第二十一話:恋と友情




「ユラ!こっち。」
「お、いたいたっ」

この頃、レイとシン、それにユラは木曜の放課後は音楽室に溜まるのが日課になっていた。

「ほんといつ聞いても・・レイのピアノは凄いなっ」
「将来・・少しこの道に行く事も・・考えてるんだ。」

そうレイは静かに言って、その音色を堪能するように弾いてみせる。

「凄いな、俺ひけないから・・」
「バイオリンとピアノなら弾けるぞっ」
「嘘だぁ!ユラ絶対弾けなさそうだもん!」
「なんだとぉ!本気になればなんだって・・・」

そしてユラとシンがじゃれあうのをレイは静かに笑いながら見守っている。
「なーに高みの見物してるんだよっ」
そうユラが笑って、レイとシンの首元に腕を回して笑うと、二人からも笑いが零れていた。




「-------・・この頃、カガリ・・・エターナル来る回数減ったな。」
「そうだっけ、うーん・・・言われてみればそうかも。」
前は週二だったのに・・今じゃ週一だ。

「やっぱさ、アスラン-------カガリのことすきでしょ?」
「はっ?!」
「だって・・そんな事いうの今日だけで三度目だもん。」
「そう---だったか・・・?」
言われて見れば・・・それくらい言ってるようなきがする・・・。





「えっ・・・ミリィ・・ディアッカと別れちゃったのかっ?!」
「そーよ、だってアイツ-----・・・ま、喧嘩別れなのよね。」
「まー男はディアッカだけじゃないし・・・ミリィに戻る気がないなら、ソレで良いじゃない?」
「そうですわね、ですが・・ディアッカさんは・・?」
「知らないわよ、あんな奴。」

-----------・・恋って、そんな壊れやすいものなのか・・?

だって---大好きで、ずっと一緒にいたいと思ったから・・恋人になるんだろう?

「いい・・のか?ミリィ・・、ディアッカいい奴だぞ?」
「いい奴って事は----否定しない、けど・・もういいのっ!私とアイツは終わったのよ。」

・・・・----・・?
そんな・・簡単に、終れる仲を恋人って・・・呼ぶのか?

「まー二年目入ると飽きが来るって言うしね〜私もイザークと喧嘩しょっちゅうするけど---まぁ壊れないかなー今は。」
「・・・でもさ、壊れたら・・嫌じゃないか。だって・・相手と険悪な感じになったりしたら・・」
「それも運命よ、運命」
「大丈夫ですわ、ミリアリアはいい人ですから・・運命の人が現れるますわ。きっと。」

-----・・ディアッカ・・大丈夫かなぁ・・。






心配になってエターナルに乗り込み、走りながらあの四人を探していた。
そしていつもいる教室に入る。
「ディアッカーーーーーーーーっ」
「「「「!!」」」」
案の定あの四人組みはいて、叫びながら入ってきたカガリに驚いた顔をする。
「カガリ・・」
そうアスランは立ち上がって近寄ってきてくれた。

「ディアッカ・・ミリィと別れたって・・・---」

そう言って近寄るとディアッカはあからさまに顔をしかめる。
「まーそういう事もあるよな〜、いい想い出にはなりそう・・だしな。」
そう眉を曲げて笑うディアッカが見て痛い。
そう・・簡単に・・壊れる、モノ、なんだ。



