第三十八話:陽と陰の心内




カガリと会いたい。


だが、その想いと対になるように纏わり付く感情があった。

-------なんで・・そう、何食わぬ顔で・・他の男の所へ行くのだろう?

心の中で、陰と陽が交じり合った感じ。
・・カガリに会えば・・・きっと全てが陽になる。


****
こんど・・部屋にこないか?
****


早く会いたい。
陰ばかりの心は・・嫌いだ。





次の日曜、キラはラクスと出かけると言う、だから・・その日に誘うとOKの返事が来た。


よかった・・。
カガリも文面にホッとして肩を撫で下ろす。
置いていかない・・よな?アスランは。
よかった、本当に良かった。
・・・早く、抱きしめてほしいな。

そう考えて嬉しくなっていた。









キラの格好でエターナルに入ると、シンとレイに出くわした。
「お!」
そう手を上げて挨拶すると、シンは少し不機嫌そうな顔をする。

「・・・??どうか、したのか?シン。」
「アスラン・ザラ・・に、会いに行くのか?・・カガリ。・・・アイツ・・」

そうシンが言おうとしたのをレイは止めて
「・・そうか、よかったな。」
そしてやんわりと微笑んだ。
そうして、カガリはエレベーターへと歩いていく。









「シン・・お前は・・カガリを困らせたいのか?」
そうレイにぴしゃんと言われて、シンも顔をしかめた。

----困らせたい・・訳じゃ・・ない。けど・・。
俺の方に・・振り向いて・・・・・欲しいと。
------願うのは罪なのだろうか?











「アスランっ!!!」

ガチャンと戸を開けると、いつも通りアスランが微笑んでいた。

「いらっしゃい・・カガリ。」

そう温かく迎えられて、カガリは暖かいお湯に入るような気分になる。
部屋へ上がり・・やっとフェンスも無い場所で二人っきりになれた事をアスランもカガリも喜んでいた。

「・・・・抱きしめていいか?」

そう、アスランは頬を染めて尋ねるとカガリはコクンと頷いて頬を染める。
ゆっくりと手を伸ばして、カガリの身体に触りながら抱きしめた。
久しぶりに触れる身体に、アスランは嬉しくなって確かめるように撫でまわす。




アスランの手が慰めるように背中をさするたび、カガリは何とも言えない幸福感に浸っていた。

・・・・もっと、ずっと・・一緒にいたい。

カガリもアスランの背に手を回してギュッと抱きしめる。
匂い、この身体。アスランだ。
そうしていると、アスランから重なるだけのキスをされて耳元に息をかけられゾクッとする。
でも、その感覚さえも甘く痺れがるものに転換されていくような気がした。
ボーっとして、その感じに酔うようになってしまう。
音を立てて首元にされるキスも、動く指も・・

「・・アスラン。」

もっと。
不安は確実に安心へと変わる感覚。
それがもっと欲しい。
カガリから手を伸ばして、アスランの耳元でうわ言のように囁いた。

「・・アスラン。」

名前を。


くすぐったさに負けたアスランは顔を離すが直ぐにカガリの顔を覗き込んだ。

「・・・・・今日は・・嫌がらないのか?」

もう・・これ以上無いほど赤いのに。
そう心配して声をかけるとカガリは恥ずかしそうに頷いてくれる。

「・・・・・ギュって・・して、ほしい。」

潤んだ瞳にモノを言われて、アスランはなんだかおかしくなりそうな理性をギリギリに保ったまま、カガリを抱きしめて髪を撫でた。

「・・アスランといると・・ドキドキしたり・・ぞくってしたり・・する・・・けど、何より・・安心する。」

珍しく甘えるカガリが可愛くて、アスランは「俺も・・」と小さく呟き深く唇を重ねた。

カガリはまるでアスランを試すように、唇を開かなかったり歯を閉じたままだったりしたが最後にはちゃんと開けて絡めてくれた。
時々洩れる音が心地よくてアスランはボーっとする。

・・・・・カガリ。
なんで、こんなに愛しいんだろ。

単純にそう思ってさらに深く、深く・・口の中を貪った。




何分経ったか分からないぐらいでやっと唇を離すと、カガリの唇は唾液で濡れて・・頬まで伝っている。
それを舐めて、ニィッと微笑むとカガリは今までしてきた事が嘘のように頬を染めてしまった。

「・・いや?」
「嫌じゃない・・嫌じゃ・・」

恥ずかしい。
自分から・・あんなにねだってしまった事。あんなに気持ちよいと感じた事。
気恥ずかしい。
横からアスランは優しく包んでくれて、それでも頬は真っ赤だった。

