第二十六話:境界線




何で涙が出たのだろうと、考えた結果・・・一つの答えに行き着いた。



「カガリの---様子が・おかしい?」
「そうなんだ・・・、キラなんでか知ってるか?」
キラはカガリの恋人・・理由だって話しているかもしれない。
そう、思ってパソコンをいじるキラに話しかけた。

「-----アスランの合コンが響いてるんじゃない?」

・・・・、何で・・・俺が関係するんだよ。
それに・・パソコンから目を離さず会話しているところを見ると、不機嫌に思える。

「近頃知らない男子と話してるみたいだし・・・・」
「心配なら・・聞けば良いじゃない?」

冷たくないか・・キラ?--------恋人の事だぞ?

「お前は心配じゃないのか?」
「そりゃ心配だけど・・・カガリが言いたくない事を言わせる必要ないじゃない?」

・・・・・・・-----そう、だが・・。
でも・・普通・・聞きたいだろう?あの元気なカガリが・・泣くなんて。

「それに・・・カガリはもう・・僕にはあんまり頼らないと思うよ。」

そう言ってやっとパソコンを閉じ、椅子をこちらに向けた。

「・・、良いのか・・・お前は・・それで」
「良いよ。僕もカガリも別の人間なんだ、頼らないと立っていけない小さい頃とは違うよ。」
「お前・・それでもカガリの・・・!!!」
「君こそ・・いつまでグズグズしてるのさ。」

充電している携帯のところまで歩いてパッと画面を見せられる。

「ラクスが言うに、家に帰ってきてカガリ泣き出したって。君がくれたブレスレット見ながら・・今も、泣いてるんだって。」

え・・・?

なんで・・-----、


「怒りたくもなるよ、-----カガリ・君の事でないてるんだよ?僕がいったって・・どうしようもないじゃない」
そう冷たく言われ、だから怒っているのかと納得がいった。
パカッと携帯を閉じ、キラは深く溜息を付いた。
「って・・いうか、もしアスランの事でカガリが僕にまで連絡してくるようなら・・・君の事殴ってると思うよ、僕は。」
そう真剣に言ってくるキラに少し驚く、やっぱり・・キラはカガリの事を凄く・・大切に思ってるんだ。




少しうろたえる親友を横目に溜息を付いた。
「-----・・大体・・アスランがちゃんと"恋人になろう"ってちゃんと言わないから・・ディアッカに誘われるんだよ?」
カガリが鈍感で天然なのも認めるけど・・それにしたって・・。


「・・・・は?」


「だから・・君がしっかりカガリを捕まえないからこんな事に・・・・」
「え・・、き・・キラ・??」
「何?今機嫌悪いんだけど・・。」

「カガリの・・恋人は・・お前だろ・・?」

「はぁ?」

何・・訳分かんない事言ってるんだろう・・アスランは
ドンと音を立てて座りアスランを少し睨んだ。

「三年前以上前に・・分かれたけど。」
「・・・・・・はぁ?!!!!」

頬をかいて少し考える、何この反応。
・・・もしか・・して、しなくても--------

「付き合ってると・・思ってたの?----カガリと・・僕。」
「ち、違うのか・・・?」
「だって、僕の恋人・・ラクスだもの。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」