「さーてと、帰りますか。」
何時間かして、キラがそう言うと自然とお開きになる。

「ねーカガリ、今日一緒にデパート行かない?」
「おう!いいぞ、アスランは?」

そう聞くとアスランは「俺は良いよ」と言ってスッと帰ってしまった。

「-----・・機嫌・・悪いな、あいつ。」
「うーん、そうだね。」

そして久々にキラと二人になった。

「実はね、ラクスのバレンタインのお返し・・・・考えてたんだけど、ラクスの好きなもの・・カガリなら知ってると思ってさ。」
「おう、任せろっ」

二人でデパートに入り、模索する。

「返すのは何が良いんだ?お菓子系?ぬいぐるみ?」
「どうしよっかなぁ・・。」

色々考えた後、キラは小さな桃色のガラス細工の宝石が付いたブレスレットを選んだ。

「それっいいな、きっとラクスも喜ぶぞっ!」
「ホントっ、よかった〜決まって・・・喜んでくれるといいんだけど・・。」

そう言ってキラがレジに行って帰ってくるのを待っていた。

・・・---・・あれ。

チラッと見えた。・・・今取った。-------万引きした。
そして急いで顔を見ると、この前会ったオールバックの金髪の奴だ。

「お前っ」

そう呼んで走り出し、ガッとポケットをひっくり返そうとする。

「ち・・てめぇ--」
「馬鹿野郎ッ!!何やろうとしてんだ・・ッ」

グッと中にある無数のピアス引きずり出した。
だがガンと肩を押され棚にぶつかる。
「・・っつう・・お前っ!!」

カッと怒りバチンと頬を叩いた。

「何の音だ・・?」

そう言われて覗き込まれる
「ユラっ!!---危ないっ」
グンと誰かに後ろに引っ張られて、倒れる。幸いそいつの拳を喰らわなくて済んだ。
だが、引っ張られた拍子で倒れてしまう。

「わぁっ」
「うわっ」

バッタン。

そしてその後ゴツンと激しい音がして、その場は静かになった。
「--------・大丈夫か、ユラ・シン」
どうやらレイがオルガを殴ったらしく、オルガは頭を抱えている。

「シンっ?!あ、すまない・・折角助けてくれたのに----倒しちゃって。」
「いや・・別に・・大丈夫?」
「おかげさまで」

自分の下敷きになったシンを起き上がらせて、抱きついた。

「っは、離せキモチワルイっ!」
「っありがとうっ!!」

多分、女のカガリが戦ったら・・勝てる相手ではないと思う。
だから、気持ちいっぱい込めて礼をいった。

「レイもっ」

立ち上がりレイも抱きしめると、レイは「無事で何よりだ」と言ってくれた。

「・・お前なぁっ、そんなせこい事するなっ!・・・店員さんだって困るだろっ」

そう言ってオルガを見るとオルガはキッと睨んで走り去ってしまう。

「負け犬ってかんじだな。」

そうシンは鼻で笑った。
「あ、不味い・・・人待たせてるんだっ!じゃあ、ありがとうな、シン・レイ・・・今度また遊ぼうなっ」
そう言ってトイレに行き着替えてからキラの待つレジへと向かった。


「カガリっ・・何処行ってたの?」
「ちょっと着替えてきたっ」
エスカレーターに乗りながら、急にキラは話題を変えて

「そういえばさ・・・カガリとアスラン・・恋人じゃないの?」
「恋人・・・、私と・・アスランが?」

ミリィと・・ディアッカのように・いつ壊れてもおかしくない・・・それが恋人・・?
・・・---でもキラとラクスのように・・永遠に続きそうなのも・・恋人・・だよな?

「恋人って・・何をしたら恋人なんだ?」

唇でキスをしたら?-----・・想いが通じ合えば?

「うーん、アスランとどんな感じ?」
「私は好きだぞ?アスラン、キラもラクスも」
「アスランが・・カガリに好きって言った事は?」
「あるぞ?だから私も好きだって、キラもラクスもみんな好きだっていったぞ?」

「--------・・あぁ、うん。そっか・・・何となく分かったよ。」

そしてキラは溜息を付いて、ポンと頭を撫でられる。

「まーカガリらしいけど・・アスラン・大変だなぁ・・・・これじゃあ。」
「大変?アスランが-----私のせい・・なのか?」
「うーん・・こればっかりは・・・・カガリの責任なのかなぁ、でも性格だもの仕方ないよ。」
「・・・・私性格悪いのか・・・」
「いやっそういう意味じゃなくてね、いいところも沢山あるよっ!!うん!」

・・・・・あぁ、アスラン・・少し同情するよ。
そう思いながらデパートの下まで来る。

「じゃあ、アークエンジェル逆方向だから・・・じゃあね、」
「あぁ・・またなっ」

そうしてエターナルへと帰っていった。






「・・・・・・・・・?」
「どうしたんだ?レイ。」
レイと二人でシルバーアクセサリーを見ていると、一人の人をレイは指差した。

「・・・、え?--------あれって・・。」

ユラ?と・・隣にはエターナルの高等部の制服の人・・・?

「あれは・・アークエンジェルの制服だな。」
「あ・・あぁ・・そうだな。」
ユラの・・そっくりさん・・だよな。

そう思って、何事もなかったようにレイと話を続けた。

































































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あとがき
アスラン出番すくねぇ・・・(笑)
いや、すいません。これから増やしていきますよっ!
ついでにオルガ達も出したいな・・・ディアッカも☆
2006.04.05