「----・・カガリ・・可愛い。」
「可愛くないっ」

否定するとアスランは笑みを漏らしてもう一度いった。

「・・・・可愛すぎだ、カガリ。」

そして弱い耳元に息が注がれてゾッと背筋が上がる。

「気持ちいい?」

それに・・答えたら、何だか負けだ。
どうして負けなのかなんて分からないが答えないでいるとアスランはガッと覆いかぶさってきて、フローリングに倒されてしまった。

「・・・気持ち・・よくない?」

スッと、服の中に手が入り・・おなかを触る。

「ぁ・・っ」

アスランに・・触られていると思うと・・恥ずかしくて、・・なんだか分からないが声も上がる。
その手は腰をなぞってから、上に伸びてきて下着の上から膨らみを包んだ。

「あ・・アスラン?!」

状況が分からず声をあげると、アスランは哀しそうに眉を曲げる。
そして直ぐに手を服から出して、熱烈に唇を重ねた。





欲しかった・・・カガリが。

今なら許されると・・流されてくれると期待したが・・駄目だったな。
少し哀しくなりながらも、こうやって触れていられることが嬉しい。

服の上から、膨らみ触った。

「ッ・・」

キスをしているから良く分かる。カガリは今息を呑んだ。
出来るだけ優しく揉みあげれば、開いた口からは信じられないほどの甘い声が上がる。


「・・っ・・あ・・ぁ・・す・・」

恥ずかしそうに、でも・・その嬉しそうな声は反則だろう?
胸に顔をつけて、カガリを抱きしめた。

「・・・は・・恥ずかしかったぞ・・今の。」

そうカガリはアスランの頭を抱きかかえながらも抗議する。

「・・・可愛かった・・いつもだけど・・今のはまた特別。」

犯したい。抱きたい。
けど・・そんな事、この純情そのものの君にしたら・・壊れてしまう気がして・・中々・・手は出せないけど。

「か・・可愛くないって!!」

そう真っ赤になって否定するカガリがまた可愛くて、アスランはカガリの胸の上で笑い声を零した。

「・・・・----・・カガリ」

ずっと・・こう、二人の世界に居られたら・・どんなに幸せなんだろう。
君は俺の腕の中で・・微笑んでくれていたら。

・・俺だけの。

そう・・黒い気持ち、陰の気持ちが働くがカガリは何も気が付かないようで優しく髪に指先を絡めてくれた。

「・・どうか・・したのか?アスラン・・。」

だが何となく、異変には気が付いているようでカガリは優しく声をかけてきてくれる。

「・・・・---カガリは・・自分が思っているより、遥かに可愛いから・・。」

誰かに取られないかと・・心配だ。

「お、お前が物好きなだけだっ!可愛くないっ!!」

--------分かってないなぁ・・カガリは。
本当に、本当にカガリは可愛いのに。
そして優しくて、明るくて・・-----。
誰からも好かれる。

俺以外の男からも。


-------それが、、いい、所のはずなのに。

・・・それが・・嫌だ。




中々顔を上げないアスランをカガリは優しく腕で包み、ギュッと抱きしめる。
本当は、凄く恥ずかしいけど・・・・。アスランは何だか・・哀しそうだ。
----私と・・一緒に居ても・・・、アスランは楽しくないのだろうか?

ミーアの事を・・尋ねたかった。けど・・、それを聞くのも何だか気が引けた。
----・・二人の問題に・・口を出すのは良くない。

それに・・今・・こうやってアスランと接しているのは・・カガリなんだから。
不安を打ち消すように力を強めるとアスランは顔を上げて微笑んだ。

「・・・ありがとう。」
「・・なぁ・・アスラン・・アスランは・・・・・私と一緒にいて楽しいか?」

そう心配そうに質問すると、アスランは噴出して笑った。
「なっ・・笑うなっ!!真剣に聞いてるんだぞ!!?」
アスランは顔を落として、耳元まで下りてきて囁く。

"・・幸せだ。-------俺は、誰よりも。"

その声にカガリは顔から火が出そうになり、硬直してしまう。
なんでそういう事をさらりと言うんだ、---心臓に・・悪い。
ドッドと音を立てる心臓にアスランは身体からの振動で気が付いたのか、眼を細めて笑って心臓のある場所へ耳を落とした。

「・・・・凄い、鳴ってるな。」
「っ・・・う・・煩いっ!!!!」
「カガリ?」
「な・・なんだよ・・」

ちゅ

そう音を立ててされたキス、そのまま角度を変えて啄ばみだして声が洩れる。

「アスラァンッ!!!!!!」

急な事にカガリは怒ると、アスランは笑ってアスランとカガリの身体をフローリングから起こした。
そしてまた・・哀しそうな・・顔をされてしまう。

・・・・・やっぱり・・私といるのは・・楽しくない・・のだろうか?

