[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
「お帰りなさいっカガリ!」
そうザラ邸から出てきた者にカガリは少し眼を見張った。
「・・ミーアじゃないかっ!久しぶりだな!」
でもそんな嫉妬心はミーアへの友情で直ぐにかき消す。
「そうね!アスランからカガリが泊り込みでバイトしてるって聞いて!喜んじゃったっ」
ミーアは客人らしく、後ろにはアーサーをつけている。
「ホントだなっ!あとでゆっくり話そうな!着替えてくるから!」
アスランの部屋に戻るとアスランがいて、いつも通り親の仕事の手伝いで機械を弄っていた。
「アスランっ!ミーア遊びに着たんだなっ!・・ちょっと私一緒にお茶する!」
メイド服に着替えて、ミーアの客室に入る。
「あら、もう来てくれたの?」
「ああ、紅茶いれてきた、あとクッキーも」
「わぁっありがとう!」
そしてミーアは少し陰で溜息を付いた。・・この子、全くミーアに嫉妬しないじゃない。
いや、それがカガリだと理解しているし・・尊敬すべき点であるとも認めていて・・。
実際ミーア自身カガリが大好きで・・。アスランの気持ちも良く分かる。
「この家の料理は美味しいぞっ!いつ来たんだ?っていうか、いつまで一緒に居られるんだ?」
嬉しそうにそういわれて、なんだか複雑な気持ちで「三日よ」と笑って答える。
---三日、そう・それは賭けだった。
アスランとカガリ、そしてミーアとアスランの。
「・・・・・へぇ・・それをあなたの事が好きな・・私に頼むの?」
『すまない・・お礼はするから・・。』
この間、気持ちはお金で買えないと口にしたのは何処の誰だったかしら?そうイラ付きながらも、了承する。
「いいわ、カガリにやきもち焼かせたいのね。」
全く・・いつもクールなのに・・この人やっぱりカガリの事になると途端に馬鹿になるのね。
そう呆れ半分羨ましい半分で、でも・・悔しくて、こう口に出した。
「三日間、つきあってあげる。でも、もしそこで失敗したら・・」
"キスしてね。"
『な・・』
「じゃないと、承らないわ。」
『わ・・分かった。』
でも、ミーアのプランで・・まさかカガリが嫉妬しないわけがないとお互い思っていたのも事実だった。
「今日から一緒に寝ましょうよ?折角だし」
「そうだなっ!いっぱい話したいっ」
そう微笑むカガリにミーアも何だか申し訳なくなってしまう。
嫌われないと良いな。そう思ってカガリを見るとカガリはくったいのない笑顔を向けてくれた。
掃除をしながら、ミーアと話し色々洋服について語っていた。
「あのお店いいのよ~色々ジャンルあって」
「へ~、あ・・そういえば少しだけ行った事あるな。」
アスランが・・進めてくれた店、やっぱりミーアから聞いたのか。
そう確信しても顔を崩さない、だからってアスランがミーアに気があると言うわけではない。
となれば、あのイタリアンレストランもミーアといったのだろうと察しが付く。
「そういえば、プラントの夏限定アイスが出たらしいの!」
「本当かっ!!夏休みの間にいかないとなっ!ミーア一緒にどうだ?」
「いくいくっ!絶対いく!」
カガリとミーアの会話はとても面白くて、やっぱりいい友達になれるとカガリは確信していた。
機械に没頭しながらアスランはもやもやとした気持ちと対決していた。
帰ってきたものの、ミーアに付きっ切り。
昨日の事を・・謝りも弁解もしてこないなんて・・。
抱きしめたいのに。
でも、ミーアとのプラン上・・今はまだ出来ない。
そう溜息を付いて昨日カガリが居ない間に急いで買った指輪の箱を見た。
嫉妬して、怒って、慰めて・・・・・・・これを渡したい。
そして今までにないほどの笑顔を向けて欲しい、俺に。
