった。
「ッ・・あ、アスラン?」
グイッとテーブルの向かい側に座っているのにも関わらず腕を引かれそして上半身だけ乗り出して抱きしめられる。
「・・・・・・。」
嬉しいと・・いう事なのかな?そう思うと嬉しくてカガリはアスランの背中に手を回した。
「・・・-----・・愛してる・・ぞ?アスラン、」
そう言うと、アスランは黙って・・離してゆっくりとそばによってくる。
「?」
「・・・・・-----・・」
カガリから・・まさか指輪をもらえるなんて。
思っても見なくて。
嬉しくて、
愛しくて
ぐちゃぐちゃだ。
幸せな感情で。
「・・・アスラン?」
ぎゅぅぅぅっと抱きしめてカガリにピタリとくっつく。
もう・・なんでこんなに幸せなんだろう。
--カガリ。
「・・・・・・・・・・離さない・・・、から。・・本当に。」
そう言うと腕の中でカガリは怒ったように声を出す。
「・・・・・・・・・私だって・・離さないぞ・・。・・・・---お前が本気で他の人を好きになったら話は別だが・・」
それを聞いて、アスランは腹を立ててしまう。
カガリ以外の人を・・好きになるはずがないのに。
「・・・ミーアとか・・ホントいい子だから・・。--・・嫉妬した。」
真っ赤な顔でそう言われて・・心が温かくなる。それと同時に申し訳なさが募る。
「・・・・・・・---この間の事は・・ごめん。・・・・でも、俺が好きなのは・・生涯カガリ一人だ。」
「・・・・・・信じるぞ?」
そうまだ根にもつカガリに微笑みかけた。
「・・・・・・・証拠、あげるよ。」
「え?どういう・・ッ・・ん---ぁ・・。」
唇に吸い付いて、手を動かして服を脱がせにかかる。
-------言葉で分からないのなら・・態度で。それまでだ。
どれだけ愛しているか、感じて欲しい。
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「・・・アスラン・・の、馬鹿・・っ」
そう隣から声がしてアスランは微笑みながらその金髪をすいた。
馬鹿はないだろと笑って、頬にキスをする。
狭いベットで二人・・・初めてのときより密着する肌がよくて、アスランはカガリを抱き寄せた。
「・・・・ゴメン・・でも、それだけ本気だって・・分かってほしくて・・。」
「・・・・だ・・だからって・・中ではっ・・」
そう、アスランはあえて持ち合わせていた避妊具をつけなかった。
・・・・それだけ、本気なんだと分かって欲しい。
カガリとの子供なら大歓迎だ。-------・・お金だってお互い持ち合わせているし・・。
「・・・嫌か?----子供、俺との」
「嫌なわけ無い!!」
そう大声で否定するカガリが可愛くてアスランは嬉しさの余り泣きたくなってくる。
「嬉しかった・・けど、驚いた。」
泣きそうなアスランの瞼にカガリの桜色の唇が重なってアスランは黙って涙を流してカガリの頭を抱きしめる。
「・・・----カガリを愛してる・・だから、ずっと愛してくれ。」
「・・・当然だ、馬鹿。」
そう言ったカガリもうれし泣きをしていた事にアスランは気が付かなかった。
そしてキラが帰ってくる頃やっと起き上がり一緒に風呂に入る。
帰ってきたキラに風呂から上がってくるところを見られて大声で怒鳴られたのは言うまでもない。