翡翠の眼を覗き込み、袖をギュッと握ってパッと離す。


-------恐く、なった。

楽しくないと、言われると・・
そう・・考えると・・
でもその動揺を極力顔には出さず、黙って直ぐに微笑んだ。


「・・そうだっ!アスラン今日は・・」

そう話題を変えて、-----元気な振りをした。



アスランが・・遠くに行かないように。




・・・傍に・・いてくれるように。











夕方まで話して、今日は一緒に食事に行かないかとアスランから誘った。

「・・・・いい・・けど、こんな格好だぞ?」

そうカガリは自分の服を見て苦笑してしまう。
確かに・・男装だし、---------・・。

「・・・服、あるんだろ?」

カガリはいつもデパートの中のトイレで着替える事をアスランは知っていた、そう聞くとカガリはその服を出してみせる。

「・・・-----・・あぁ・・」

アスランは微笑交じりで溜息を付いてしまった、LサイズのTシャツ・・それにシャカパン。

「・・・殆ど同じなんだよ、今と。」

カガリも頬を膨らませて、そしてションボリしてしまった。

「・・買って・・やるから。服。」
「い・・いいって・・悪いし・・」
「俺が選びたいだけ。」

アスランだって金持ちの息子だ、女の子に洋服を買ってあげることなんて容易に出来る。
だが、カガリはすぐに

「銀行で下ろす・・、----選んでくれる・・のか?」

あ、そうだ・・カガリのほうが・・・・・金持ちだった。
そう少し情けないく思いながらもカガリの性格上俺に買われるのは嫌だろうと思って手を引いた。

「うん。」

ただ・・もう少し・・一緒に居たかっただけなんだけど。
そして二人でエターナルを出て、カガリはヅラを外して男物の袖を結びそしてズボンも七部にする。

「これなら・・ちゃんと女ってわかるかなぁ・・」

ウィンドガラスに姿を映しては確認して、アスランの方に振り返った。

「・・・女の子だろ?カガリは、大丈夫。」
「・・・お前、昔キラだって言って気が付かなかった事・・忘れてるだろ?」

頬を膨らませるカガリの横を陣取って、肩に手を回して歩くとカガリは少なからず頬を染めて見せた。
チラッと目が合ってお互いに微笑むと何だかその空間だけ花が飛んでいるような気分にもなる。

「イタリアンレストラン・・見つけたんだ。」

そう・・この間ミーアの為に探した店、中々料理も美味かったし・・・それに、場所さえ選べば夜景も綺麗だ。
今は・・夏だから、この時間だとまだ夕焼けだろうか?

「服は---そうだ、」

ミーアが言っていた気がする。何だか良く分からないがその女の子が普通選ぶような店の名前。
デパートの見取り図からそれの場所を見つける。

「・・この店・・、なんだけど。多分いいのがあるって・・言ってた。」
「・・・・・・・・・・、分かった。ちょっとそこでお金下ろしてくるな。」

タッと駆け出したカガリをアスランは見送ってしまう。




・・・・誰が、言っていたんだ?

そうカガリは疑問を浮かべた。
あの店は・・フレイが良く行く店。
・・・・・・アスランとフレイは・・知り合いじゃない。
そりゃ・・もしかしたら、アスランは通なのかもしれないが・・。

だけど・・。

カガリの知っているアスランは、自分の興味のないこと以外は・・あまり深く知ろうとしない人間だ。
そこの服の値段を知ってか、カガリは多くのお金を引き下ろした。
そして不意に、あの、フレイの携帯から見えた光景が浮かぶ。

ブンブンと頭を振るって、直ぐに戻った。

忙しいと・・いって、あのミーアという子と・・何を話していたのだろう?
・・・・どういう・・関係で・・。

不安げにアスランの服の裾を掴んで見あげると、アスランは「?」と返してきた。

「・・・---アスランは・・物知りなんだな。」


それだけだ。

そう言い聞かせている自分自身が痛く感じる。
アスランは混乱気味で、でも優しく肩を抱いて歩いてくれた。


そして中に入り、その女らしい・・セクシー・・?とかでも言うのか?
そんな服に囲まれて、正直カガリは驚いてしまう。
アスランも一瞬店内を見渡して、直ぐにカガリの手を引き奥へと入っていった。