・・あぁ、だから今の今まで・・・ちゃんと・・言わなかった・・とか?
目の前でげんなりなっている親友に少し、罪悪感が生まれた。

「・・・もしかして・・僕がいたから・・言わなかったとか?」

その言葉に俯きながらもアスランは頷いた。
あちゃー・・・・、言っておいてあげれば良かった。
少し自己反省をして親友を見る。

「誤解も解けたことだし・・----・・で、?カガリと何処までいったの?メイド・・同じ部屋で寝てたんでしょ?」

まぁ・・僕からカガリを奪う事に変わりは無い。

「・・・なんでお前に・・」
「言っておくけど・・カガリと僕・・恋人以上だから。」

「・・・・・・元彼の特権か?」
「だーかーらー、僕とカガリは恋人以上の関係なの。」

それもあらかた嘘ではない。兄妹・・・、それだけでもない事実。
そう言うと勘弁したようにアスランは声を出した。

「キスもしてない、襲ってもいない。」
「そんなの当然でしょ?----カガリに・・どうやって触れてたの?----恋人でもない君が。」

恋人・・・そう、早くなっていれば良かったのに。
まさかアスランがこんなに手間取るなんて・・まぁ僕の責任も叱りだけど。
肘をテーブルについてアスランが話し出すのを待った。

「普通に・・頬とかにキスしたり・・肩とか・・抱きしめたりとか-------・・。」

そう頬を染めて話す親友を兄心として殴りたくなる一方、少し恐くなる。

「・・・で・・、カガリは、」
「真っ赤に・・なっていた。」

・・・カガリが・・真っ赤。

---------・・。


「で・・そこまでして・・キスもしなかったの、まぁいいけど----・・なんで僕がいるってだけで・・恋人にならなかったの?」

どう・・見てもアスランは今にでも手を出したがっている狼にしか見えないけど。

「--------・・カガリが・・恋人には絶対・・なりたくないと-----いったんだ。」

・・・・・-------あーあ。

「アスランと・・離れたくないから・・でしょ?」
「な・・なんで、分かったんだ?!」

そりゃ・・

「だから、僕とカガリは恋人以上なんだって。」


そう微笑むとアスランは急に顔をしかめる。まぁ・・納得いかないのも分かる。

「・・・で、アスラン食い下がったわけだ。」
「仕方ないだろう・・・カガリが・・そういうんだから。」
「・・そして合コンの時に出くわしちゃったと。」
「・・・・あぁ・・。」

・・・やばいかも。これは・・。
そう思えたのは双子だからだろうか?
この状況を聞いて・・カガリが平常で居られるとは思わない。

「・・・ともかく・・アスランは一刻も早くカガリと話して・・中々掴まらないと思うけど・・。」
「えっ・・あ、あぁ・・・。」
「スキンシップだけ測ろうとしないでよ・・・・・・・カガリがこれ以上駄目になったら、大変だから。」
「は?」

・・・・どうしよう、今すぐにでも---僕も行かなきゃ。
ただアスランとのいざこざだと思っていたら・・・・・・・バッチリすぎるぐらい、地雷踏んじゃって・・。
そう思い親友を睨んだ。

「・・キラ?」
「・・・・やっぱ、もっと早く僕がアスランに説明しておけば良かったのかなぁ・・・。」

僕とカガリの事を。
そう後悔しながら、カガリにメールを送る。

****
クサナギ公園で待ってるから・・
どんなに遅くなっても構わないから・・きてね
****

「じゃあ、僕出かけてくるね。」
「出かけるって・・・・寮の閉門まであと三十分だぞ?」
「へーきだよ、ベランダから入るから。」
「は!?」
「じゃあ、入るときは手伝ってね。」

そういい残して靴を取りベランダから飛び降りる。
「キラっ!!」
ちゃんと着地してから、アスランを見あげて、

「へーき、へーき・・カガリに出来て、僕が出来ないわけないんだから。」

そしてクサナギ公園へと走り出した。





「カガリ・・大丈夫ですの・・?」
始めてみる、カガリの姿に呆然とせざるおえない。
いつもの太陽のような顔は消えうせて、ずっと顔を膝に埋めて・・でも手のひらは硬くラクスの服を掴んでいた。

「ら・・く・・すっ----・・こ・わい・・・----」

恐い?