そう考えると、なんだか顔が緩む。
カガリに少し辛い思いをさせてしまうかもしれないけど・・でも、俺も辛い。
少しぐらい・・いい・・だろ?我が儘を言っても。
俺だって君の天然には振り回されてきたんだから。
シーツを持ちミーアの部屋に行くとさっきまでいたのに居なくなっていた。
「あれ・・ま、いいか。」
そしてミーアのベットにシーツを引いてパンパンとたたき、アスランの部屋に向かう。
「アスラン!」
そうミーアの声がドアの中から響いて此処に居たのかとギィッとドアを開けた。
カガリは毎日決まった時間にアスランの部屋に訪れて、シーツを変える。
・・・・・それを、アスランも知っていた。
「・・・・ミーア。」
ミーアから抱きついたらしい。アスランは扉に背中を向けていて、でもゆっくりとミーアの背に手を回していた。
「・・あすらん」
そう幸せそうに呟く、ミーアの声にカガリは戸を閉めた。
足音が遠くなるのを確認して、ミーアは離れる。
「よし、今着たわよね!カガリ!!」
「・・・そう、みたいだな。」
正直ミーアの香水に咽そうになりながらアスランは答える。
やっぱりカガリがいい。
そう思いながらミーアには感謝の意を表した。
「きっと後でくるだろうから、その時・・嫉妬してくれるといいわね」
そういいながらミーアは微妙な気分になっていた。
友達が多いとはいえないミーアに、せっかく出来たカガリと言う人。
なのに・・・嫌われちゃうのかな?・・やっぱり。
「・・・・---そうだな。」
ミーアは出て行き、夕食をカガリが誘ってくれるのを待っていた。
だが、夕食の時間を五分過ぎても・・カガリは来ない。
そして内線から電話が入った。
『アスラン様、夕食の用意が出来ました。』
「・・・・カガリは?」
『さぁ・・元からアスラン様を迎えに行くのはカガリの好意でしたから。』
そう言われて仕事が終わらなかったのだろうかと部屋を出るとミーアと鉢合わせる。
「あら?カガリは?」
「多分、少ししたらくるだろう。」
「そう・・」
ミーアと食堂に向かい五分ほどしてカガリが入ってきた。
「・・遅かったな、カガリ・・どうしたんだ?」
「仕事が終わらなくて。」
「さて、カガリが来た事だし、・・食べましょう!」
「あ、悪い!待たせたな!!」
そして三人で食事を取る。ミーアはカガリの隣に座りワイワイと食事を取っていた。
食事が終わりミーアとカガリは同じベットの上でゴロゴロと転がっていた。
「・・・はー、久しぶりに楽しい食事だったっ」
「そうか!私も楽しかったっ」
そして微笑んで一緒のベットで寝息を立てる。
朝になるとカガリは居なくなっていて仕事に行ったのかと納得して起きた。
「ミーアっ・・っておきてたか!」
「おはよう、カガリ。朝ごはん?」
「ああ!おはよ、ミーア」
そして二人で食堂に行くとまだアスランは起きてきていなかった。
「あ、カガリ悪い、アスラン様起こしに行ってくれ」
「分かった。」
そしてアーサーに言われ駆けて行くカガリを見送り、どうなるんだろうと不安半分で考えてしまう。
「アスランっ起きろ!朝だ!」
「ぅん・・・」
広ベット。カガリが居ないと・・やっぱり嫌だ。
そう思って腕を伸ばせばカガリはスッと離れてしまう。
「カガリ・・?」
「ほら、朝ごはん・・。起きないと先にミーアと食べちゃうぞ?」
「・・・・来てくれないのか?・・今日は。」
いつもなら、、少しじゃれてからいくのに。
「・・・おまえなぁ・・客人待たせてるんだぞ!しっかりしろよ!」
そうは言われるものの・・やはり、嫌だな。
起き上がりカガリのほうによるとカガリは目を瞬かせて俯いてしまう。
「・・いい?ちょっとぐらい。」
昨日触れ合えなかったし・・、