「・・・ほら、ここら辺・・。」

そして指をさされた所に眼をやると、セクシーと可愛いの中間らしい服が並べられていた。
もう、一つ隣の場所には・・セクシーとかっこいいのの中間らしい服がある。

「・・こっち・・じゃ駄目?」

そう、尋ねるとアスランは"どっちでも"と答えてくれた。
でも・・・・アスランが----こっちが良いって言うなら。

「・・アスランは・・どっち着て欲しい?」



--------それは、反則だろ?
そう上目使いのカガリに、溜息が出そうになるが、堪えた。
だいたい・・---普通、男性が女性に服を送るのは・・脱がせたい時だと相場は決まっている。
・・・そこまで・・下心があったわけではない。
男としては・・そりゃ、そういう服を着て欲しいけど・・。カガリが嫌なら・・別に・・。

----でも、折角こう尋ねているわけだし。

一瞬の間にその事を頭で考えて、可愛い方の棚を指した。


「・・・・、ちゃんと似合うの見つけてくれよ。」

恥ずかしそうに頼むカガリが可愛くて、二人で服を見ていた。

「・・これ・・とか。」

選んだのは、胸元が肩まで開いた白いTシャツ、おなかの横には紐のリボンが付いていて閉めれば自然と身体のラインが分かる。
そして、背中も・・下着が見えない高さまで縦に空いているのだがその場所もリボンでゆったりと間隔をあけながら閉めれば・・きっと可愛い。
それに、白の色と対照的に大きく入る黒の和風のイラストも・・、いいと思った。
下はスカートで黒白のレースがついた、でもそこまで煩くないもの。・・まぁ・・丈は短いが・・。

「----似合うか・・?これ・・」
「試着してみてくれないか・・多分、似合うから。」

そう進めると、カガリは少し頬を染めてから試着室に入ってくれた。
少ししてパッと出てくるカガリに息を呑む。

「・・・・・・・・にあう・・か?」

固まったアスランにカガリは半ば伺ってきて、アスランは頭を振って答えた。

「・・似合う、すごく・・似合う。」

今まで自分のセンスが良いなんて思ったことはなかったが・・。
今回ばかりは・・褒めてもいいだろ?

「・・・---そう、かなぁ・・?」

ガラスに向かってカガリは適当に動いて見せた。
それが可愛くて、とっさに靴を脱いで入り込みカーテンを閉めてしまう。

「アスラッ・・ん」

パッと手で口を押さえた。こんな所・・人には見せられない。
ギュッと抱きしめてカガリはその様子を鏡越しに見ていた。

「ぅ・・ん・・-----」

何か言いたげなカガリを他所に、口を押さえたまま紐の邪魔する背中にキスをする。
そして鏡の中のカガリに眼を合わせて、そのまま首筋に何度も後ろからキスをした。
カガリの顔は面白いように赤くなってそれに満足する。
そして囁くように、「可愛い、凄く・・似合ってる」と言うとカガリは半ば嬉しそうに、そしてもう半分は恥ずかしそうに眼を合わせる。
手を離して、少しカーテンから眼を出して誰も近くに居ないことを確認してから外に出て、その服に合うサンダルも一緒に購入した。
すぐに、トイレへ行きカガリはその服に着替えてきてくれる。

「-----・・本当に・・変じゃないか?」
「・・・全然・・寧ろ」

他の男に見せるが・・勿体無いくらいだ。
そう言おうとした、時。


「・・ッカガリ!!」

そう声がして・・その声の主が、一発で分かってしまう、自分が虚しい。

「・・・シン?!・・レイも!!」

そして二人に駆け寄って、行ってしまったカガリを・・見守ることしか出来なかった。
それじゃ・・いけない。----カガリは・・俺の・・
そう踏み出して、カガリの隣に立つ。
そうすると・・あからさまに眉を潜めたのはレイではなくてシンだった。