「大丈夫ですわ、カガリ・・。」

そう言って抱きしめると、カガリの横にある携帯が音を出した。

「・・・-------キラ・・?」

そうカガリは小さく声に出して携帯をガッと取り画面を見つめる。

「・・キラ・・が----呼んでる。・・少し・・行ってくるな、ラクス----」
「分かりましたわ、お気をつけて・・いってらっしゃい。」

そして立ち上がったカガリの頭を撫でて、ベランダから飛び降りたのを見送った。

・・・・一体・・どうしたのでしょうか?
アスランが・・・原因・・----なのでしょうか・・?
---------そんな簡単な事・・なのでしょうか?







「カガリっ」
あぁ・・もう・・アスランの馬鹿。
そう、心の中で強く思いながらもその原因の一端を持っている自分に罪悪感が沸く。
春といえどまだ寒い夜の公園に、カガリは泣きながら走ってきた。

「きらぁ・・。」

目の前にまで来てカガリは足を止めてボロボロとでる涙を必死で拭う。

「私・・ッ---駄目だ・・・---こんなんじゃ・・っ・・また---"いらない"って・・・」

あぁ-------やっぱり。

「大丈夫だよ?アスランも僕も・・ラクスもそんな事絶対言わないから・・。」

要らない。
そう過去に呼ばれた。苦い記憶。

「でも・・ッ----いらないって・・いわれ・・たら----・・アスランに・・っ・・」

そう両手を口に当ててカガリはカタカタと震えている。腕にはアスランから貰ったブレスレットが綺麗に光っていた。

「・・・それに・・---・・離れて・・いっちゃう----・・ッ・・また・・」
一人に
なってしまう。

「アスランは・・カガリから離れたりしないよ。」

その言葉を聞いてカガリは首を大きく横に振って見せた。

「離れる・・んだ、絶対に-----・っ・キラだって・・ラクスだって・・お母様だってお父様も・・みんな---」

大切な人は・・いつだって遠くにいってしまう。
私を置いて・・・。
でも・・それで----相手が幸せになってくれるなら、それでいい。
-----そう、思い込もうとしていた。


「寂しい・・っ・・・。」

寂しくて・・寂しくて-------堪らない。

「カガリ・・。」

そう泣く片割れを優しく抱きしめて背中をさすった。
「いなく・・ならないで・・----・・。」
・・・おいていかないで・・。

恐い。

誰にも・・必要とされなくなる瞬間。

離れていく距離。
離れていく心。



大切な人に"いらない"と言われる。
そう・・感じさせられる瞬間も・・・・

-------もう・・沢山だ。

「アスランに・・まで、、、要らないって・・思われ・・たら、言われたら・・・っ・・---他に・・」

自分より・・ずっと、ずっと----大切な人が・・出来てしまったら・・?
キラと・・ラクスのように。
ずっと・・二人で・・私の見えないところへ・・行って----しまったら?

・・・アスランにまで・・。

「アスランに・・聞いてみたら・・?きっとアスラン---カガリが必要だって、言って・・」

「私は・・ッ----------そんな・・軽い・・一時的な感情は要らない・・っ」


ボットッと黒い・・感情が、出てくる。
一度出てきたら・・止まらない。

昔のように。


「冷めるようなものは要らない・・っ----------・・私は・・っ・・わたし・・は・・。」

永遠が欲しい。

・・・我が儘で・自分勝手な・・意見。

そんなもの事態・・相手に求める事が・・間違っているのに。


「ずっと・・ずっと・・そう、じゃないと・・・嫌だ・・・---・・。」

こんな自分



きっと・・誰も一緒にいてくれはしないと




分かっているんだ。


だから・・・





寂しくて・・堪らない。

































































+++++
あとがき
天然カガリ崩壊中です。
つうか、あの天然さは有り得ないだろう(爆)
って思って、ちょっと裏返します。
色々説明していけたら良いです。
題名の境界線はこの話と言うより、兄姉校の神話の境界線です。
話がすこーしシリアス風味になります(汗)
カガリがこんなに恐がっている理由も説明していきます。
2006.04.07