「アスラン・・----そんなにムスッとして・・・どうしたのさ。」
「別に・・・。」
もしかして・・・。
「ねぇ、アスラン----」
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ユラ、今度遊ばない?
俺たちの部屋で
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そう、シンからメールが来て勿論だと返しておいた。
でも・・そうするには・・・キラにも頼まないと。
そして直ぐに頼むと、ホワイトデーが近いからOKと言われた。
「よしっこれでシンとレイと遊べるっ」
そうして日曜に、シンとレイの部屋に行く。
「じゃまするぞ?」
キラのカツラを外し鞄にしまってインターホンを押した。
「いいよ、開いてるから。」
ガチャンと開き、入ると二人はすでに格ゲーを始めている。
「うわっ酷いじゃないかっ・・最初から参加したかったのに・・・」
「次負けたほうと交換してやるから・・まっててよ。」
そしてシンとレイはそれに没頭する。
「二人とも巧いなぁ・・・」
自慢じゃないがこの中でカガリは一番格闘ゲームが弱い。
「そーいえばさ・・・ユラって・・何年生?俺らの学年にいないって事は・・年下?」
「いや、年上だぞ?」
「「は?」」
-----あ、まずい・そういえば学ランは中学部のか。
「いや、お金なくてさ・・・買い換えられなくて。」
「-----へぇ・・。」
高等部はブレザーだもんなぁ・・。
「じゃあ・・先輩なんですね。」
「おいおい、敬語つかうなよレイ、気持ち悪いから・・タメ語で良いぞ?友達だろ?」
「--------・・友達・・か。」
そしてシンが勝って、シンはスッと立ち上がる。
「ちょっとトイレ。」
「早くしろよっ次私とシンなんだからっ!!」
レイと二人になり、じっと見られる。
「-----・・・?なんだ?どうした?」
「・・・いや、なんでもない。」
そしてレイはパッと画面に顔を向けてしまった。
「なんか、顔についてるのか・・・?」
そう言って顔を触るとレイはプッと笑い出す。
「失礼な奴だなぁー人の顔見て笑うなんて・・・っ」
「いや、失礼。面白い人だと思っただけだ。」
面白い人・・?アスランにもおかしいって言われたんだけどなぁ・・・・。
そうしているとシンが戻ってきてゲームを再開した。
「じゃ、----もう帰るな、人待たせてるんだ。」
「そっか・・じゃあ仕方ないな。」
「気をつけて帰れよ。」
シンはパッとレイを見るが、レイはお構い無しにユラに手を振った。
「あぁ、じゃーなっ」
ドアが閉まってシンはレイを見て、あの時の疑問をぶつける。
「なぁ・・レイ---あの・・ユラってさ・・。」
「----ユラはユラだ。・・・お前はユラが女だったら嫌いになるのか?」
・・・そ、そういう訳じゃ・・。
「別に・・友達・・だし、嫌いには---ならないと思うけど・・。」
「ならいい、友達は友達・男だろうと女だろうと・・・・ユラは友達だ。」
そうスパンと言い切れるレイが少し羨ましい。
元来、シンは女という性が苦手で・・無意識で睨んでいたとまで思ってしまう。
----でも、ユラが・・・女・・だったら・・?
「でも・・ユラが女の子だとしても・・・・そうとう女の子らしくない女の子だよな。」
「そうだな・・。」
ユラが・・・女の子・・か。
そうボンヤリと思いレイを見た。
レイも・・女の子慣れ・・してないよな。
よし、仲間だ・・と勝手に思い再びゲームを始める。
「アースラン、」
そうキラのカツラをかぶってアスランの部屋に行くと、微妙な顔のアスランが出迎えてくれた。
「・・・・?」
でも、上がっては良い様でドアを開いたままアスランは部屋に入ってしまう。
それを追うように入りアスランの向かい側に座った。
「どうしたんだ?アスラン」
まさか・・ホワイトデーのお返しを渡すかどうか戸惑ってるなんて---言えない。
気に入って・・くれるだろうか?--------カガリは。
「カガリは・・ホワイトデー何が欲しい?」
そう聞くとカガリはキョトンとしてから、頭を捻った。
「そうだなぁ・・・、私は・・なんでもいい。相手がくれるなら・・喜んでもらうっ!」
カガリらしい答えに少しガックリとする。それじゃあ・・意味無いだろ・・。
でも・・カガリなら何でも喜んでくれるような気がする。思い切って・・渡してしまおう。
「・・・お返し・・買ったんだが---カガリが気に入ってくれるか----」
「え?買ってくれたのかっ?ありがとうっ」
目の前で嬉しそうにしているカガリに少し頬を染める。
「これ・・。」
そう言って、差し出したのは・・赤いガラス細工の入ったブレスレットだった。
「わぁ、・・・・綺麗だな----ありがとうっ!・・---毎日つけてもいいかっ?」