「・・似合うな、カガリ」

そうレイに声をかけられカガリは手頭をかいた。

「・・アスランが・・選んでくれた。」

そしてギュッと腕の袖を掴んでもらえて、少し嬉しく感じる。


「--------・・へぇ・・あんたが。」
シンはキッとアスランを睨んでから、「そうだ」とカガリの背中に回りこんだ。

「ばっかだな〜カガリ、まだ上の服・・値札付いてるじゃん!」

チャンス、そうシンは思って・・アスランを睨んでから、その値札のつく紐に手をやった。
硬い、ポリエチレンだか、なんだか分からないが・・結構硬い、紐。
そして背中に顔を近づけて、歯で噛み千切った。

「あっ、すまない・・シン。」
「どういたしまして。」

ワザと・・アスランとは顔をあわせない、カガリが振り向いたのをいい事にその服と、体型を少し間近で眺めていた。
・・思ったより・・胸、大きいし・・。まあいつも男装してるから・・。
それに・・腰も細い、足も・・スラッと細いし・・。

「・・綺麗、だな。カガリ。」

そう微笑んで見せると、カガリも「ありがとう」と微笑んでくれた。

「・・---・・シン、そろそろ・・戻らないと・・。俺たちも外食になってしまう。」

そうレイに言われ渋々その場から離れた。
・・当然、シンは最後にアスランと目が合ったとき・・口元が上がっている。

「行くぞ。」
「あ、うん。」

アスランの低い声に少し・・驚いたが、黙って背中を追った。
エレベーターに乗ると、アスランは込み合った中で信じられないほどギュッと後ろから抱きしめてくれる。
そして、・・誰も・・見えないだろうが手が動いて脚を撫でた。

「っ・・。」

息を呑むとアスランは調子付いたようにもう一度・・今度は太ももの内側まで撫でる。
そしてその手が徐々に上に上がってきて、スカートの中にまで入った。

「・・ッ・・アスラン・・・?」

出来るだけ、他の周りの人には気がつかれないように・・平常どおり尋ねるとアスランも平常どおり
「どうした?」と・・答えて・・でも。
指は確実に・・動いていて・・。
そっと、下着と、足の付け根の境界をなぞった時、目当ての階へ着いた。
ガッと急いで出て、思わず・・アスランを睨む。

「・・・---・・駄目だったか?」
「駄目って・・お前・・人前・・あんな・・沢山の人が・・」

恥ずかしい以上に・あの時は気まずさが上回っていたわけで・・

「・・・いやって・・こと、だよな。」
「・・?・・アスラン・・だって、考えてみろ・・おかしいだろ?あんな場所では・・」




駄目だ。
そう心の中で言う。
分かっている。けど、駄目なんだ。
あのシンの態度。・・・・・カガリを・・狙う眼。
行動を・・起こさなければ、負けてしまいそうで・・カガリを
取られると、不安になる。
たしかに・・あの場所で・・あんな事をするのは・・間違っていると、分かっていた。けど。

でも・・、それでも・・

拒否・・された事は・・嫌なんだ。
受け入れて欲しい、-----俺だけ。

シンや・・レイなんて-----------話してて欲しくもないんだ。

俺だけでいい。

俺が・・カガリだけを必要なように。




「・・・・---アスラン・・?」
「-----ゴメン・・、俺が・・悪かった。・・ごめんな。」

それでも頑張って理性を取り戻し謝った。
でも・・あの時そう動いた事は本能に近くて・・。多分誰も乗っていなかったら・・あの程度ではない。

「・・・、分かってくれれば・・いい、」

カガリもカガリで・・あの行動を怒っているようだった。

----嫌・・だよな、普通。
あんなことされたら。

「・・・カガリ、」
「なんだ・・?」
「・・ごめん。」

そんな顔で・・謝るのは卑怯だと思う。
----嫌・・、二人っきりの部屋だったら・・別に・・恥ずかしいけど・・よかった。
ただ・場所が悪い。
あんな人前は・・嫌だっただけ。それだけ・・分かってほしかった。

「・・・・、ああいうのは・・二人っきりの時だけに・・してくれ。」

それなら良いから。その意味を込めて言うとアスランは曖昧に微笑んでまた肩を抱いて歩いてくれた。





だが、・・・もう一方のアスランは、その一般論を飲み込んだだけに過ぎない。

・・・。
駄目、だろうか・カガリが・・俺のものだと宣言するのは。
柄にもなく、外れたことを考えているのは重々承知していたけど・・

・・・・・・俺のものだと公言したい。そしてそれを認められたい。

--------・・そう、することは・・間違った事・・なのだろうか?









そうしている間に、イタリアンレストランにつく。

































































+++++
あとがき
なんだか思っているよりずっと長くなって焦りました・・。
なので分けますね。次はデートinレストラン編です。
2006.04.17