第三十一話:こういうときが一番幸せ




恋人・・・になって、早一ヶ月が過ぎようとしていた。


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いつもの場所で、まってるな
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そう、アスランとカガリ・・時々だが一緒に昼も食べるようになっていた。
もちろん・・・
あの場所。




「アスラーン」

「カガリ」



金網フェンスの前。
エターナルとアークエンジェルの・・中間。
そこで二人で売店で買ったものを広げる。
そして二人でそのフェンス越しに向かい合って食べていた。

「これ・・邪魔だな。」

そうカガリは言って鞄から何かを取り出す。

「・・・・・・・・いや、切るのはまずいだろう・・。」

ジャッキンと見せられたハサミに少し声をあげた。

「だって・・コレがあると・・アスランによっかかれないし・・食べ物とか交換も出来ないし・・。」

-----確かに・・そうだが。

「一番端なら・・壊して良いかな?」
「良くないだろ・・。」

そんな事してばれたら・・一大事だぞ?
そりゃ・・俺だってカガリと手を繋いだり・・抱きしめたりキスできないのは・・嫌だが。

「ディアッカとミリィ・・仲直りしないかなぁ〜、そしたら皆で食べれるのに・・・・。」

・・・そんな事したら俺とカガリの二人っきりの昼食は・・どうなるんだ。
そう思ったが声には出さないでおく。
昼食を取り終わりフェンス越しだか背中にもたれあう。
金網に遮られながらも感じるカガリの重さが心地よい。

「カガリ・・」
「なんだ?」

-------やっぱり、このフェンスは邪魔だ。
そう眉を潜めた。












「おっカガリ!!!」
「よっ!」

そうして今日もシンとレイの部屋にお邪魔する。

「ホントカガリって学ランが似合うよなー」
「男っぽくて悪かったなっ!ま・・色々重宝してるけど・・」

そしてレイに緑茶を出された。

「恋人とはどうだ?巧くやっているか?」
「ああ!この間はどうしようかと思ったけど・・、今は・・大丈夫だっ」

そう頬を染めているカガリにレイもシンも少し見惚れる。
二人ともどちらかと言うと恋愛感情よりも、友情が強いので直ぐに頭を振り微笑んで見せた。

「・・次カガリ泣かせたら、俺たちは黙ってはいない覚悟しておけ・・と、恋人に伝えておいてくれ」

レイが静かにそう言うとカガリは笑って"ありがとう"と返してみせる。
それを見て、無意識にシンは頬を赤く染めた。

---------・・恋する人って・・こんなに綺麗なんだ。
そう、単純に。
恋人の話をするときのカガリは、何か特別な艶やかさを感じる。
漫画でいうなれば、あの光ってるやつっぽい演出で見えるのだ。

「シン?どうした?」
「いや・・別に!」

姉のような・・存在だとシンは感じていて、心配されると何だかくすぐったい。

「シンもレイも・・いいなっ二人とも弟に欲しいくらいだっ」

そしてクチャッと二人の頭を撫でてくれた。

「じゃあ、ちょっと寄るところあるから」

そう言ってカガリは玄関から出ようとした。

「どこにいくんだ?」

そうレイは尋ねる。

「ちょっと、な・アイツのところ。」

そうカガリは笑って玄関から出て行ってしまった。

「アスラン・ザラに会いに行くのかぁ・・。」

正直なところ・・シンとレイはそいつを好いていなかった。


-------だって、カガリを泣かせた相手だったから。













「よっ!」
「「カガリっ??!!」」

そう二人が驚いたの当然で・・・だって、キラは今この部屋に居る。
どうやって・・・

「ちょっとドコデモドア使ってきた。」

そう笑ってカガリは部屋に入ってくる。

「じゃあ、今度はラクスもつれてきてよ。」

そうキラが笑いカガリはちょっと辛いなと笑って見せた。

「でも・・今度、私たち誕生日だろ?皆で祝いたいよな。」

その言葉にアスランは顔をしかめた、
・・・・二人っきりの誕生日パーティーに・・カガリ自ら水を指す気でいる。

「いいね〜、ラクスとか呼びたい!」

キラもあたかも当然のようにその話に乗る。

「そういえば・・キラとカガリは誕生日が同じなのか・・。」

そう----いえば、そうだ。

「あぁ、あれ言ってなかったか?」

カガリはキラのほうを見てキラもカガリと目を合わせる。


・・・・・、-------。

「・・・どうしたの?アスラン?」
「いや・・。」

前ほど・・べたべたしなくなったのは認めよう・・。だが、この二人は自分達の世界を持っているように見えて・・。
それもとても居心地のいい関係・・に見える。
・・・・・・・嫌・・だな。