カガリは初めてパーティー以外の場所でアクセサリーを付けるような気がする。
でも、アスランから・・こんな綺麗なものをもらえるのは嬉しい。
「あぁ----・・そうして欲しいな、俺も」
アスランも嬉しそうに微笑んで、渡してくれてその貰ったものを手首につける。
「・・・っ---出来ないっ」
小さな穴に・・通るはずないじゃないかっ片手が動かせないのに・・。
そう思っているとアスランは笑って、
「ごめん、俺がやるよ。」
そしてすぐに付けてくれて、そのブレスレットを上にあげて見た。
「綺麗・・だなぁ----最近、ホワイトデーのお返しって・・ブレスレット流行ってるのか?キラもブレスレット買ってたぞ?」
キラ・・・-------。
そう、この前・・キラに言われた事があった。
「ねぇ、アスラン・・・カガリに好きって・・言った事あるんだよね。」
「・・・---え、、、カガリが・・言ったのか?」
「うん・・で"アスランとキラとラクスが好きだ"って・・カガリ答えたんだよね?」
「・・・・---何が・・言いたい?」
「-----・・カガリ相当鈍感だから・・もっと積極的にならないと・・振り向かないと思うけど?」
なんで・・カガリの恋人のキラに・・・・・そんな事。
嫌味・・?でもキラは嫌味を言っているようには見えない。
・・・・・何なんだ・・。一体。
そしてカガリは今"キラもブレスレットを買った"と言う。
つまり・・・カガリはホワイトデーに二個目のブレスレットを・・貰ったという事なのだろうか?
----・・気に・・喰わない。
「ありがとうなっアスラン!しかも同じ赤い石どうしで・・・おそろいだっ」
そうカガリはにこやかに笑ってこの間くれた祈り石とおそろいだと喜んでみせる。
・・・・---・・。
「キラは・・どんなの、買ったんだ?」
「キラは・・桃色のガラス細工が付いてたぞ?で、石は・・三つ・・だったかな。アスランがくれたのは五つついてるなっ」
腕を何度も上げて付いている事を確認するようにしているカガリが、愛しい。
-----キラの前でも・・君は同じ事をしていたのだろうか?
「それでな。"アスランとカガリは恋人じゃないの?"って聞かれた」
---------は?
ちょっと待て・・カガリにまで探りを入れているのか・・キラは・・。
「でもな・・恋人ってディアッカとミリィ見たく・・別れちゃう事も・・あるだろう?」
それは・・キラとカガリが破局する事を・・言っているのだろうか・・?
少し元気がなさそうに言うのを見ているとディアッカとミリアリアの事はカガリ自身結構ショックだったらしい。
「・・・だからな、私は---アスランとは・・絶対に・・恋人になりたくないんだ。」
「・・・え?」
だって・・別れたら・・---話せなくなっちゃうんだぞ?
「アスランも・・嫌じゃないか?だって恋人になって・・別れたら、傍に居られないだろ?だったら・・・。」
アスランは呆然としていて話が聞こえていないように思える。
「アスラン?---アスランは・・私を---恋人にしたいと・・考えた事あるか?」
---そんな事。・・ずっと前から・・そうしたいと、願っていた・・のに。
「ない・・」
そう、短く答えた。たった今"恋人にならない"宣言を受けて・・あるというのは少し無謀だし・・カガリも良く思わないと考えたから。
「そうだよなっ!友達だったら・・喧嘩しても直ぐ仲直りできるし・・恋人みたいに険悪になったりしないよなっ」
そう笑っているカガリから目を背けたくなった。
「でもさ・・恋人にならなくても・・ずっと傍にいようなっ!私---アスランが好きだっ、ずっと一緒にいたいっ!!」
----なんで。
平然とした顔で・・・
そんな事。
「・・・---嫌・・なのか?アスラン・・。」
黙っているアスランを見てカガリはシュンとしてしまう。
「・・・・・いや------・・そうだな、カガリの・・傍にいるよ・・俺は。ずっと。」
「本当かっ!」
「----あぁ。」
嬉しそうに・・笑う、カガリが痛い。
泣きたいほど、目の奥が熱い。
そして嬉しそうにしているカガリにギュッと抱きしめられる。
「大好きだっアスラン!」
「俺も・・大好きだよ、カガリ。」
震えそうになった声をなんと震わせずに出した。
そしてギュッとカガリを抱きしめる。
「・・・アスラン?」
「-----・・もう少し・こうしてよう?」
「あぁ、わかった。」
・・・乾くまで。
「・・・・---ユラ・・は」
「どうしたんだ・・レイ?」
「いや・・恋人とか--いたりするのかと。」
「・・・え?」
そう・口に出したレイに少し・・驚く。
「す・・好きになったとか?---さっき・・友達って・・」
「友情から恋愛に発展する事など幾らでもあるだろう・・?」
・・え、嘘だろ・・・。
そう思ったのは・・三人でいるときの空気が微妙になる・・からだろうか?
・・それとも、