カガリがアスランといて・・顔が真っ赤になったと言うのを聞いて・・結構驚いた。
だって・・・僕ですら、恥ずかしがって頬を染めるカガリは見た事が無い。
怒りで・・顔が赤くなったのなら何度かあったけど・・・。
「アスラン・・この頃、カガリと連絡とって無いの?」
「ああ。」
そう不機嫌に答えられる。-----僕がずっとそばにいるからか。
「ラクスとは大丈夫なのか・・・ずっとお前カガリに付きっきりだと・・ラクスが嘆いてた。」
「うん・・やっとカガリ落ち着いてきたし・・今度また、ラクスと遊ぶ予定は入れようと思ってるんだ。」
そう言うとアスランは余計顔をしかめて見せた。
「・・・・お前は・・カガリが好きなのか?----今も・・。」
「あたりまえじゃない。」
そう笑って答えれば、更にアスランの顔は険しくなった。
春の桜が全部散りそうな顔しちゃって・・と少しキラは溜息を付く。
「・・・大丈夫、お互いloveではないから。」
「・・・・・・・。」
そう言うもののアスランの顔は一向に晴れない。好きな人が困ってるのに・・助けるのが僕じゃ・・アスランも怒りたくなるか。
「ともかく、僕がラクスと遊ぶ日に・・部屋に呼ぶなりなんだりして・・、カガリと直接話せば分かるよ。」
カガリが話してくれるかは大変謎だけど・・。
まあ・・カガリ次第だよね、僕はもう・・カガリを立ち直らせたし。
「・・・応援してるよ・アスラン」
そうイラ付いている親友に笑いかけて、駆け出した。
「おい・・っキラっ!!!」
「早く帰ってメール返信しないと・・ラクスが怒っちゃうからねっ」
そうアスランに投げかけて桜の道を駆ける。
-------いや・でも本当に・・ラクスを怒らせると怖いからなぁ・・。
カガリがいるから・・大丈夫かな?
そう思いながらダッシュで部屋に戻った。
「ごめんっ・・ラクス!!!!」
そう・・カガリに頭を下げられれば・・今までのイライラなんて・・何処かへ消えてしまいますわ・・けど・・。
ここ二週間ほど・・ラクスはキラにも・・カガリにも話しかけられないような状態が続いていた。
キラは話せばカガリが心配だと言うし・・当のカガリはボーっとして生きているか生きていないかという精神状態。
話しかけても「・・・・、ラクス?」と言われて泣き出されてしまう。
なんだか・・萱の外に外された気分で・・ラクスは凄く寂しかった。
イライラは消えるけど・・寂しさは・・そう簡単に消えるものではない。
--------根ずいて・・広がっていくようなもの。
「キラが今度遊ぼうって・・、ラクスと二人で遊びたいって・・言ってて・・元を辿れば私が悪いんだ・・だから」
そんな必死にされては・・もうキラに怒れるはずも無い。
「分かりましたわ・・カガリ、カガリはもう大丈夫ですの?」
「ああ・・なんとか。」
そしてカガリに微笑むとカガリは
「ラクスが・・ずっと心配してくれてたお陰だ・・ありがとう。」
-------・・・。
「はい。」
カガリに・・私は少しでも恩返しできたのだろうか?
そう思うと・・苛立ちは嬉しさに変わる。
・・・やはり、カガリは素敵ですわ。
そうラクスは改めて自分の親友を誇らしく思った。
****
こんど・・部屋に来ないか?
****
・・・-----アスランと・・合うのは一ヶ月ぶり・・くらいのような気がする。
ボンヤリとそう思って返信をする。
答えはOK・・・当然だ。
・・でも、どうしよう。
もう彼女がいたら・・----いらないと・・言われたら・・・。
恐い。
恐くて・・堪らない。
---------・・アスラン・・。
抱きしめて・・くれるかな。・・いつも通り。
夕食が終わり、不意にキラに尋ねられる。
「ねぇ・・アスラン・・カガリと結婚したい?」
「-------・・なんでお前にそんな事・・」
キラとカガリの仲の良さは・・恋人じゃ無いと言えど目にみはるものがある。
どう考えたって・・・仲が良すぎる。
それを・・カガリのことが好きなアスランとしては怒るのが当然だ。
「結婚したいのか・したくないのかって聞いてるの」
キラは有無を言わさずピシャッといってくる。-----・・お前はカガリの何なんだっ!!!
