「ちょっとアスランッ!!!!!どういうことさ!!」
バシャッとザラ邸のプールの中でキラに水をかけられる。
「関係ないだろ・・お前には」
「大いにあるよ!!!」
その様子をプールサイドでラクスとカガリは笑いながら見ていた。
キラとラクスが来て、プールに入ると言う話をした時
「ちょっと・・私パス、腰痛いし・・」
そして半ば強引にアスランはカガリに入るように頼んだ。
ただ・・水着姿を見たいと言う欲望・・といわれれば否定しない。
そしてビキニに着替えて出てきたラクスとカガリ、キラはカガリの胸元に二、三ある赤い痕を見つけてしまう。
「大体ッ・・あの純情無垢なカガリにッ・・」
「俺の恋人だ、キラには・・」
「関係あるってッ!!!!!!!!!!」
そしてラクスに渡された水鉄砲を構えられ二人から総攻撃を受けた。
「あははッ・・アスラン、頑張れッ」
カガリは足だけ水につけて楽しそうに微笑んでいた。
カガリの水着は真っ赤で背中で肩から来た紐と脇を通ってきた紐を一箇所に結んでいた。
水からあがってカガリの横に腰を下ろす。
「逃げる気?アスラン!!」
「後でな・・、ったく・・。」
苦笑してからカガリを見るとカガリは微笑んでいて、アスランも顔が緩んだ。
「なんだか二人の世界ですわね。」
「もー見てらんないよ。ラクス・・・」
「?」
「僕らも負けてらんないよね?」
「当然ですわっ」
そうラクスが言って水に入りラクスからキラの首に腕を回した。
「・・・ラクス。」
「キラ」
ちゅっと音を立ててキスをすると、プールサイドの二人は真っ赤になっていた。
「・・お前らいちゃつきすぎだッ!!」
「えーカガリに言われたくないよ〜。ずっとアスランと同じベットで寝てるのに。」
「ば・・そ、そんな・・厭らしい事なんて・・してな・・」
「・・そうだったか?」
そうしたことを否定されかけてアスランはカガリの背中の紐を少し引っ張る。
「ひゃっ」
「・・・・なにしてないって?」
「だっだって・・キラからかうし・・」
真っ赤になっているカガリが可愛くてアスランは笑ってからカガリの唇に触れるだけのキスをした。
「アスラン!!!僕の前でカガリに手出さないでよ!!!!!」
躍起になったキラを振り払うようにもう一度、次は鎖骨にキスをする。すこし塩素の匂いがしたが気にしない。
「変態ッ!カガリ近寄っちゃ駄目だよアスランに!!!」
そう笑いながら四人で遊び部屋に戻り昼食を取ってケーキを開けて誕生会を始めた。
「僕らももう17かぁ・・早いね、カガリ」
「そうだな・・・・まさか、こんな早く来るとは。」
そう血の繋がった相手と笑いあい、アスランは少し癪なようででも祝ってくれる。
そして、プレゼントを渡した。
「・・・・・髪・・留めなんだが、-----使いやすいと思って。」
そう、あの時・・・実用性ばかり考えて結局当たり障りの無いものを選んでしまった。
でも・・中途半端に伸びる髪が良く動くカガリには邪魔じゃないかと思えて・・
そう言い訳をしたいくらい質素なものなのに、カガリは嬉しそうに微笑んでくれる。
「・・・付けてくれないか?こういうのしたことないから。」
キラとラクスの眼を気にせず後ろに回り、束ねて上げた髪をそれで挟んで止める。
少し落ちた金髪が色っぽいうなじを強調させた。
「とまったか?」
そう聞かれてうなじに触れて微笑むとカガリは顔を赤くして見上げてくる。
「・・・・うん、とまった。」
器用にアップされた髪を鏡で見てカガリは微笑んだ。
「ありがとうっ・・アスラン!」
ラクスはキラに二人がこうしている間にあげてしまったらしく、何をあげたんだとカガリは尋ねる。
「・・・実はね、僕・・ラクスの誕生日に指輪あげたんだよね。」
「ですから、そのお返事ですの、」
そしてお互いの指を見せてくれる。
そこにはピンク色の指輪と薄青色の指輪が光っていた。
「結婚前提で、付き合ってくださいって。」
「・・・その、答えですわ。」
幸せそうに微笑みあう二人をカガリは少し羨ましく思った。
チラッとアスランを見るとアスランは困ったように笑っている。
指輪はまだ早いと思っていたのだが・・・、やっぱり指輪にすべきだった。
そう心の中で深く溜息を付いた。
二人が帰って、アスランはカガリが二人を羨ましそうに見ているのに気が付いていてなにか言ってあげられないかと考えていた。
いつもの様にシーツを引きに来たカガリを引き止めて、言葉を捜す。
「あ、あの・・・指輪にしようか・・迷ったんだけど・・」
情けない、何で指輪は早いなんて考えたんだろう。
この先カガリ以上に人を好きになるなんて・・・・何があったって有り得ないと確信しているのに。
「・・・いや、・・焦るなよ?・・婚約指輪なんて・・本当に大切な人にだけ・・渡すものなんだから。」
そう寂しそうに呟かれて、本当に申し訳なく思えた。
二人が指輪をはめているのがとても羨ましい。
だって・・永遠を誓えた仲なんだから。
「-------私は・・アスランからしか受け取らないから。」
そういい残して去っていった。
アスラン以外の人と結婚する気も恋人になる気もない。
けど・・・アスランはそうとは限らない。人の心なんて常に曖昧なものだと理解している。
お母さんも・・そうだったし・・。
必要と思っても要らなくなる事なんて腐るほどある・・体験もしてきている。
だから・・アスランが本当に・・自分を選んでくれる、永遠を誓う時まで・・何も我が儘は言わない。
寂しいとか・・悔しいとか・・、アスランには言いたくない。
ミーアの事とか・・本当は不安だったりもする、けど・・。そんなアスランを疑う方が信じられない事だ。
アスランは・・行ったりしない。置いて行ったりしない。
そして自分のブレスレットを見上げて溜息を付いた。
大丈夫だと、アスランは。
不安に言い聞かせるのではなくて、確信した言葉だった。
アスランは・・・きっと、選んでくれる。自分を。
自惚れかもしれないけど・・だってアスランだから。
そうブレスレットに笑いかけて、食事の支度へと走った。
夜部屋に居るとアスランは気まずそうに話しかけてきて
「・・・あの、さ・・指何号?」
そうオドオドと聞いてきてくれるのが嬉しくてカガリからアスランに抱きついた。
「・・っカガリ・・」
「ありがとう、アスランッ」
そう言うとアスランも抱き返してくれて
「・・・・・・・ちゃんと・・近いうちに渡すから・・。」
「・・焦るなよ?・・ちゃんと決めて・・」
「カガリ以外なんて・・ありえない。」
翡翠色の目に覗き込まれてカガリは嬉しさで言葉を失う、そして見あげて泣きたいくらいに微笑んだ。
「・・・・・信じるぞ?」
「嘘言うか、こんな時。」
そう恥ずかしそうに頬を染めてお互い笑いあった。