第二十三話:フェアな関係




「綺麗だよなぁーコレ・・。」

毎日・・毎日、このブレスレットを眺めるのが日課になっていた。


「やっぱり親友だな、キラとアスランっ・・・考える事一緒だ!」
「そうですわね、二方ともブレスレットをお買いになられて・・」

ラクスもキラから貰ったブレスレットを毎日つけているようで、幸せそうに見える。

「アスランと恋人には・・?」
「な、なるわけないだろ!恋人なんて・・・」

うーん・・キラにも言われたがアスランも考えた事無いし・・私もアスランと恋人にはなりたくない。

「あらあら・・そうですの?」
「別れたりしたら嫌だろ?だからずっと一緒にいようって言っておいた!」

そう言うとラクスはクスリと笑って、

「そうですの、ずっと一緒・・いいですわね、カガリ」
「そうだろ!恋人にならなくても・・一緒にいられれば・・。」

そう、アスランと一緒に---いられれば、それでいい。下手に恋人という関係にとらわれると・・ギクシャクすると思うし・・・。


そう話しているうちにアークエンジェルに着く。
「ディアッカからメールきてね、いい子誰か紹介してくれないかって・・言われたの。」
それを聞いてフレイは直ぐにプチンときて怒り出した。
「はぁ?何考えてんのっ??ばっかじゃないの?ディアッカ!!」
「まぁ・・でも、アイツ元から女好きだし---当然っていっちゃ当然なのよね。」
そう言っているミリィはどこか悲しそうに見える。

「・・・いいのか?ミリィ・・--ディアッカ・・ミリィの気・・引きたいだけじゃないのか?」

いい想い出だと・・ディアッカは言ってたけど・・。でもディアッカも納得していたようには見えなかったし・・。
「・・・そう、だとしても----今はまだ・・和解できそうにないもの・・。」
「---案外違う女性を見て、やっぱりミリィが一番だと・・気がつくかもしれませんし・・。」
「どう・・なんだろうね。」

難しいんだな・・恋愛って。-----ディアッカもミリィも・・早く元気になってほしいな・・。



帰り、ラクスとデパートに寄って帰っていると、何やら広場に人ごみが出来ていた。
「あら?何か出し物でも・・してるんでしょうか?」
「見てみるか」
そう言って少し背伸びをしてみる。

「-------・・え?」

喧嘩だ。
しかも・・こんなデパートの中で・・。
良く見えないが、男の子同士が殴り合っていて、時々見ている人間からは叫び声が上がった。

「み・・見てないで止めろよッ!!」

そう思い人を掻き分けて、一番前に出た。

朱色の髪、黄緑色に近い金髪、薄い緑髪。
それに・・真っ黒な髪・・綺麗な金髪。

「・・っシン!レイっ!!」
相手はこの前フェンスの所に来た・・三人組だ。
「や・・やめろよっ!!こんな所で・・!!!」
警察沙汰になったら・・・どうするんだっ?!

飛び出して、シンがフラフラの相手に最後の一発と言わんばかりに殴ろうとしたのを、肩で喰らった。

「・・・ゆ・・ユラっ?」
シンも殴られていて、無我無心で殴り合っていたように見える。

「馬鹿っ!こんな所で・・・早く逃げろっ!レイも!!!」

今シンに殴られた肩を片手で押さえて、シンの手を引く。
「行くぞっ・・レイも早く!」
そう言って、人ごみを見ると裏口からラクスが手招きしているのが見えそこに走った。


適当に逃げて、誰もいない公園まで走る。

「っ!馬鹿かお前らはっ!!!!あんな人前で・・喧嘩なんてっ!!!!」
「し・・仕方ないだろっ!急に殴って始めたのはあっちだ!!」

レイはラクスに頭を下げてからカガリに近寄って肩を触った。

「----・・大丈夫か?」
「え・・あ、あぁ。まぁ・・。」

痛かったが・・止める為なら仕方ない事だと思ったし・・。
「あっ・・ごめん!!!」
シンはさっきの事を思い出して、カッと頭を下げてきた。
「いや・・いいって、勝手に前に出た私が悪い。」
そして、シンの顔と、レイの顔に手を当てた。

「大丈夫か・・、結構かすり傷だが・・・シンも頬少し腫れてるし・・。」
「だ・・大丈夫、適当にしてれば・・・治るから。」
シンは少し頬を染めてそう言って、レイも「大丈夫だ」と言っている。