「・・・・。お前に言うつもりは無い。」
結婚・・したいさ、・・-----カガリほど愛しい人が出来る日が来るとは・・思えないし・・。
「・・・・もし、結婚する時が来たら-------アスラン、今の態度とったこと後悔するよ」
そうキラにどす黒く笑われて、何でだよと考えてしまった。
休日。キラが居なくなってすこしボーっと考える。
これでもう・・カガリと俺を邪魔するものはない・・。
あと、俺が頑張って・・・告白すればいいだけ・・・・・。
-----・・そうなの・・だが。
いざ・・何も障害がなくなると・・逆に駄目だ。
そう一人へたれているとインターホンが鳴る。
そしてガチャンと・・あければ当然・・カガリが居る。
「・・・・----あ・・あのさ・・アスラン」
その声を止めるかのように、部屋に引っ張り込んだ。
「・・・・。ゆっくり・・話がしたいな・・今日は。」
そうアスランが言うとカガリはコクンと頷いてくれる。
二人で机を囲み、ココアとコーヒーを飲む。
「・・・・大丈夫・・か?」
そう・・ずっと心配していた。カガリが・・泣いている事を。
「ああ・・キラが傍に居てくれたから・・・」
キラ。
恋人以上といった・・キラもあらかた嘘では無いらしい。
こんなにもカガリの心を占めている。
「・・・そう、か。」
そしてまた沈黙が訪れる。
「俺の・・せいか・・?」
ブレスレットを見て・・泣いていたと、---キラが言っていた。
「ううん・・・・・・私が・・我が儘なのがいけない。アスランは---悪くない。」
グッと俯いて言われて、ヤバイと直感的に感じる。
泣いて・・しまうのではないだろうか・・と。
「私は・・我が儘だ。アスランに・・運命の人が見つかるように・・・・本気で願ったのに・・アスランが合コンに行った時すごく寂しくて・・」
・・・寂しいと・・思ってくれていた。
----場違いなのを承知で・・嬉しいと感じる。
「カガリが・・寂しいなら・・・・・もういかない。」
カガリが・・俺を選んでくれるのなら・・・・。
そう言うとカガリは首を横に振った。
「違う・・アスランに幸せになってほしい・・---」
------矛盾していると、カガリ自身笑って鼻をすする音が聞こえた。
「キラが・・離れていった時は・・平気だったんだ・・・・、けど---アスランが離れていくと・・思ったら・・悲しくて・・・嫌で・・」
ポタポタと涙の流れる音が聞こえ出す。
・・・カガリは・・本当に鈍感だと思った。
だって・・つまり--------それは・・。
カガリの隣に行き、背中をさすってやる。
「離れないよ・・俺は。カガリから」
なんで・・カガリの中に・・アスランに恋していると言う言葉が浮かばないのだろう。
小さな背中を抱いて泣き終わるのを待った。
そして数十分してカガリはやっと顔を上げる。
「大丈夫か?」
カガリはまだ潤んだ目を上げてコクンと頷いて見せた。
「あのなわがまま承知で・・お願いしたいんだ。」
「・・・なんだ?」
そう覗き込んで優しく笑う。
カガリが昔好きだといってくれた笑顔で。
するとカガリは泣きそうな顔をしてからガバッと音を立てて抱きついてきてくれた。
「・・カガリ・・。」
久しぶりに触れる熱に少し懐かしさを覚えながら抱き返す。
そしてこの匂い・・・、本当に何ヶ月ぶりだろう・・。
思う存分抱きしめて、髪に手を通しながらもう片方の腕はカガリの細い腰をなぞる。
「・・・いいか?」
触る時・・確認を取るよう前カガリに言われたのを思い出した。
よかった・・怒る前に聞いて・・そう思っているとカガリから予想もしない言葉が帰ってくる。
「----いいから、今日は・・ずっとこうしてたいんだ。」
そしてギュッと袖を掴んだ、おそらく顔は真っ赤だろう。
「ちょっと・・顔見ていいか。」
そして覗き込めば真っ赤なカガリの顔が見える。
可愛い・・愛しい。
腰をクッと抱きしめて頬に唇を落とした。
アスランの唇がどんどんと下がり首筋を舐める。
ゾクッとした感じ・・・これも久しぶりだ。
ドキドキとなる心臓も、トクンと感じる心も・・・・・
----これが・・アスランにしかないもの。
キラにもラクスにもお母様にも無いもの。
アスランの手はするりと動き、脚をなぞった。
唇は耳元で息を繰り返し優しく咥えてくれる。
「・・・他の・・子に・・してないよな・・?」
そう真っ赤になりながら聞いてしまった。
他の子に・・同じ事をしていたら・・凄くいやだ。
「してないよ・・カガリだけ。」
そしてアスランの顔が近づく。
「・・ぅん・・。」
しばしば目を見開いて、唇に当たっているものを見てしまう。
近すぎて見えないのだが・・・でも、・・・・唇で・・今・・キスしている。
そう呆然としていると、アスランの舌が唇から割り込んできて口内を勝手に荒らした。
「・・っぁ・・ん・・・--・・・ん・・。」
ビックリして口内で暴れているとアスランの舌が暴れるカガリの舌を絡めて落ち着かせた。
そして味わうように何度もあわせる。
気持ちいい・・・そう頭がボーっとしてきて、気持ちも静かになる。
アスランの舌が優しく動いて、カガリのもゆっくりと動く。
そしたパッと唇が離れた。
「ゴメン・・嫌じゃなかったか?」
そういわれて首を横にふる。
「嫌・・じゃない。気持ちよかった・・凄く。」
正直そう思った。
ドキドキとはまた違う、溶けそうな気持ちも混ざった感覚。
求めるように自分からアスランに寄って行く。
「かが・・」
ねだる様な目に少しゾクッとする。
・・・いいのか?
そしてもう一度長いキスが始まる。
時々洩れるカガリの声が心地よくて、感触も・・この寄りかかってくる重さも。
綺麗な蜂蜜色の髪に酔いながらアスランはうっとりとする。
やっぱり・・運命の人が・・いるなら、それはカガリだ。
そう確信がもてた。