「じゃあ・・なんとかして、ラクスつれてくるなっ誕生日の日!」

そう言うとキラの目は輝いて

「うん!楽しみだね」

キラは・・ラクスの事が好きだ。それは本当の事だと思う。

「アスラン?」

心配そうなカガリの顔がアップで映されて、驚いて離れた。

「お前・・なにボーっと考えてるんだよ!」
「いや・・。」

キラがいなかったら・・・・いい感じになったかもしれなかったのに・・。
そう微妙に思いながらも考えるのを止めた、心配してくれた事に安心したのかもしれない。











五月十八日が近づくにつれて、アスランは少しずつ焦りを感じ始めていた。

・・・・・・女の子へのプレゼントなんて・・。

ブレスレットだって、悩みに悩んで買って・・。
ネックレスは貰ったから・・なんだか被るだろう?
指輪・・・、は・・まだまだ早い気がするし・・。
そう、何を買えばいいのか全く分からない。

「・・・・・。」
「どーした?アスラン?」

そう学校で沈んでいるとディアッカに声をかけられた。

「-------・・」

ディアッカなら分かるだろうか?一番・・女慣れしてそうだし・・。

「・・プレゼントが決まらない?」
「ああ・・。」
「誰に?」
「カガリ・・。」

そう少し頬を染めて言うとディアッカにその幸せオーラがキモチワルイと殴られる。

「そっか〜、そうだよな。お前ら付き合いだしたってキラが言ってた。」

キラ・・、言ったのか?---俺としてはあんまり公言してほしくは無いのだが・・(騒がれると面倒だから)

「そうだなぁ・・、カガリなら何でも喜んでくれそうだよな。」
「だからこそ・・困ってるんだ。」

そう、きっとカガリはなんだって喜んでくれる・・。でも・・それじゃあなんだか誕生日のかいがない気もする。

「悩め。」
「は?」

ディアッカのイキナリの発言を意味深ながら捉えた。

「お前が悩んで決めたものほど・・・カガリは喜んでくれそうだと俺は思う。」

そうニィッと笑われ、少し・・感心した目で見てみた。

「おい・・なんだその、"お前そんな事、言える奴だったのか?"って言う目は。」

ちょっと呆れた目で見られて、ありがとうと呟くとディアッカは手を振ってどこかにいってしまう。


-----・・悩む・・か。


そして言われたように悩みに悩んで、一人でデパートに立ち寄った。











「なーレイ・・カガリの誕生日プレゼント・・何にしよう・・。」
「・・・・、ブレスレット・・以外だな。」

そうレイとシンはデパートに寄りながら話していた。

「カガリ・・ホントなんでも喜びそうだよな〜。」
「そうだな。-------・・コレなんてどうだ?」
「お茶の葉は・・消耗品だからなぁ・・。」

そうレイが取ったお茶の葉を却下するシンだが、シン自身どれにするかなど決まってはいない。

「・・・ピアス・・はつけないし・・。香水?」
「カガリが・・香水か?」
「変か。」
「変だろ。」

カガリらしいものと探しているといつの間にかスポーツ店に入っていた。

「ダンベル・・とか?」
「・・・---確かに喜びそうだが・・女の子にあげるものではないな。」

色々見て周り、結局シンはリストバンド、レイは男物のキャップ帽を買った。

「まー、こんなところだな。」
「帰るか」

そう話していると、ある人物がレイの目に留まった。

「・・・、シン・・アスラン・ザラだ。」

そう言われシンもすぐに探し、その人物を見つける。

「・・ホントだ・・アイツもカガリの誕生日プレゼント・・買いに来たのかな?」

二人で暫く見ていると本当にそうのようで、いろいろな場所を転々としては頭を横に振っていた。
そして先ほどシン達が入ったスポーツ店に入り、自分たちと同じようにダンベルを持ち上げてみたりしていた。

「どうやら・・カガリは恋人の前でもカガリのようだな。」
「・・まーカガリらしいけど・・。」

そうシンとレイは笑い合っているとアスラン・ザラはその店を出て、隣の雑貨店へと入っていく。

「なに買うんだろうな、あいつ。」
「さぁな、きっとカガリが顔を染めて教えてくれる・・。」

そう、レイが寂しそうに言ったのをシンは聞き逃さなかった。











「・・・これ、で・・いいかな?」

結局、実用品を買ってしまうのが自分らしいのだが・・、アスランはハァッと溜息を付いた。
ブレスレットよりは使えるだろう、多分。
そう思って買ったものを握ってエターナルへと帰っていった。


































































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あとがき
ほのぼのです!ほのぼの〜♪
でも色々ありそうです。レイ〜〜。
2006.04.10