「カガリのお友達でしたのね、」
「ああ。」

・・・・ん?
そう・・言えば。

「あ・・ヤバイ。今男装してなかった・・・。」

ハッと気が付いてももう遅い。だって自分はアークエンジェルの服を着ているのだ。
そしてオドオドしだすと、シンとレイはブッと噴出して笑い出す。
「実は・・前から気がついてたんだ。」
笑った口元を隠しながらレイにそう言われ、「え?」っとビックリする。
「アークエンジェルの制服・・着てるの見ちゃったんだよな。俺たち。」
シンもおなかを抱えてそう言った。

「で・でもシン・・女の子嫌いだって・・」

そう、言われたら何が何でも隠さないといけないように・・思えるじゃないか。

「ユラは別だっ!こんな変な子始めて見たよ・・俺っ」
「本当だな・・ユラは---変と言うか・・変わっている。」

そういってまた笑われて、なんだか馬鹿にされているみたいだと唇を尖らせた。
「本当の名前は・・カガリ・・というんだな。」
レイに聞かれてあぁと答える
「じゃあ、これからユラはカガリだなっ」

--------良かった、シンにも嫌われないし、レイにも引かれていない。

「あぁ、よろしくなっ!」
改めてそう挨拶をして、質問をする。

「あのさ・・女子だけど・・・お前らの部屋にゲームしに行っていいか?」

そう言うとレイは
「もちろんだ、カガリ。俺とシンは歓迎する。」
そう微笑まれて、嬉しくなる。
「本当かっありがとう・・・じゃあ、お前らの部屋、一階だから今度ベランダから入るなっ!」
カガリは笑いながらそう口にするとシンとレイはまた笑った。

「ベランダって・・やっぱ・・---おかしいよ、カガリ。」
「駄目・・か?」
「いや・・----楽しみに、待っている。」

そしてその場はお開きになり、ラクスとカガリは共にアークエンジェルへと帰っていった。


「・・・-----なぁ、レイ。」
「・・カガリの事か。」

う"・・あからさまに反応してしまう自分が情けないが・・だって・・・。

「お前も・・好き・・に見えた。さっき。」
「そう・・だけど、何か---友達の好きか・・女の子として好きなのか・・・・解らないんだよ。」
「俺もだ。」

そうレイと話して結局。

「なんか、俺たち・・・・お互い頑張ろうな。」
「そうだな、恨み合いは無しで・・」

そうお互いに宣戦布告もとい平和条約を結び、エターナルへと帰っていくことになった。




エターナル中のものがデパートで大騒動を起こしたのは直ぐにアークエンジェルにも聞こえてきた。
「しかも、噂によると・・白黒少年と静寂な君・・だったらしいわよ、喧嘩相手。」
その二人は逃げて結局正確なところ誰だかわからなかったらしい。
あとの三人は今謹慎処分を受けているそうだ。

「大丈夫かなー怪我。」

そうボンヤリと口に出して、フェンスを見た。


-----・・・アスランと・・この頃、話してないな。

せっかく一階から入れることになったんだし・・頻繁に部屋に行くのも悪くないか。

そう考えて今度またお邪魔しようと密かに思っていた。





「--------・・ご、合コン・・俺が・・?」
「だって・・こん中でフリーなの・・俺とお前だけじゃん。」

そう、ディアッカに言われて少し顔が引きつった。
「えーでもアスラン、行っちゃっていいの?」
そうキラに尋ねられて、カガリの事かと思う。
でも・・キラとカガリが両思いなら・・そんな事でキラに気を使わせるのは申し訳ない。

「・・別に・・いいが、俺は苦手だ、女子が。」
「いいのか、貴様。」

イザークにまで念を押され、何なんだと思う。

「・・いいさ、別に----社会科見学の場だと思っていってくる。」
「幾つだお前は。」

そして行く事になり少しげんなりしながら窓を見た。


・・・カガリは・・あのブレスレットを今日も付けているのだろうか?


そうして自分の首にぶら下がる赤い石を服越しに掴んだ。

・・運命の・・人。


-------カガリであると良いと思う。







































































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あとがき
シンとレイが異様に出てきます。
しかもお互いどっちだか解らないような話し方をしているような・・・。
ケ・セラ・セラで・・・(うわ)
2006.04.06