耳にキスをして、鼻先にも・・。
「・・・・・・・うん、行こうか。」
これ以上したら・・プランの意味がないと踏みとどまって着替えて廊下に出ると、待ってくれているはずのカガリが居なかった。
三人で楽しく食を取り、カガリは仕事と言って抜けてしまう。
「なーんか、カガリ・・ちゃんと見てなかったみたいね。」
「・・そうだな・・・・。それじゃなきゃ、全く嫉妬していないんだろうな。」
「それは有り得ないと思うのよ、何だかんだ・・カガリはアスランの事取られないように頑張るって前私に言ってたもの。」
その言葉を聞いて嬉しくなった。取られたくないとアスランと同じように感じていたのだ、少なからず。
「・・・・あーあ、まぁ後二日あるし・・」
そうミーアは言って食堂を後にする。
そして足早に自分の部屋にははいって、考え込んだ。
おかしい。アスランからは見えなかっただろうケド・・たしかに・・カガリの影が見えた。止まって此方を見ていた。
なのに・・なんで嫉妬してこないの?-----おかしいじゃない。
カガリがアスランに向ける目はコレと言うほど愛が注がれているのは女の目では良く分かる。
じゃあなんで?・・・どうして?
そしてふとあの言葉を思い出す。
"・・・もし、アスランが・・そう・・選んだら、----それでも構わない・・・私は。"
"アスランが・・幸せな事が、一番嬉しい。"
・・・まさか・・よね・・?
嫌な予感だった。
そしてまた、アスランの部屋にカガリがシーツを引きに行く時間にミーアはアスランの元を訪れて昨日と同じようにした。
でも・・今日は違う、出来ればカガリが来なければ良いと思った。
来て・・本当に見ていたら?
・・・・勘違いで・・手を引いてしまうんじゃないだろうか?
そう罪悪感でいっぱいになっていると、ギィッとまた扉が開く。
そしてまたアスランとミーアが抱き合っているのを誰かが確認している。
思わず、眼を上げてしまった。
確認せずには要られない・・。もし・・そなら・・私-----・・。
パッと合った琥珀色の瞳には大きく涙が零れていた。
思わず、声をあげそうになって堪えてアスランの胸に顔を疼くめて扉が閉じるのを待った。
「・・・・・カガリ・・だったか?」
「た・・多分。」
そうだったといえない。
だって・・ミーアだって・・アスランの事が好きなんだから。
でも・・
でも・・。
カガリは・・大切なお友達。
ミーアは直ぐに部屋を出て、自室に篭って涙を流した。
好きなのに。
どっちも。
どうしよう。
私はカガリを・・・傷つけた。
そう憂鬱な面持ちで夜食堂に向かうと、明るいカガリの顔が目に飛び込んだ。
「ミーア!今日はラザニアだって!楽しみだな!」
「え・・、あ、うん。そうね・・楽しみね。」
急いで笑顔を作って、カガリも笑ってくれる。そして・・まるで何事もなかったように夕食をとった。
いい加減、怒ってくれても・・良いような気がする。
そう溜息を付いていた。
どうせ・・天然なカガリの事だ、ミーアは具合が悪かったとか・・勘違いしているんだろう。
・・・--------何だか、騙している気がしてバツが悪い、いや騙しているのだが。
「カガリ・・」
・・・ミーアが帰ったら・・もう一度抱こう。
そう密かに決心をして頬が緩んだ。
寝るときも、なんら・・変わりの無いカガリにミーアは罪悪感と不思議を募らせた。
カガリは性格上・・思っていることが顔に出やすいと理解していたから。
「・・・・・あの、カガリ?」
「どうした?」
「えっと・・・----ごめんなさい。」
「・・・何のことだ?」
「ううん、ごめんなさい。」
電気が消えた中で、ミーアは呟くと最後に一言カガリから返ってきた。
「・・私はいいから。」
え?そう聞き返すが答えは無い。