冬休みも無事終わり・・また学校生活へと戻っていくこととなる。
カガリは週に二日ほどエターナルに潜り込むのが日課になっていた。
アスラン・キラ・イザーク・ディアッカ・・・・
もうこの四人とカガリは凄い仲良しである。
しかし----その事を知っているのはラクスとその四人だけ。
「近頃・・なんか異名持ちが増えたんだって。」
「へー・・って噂速いわねーフレイ・いつもの事だけど。」
異名もち・・あぁ、かっこいい奴の事か。
「中学部から三人、---白黒少年と静寂の君、・・あと太陽の使い・・だったかな?」
「へー、凄いな〜どんな顔してるんだろうな。」
「噂によるとその太陽の使いはイザークたちと仲が良いらしいわ、---こんど名前聞いておかないと。イザークに」
「・・・あらあら、それはそれは---。」
「ディアッカにもきいてみようかなー。」
「よし、アスランとキラに聞くぞッ!ラクス!!」
「さすがはカガリですわっ」
そうしてラクスはクスクスと笑い出した。
今日はエターナルに寄ろうと思いいつも通りデパートで着替えエターナルに向かう。
そしてアスランたちに会う前に、何となくフェンスに寄った。
「これ・・なくならないかな。」
「----・・なくす必要ない、あったほうが良いに決まってるだろ。」
小さく声を出さしたのに誰かがいてビックリした。
「・・・?誰だお前。」
そこには校舎を背もたれにして寝ている、髪の毛が真っ黒で瞳が真っ赤の人が座っていた。
「---お前こそ誰だよ、」
そう聞かれてとっさに偽名を使う。
「ユラだ・・お前は」
「シン・アスカ-----。」
「何でお前・・フェンスがあったほうが良いんだ?」
「逆に聞きたいね、なんでなくすんだよ。いいじゃんか、女子と別けられて。」
・・・・?
「お前は女子が嫌いなのか?」
「煩いだけじゃん、かっこいーとか何とか騒ぐし、怒ると直ぐに"何様、何なの?"だ・・こりごりだそんなの。」
そう言ってシンは目を逸らした。
「じゃあなんでアークエンジェルに一番近いところにお前が座ってるんだよ?」
「俺は呼び出しされて・・ッ誰が好き好んでこんな所ッ・・・!!」
そう口げんかをしていると、三人組の男が校舎裏に入ってきて、シンを睨んだ。
「なーんだ、お前・・一人で来るのが恐かったのかぁ?」
そうオレンジと赤の中間のような髪の人はそういって、感じ悪いなとカガリは眉を潜めた。
「別にボコル事には変わらないんだ、いいだろう・・クロト。」
黄緑がかった金髪のオールバックの奴は、どうでもいい、早くしろといっていた。
「---そーだよ、今日・・CDの発売日。早く帰りたい、さっさと終わらそう。」
最後の薄緑で少し天然パーマの入った髪の人は無邪気そうな声で言い切ってくる。
「-----・・お前、喧嘩買うために此処にいたのか?」
「売られたんだ、逃げるなんて出来るかよ。」
-----・・馬鹿だな・・・コイツ。
そう思って溜息が出そうになるが-------、3対1なんて・・余りにも卑怯すぎないか?
「・・・お前、どっか行けよ。俺の喧嘩だ。」
--------馬鹿だ。
呆れてものも言えない。まったくこれだから中学生は。
「そ、じゃ・・関係ないから消えるな。」
そういい残して、校舎裏から出る。
「・・・誰か・・助っ人になりそうな奴は・・・。」
そうクルクルと見ていると近くの教室からピアノの音が聞こえてきた。
ひょいっと窓から顔を出して覗くと金髪の長い髪の人がピアノを弾いている。
「・・・おいっお前・・」
「?」
金髪の人は頭に?を浮かべた。
「こっちだ、こっち---あのさ、人助けするきないか?」
「は・・?」
「いい気になってんじゃねーよッ!!!」
喧嘩し出して五分、クロトと呼ばれる人以外は飽きたようでもう好き勝手に本を読んだり、MDを聞いていた。
「一対一で・・負けられるかよッ」
そしてそいつの溝に一撃喰らわせ、そいつは倒れるハメになった。
「ふん・・弱いな。」
そうシンが優越感に浸っていると、もう一人のオールバックの方が立ち上がった。
「---へー俺、強い奴との喧嘩って・・好きなんだよな。」
「----っち」
クソ、二人目かよ・・・・正直今の奴でもしんどいのに。
舌打ちをしてお互い殴りかかろうとした時だった。
「ちょっと待ったーーーーーーーーーーー!!!!!」
そう声が響いて、お互いその発信源を見る。
そこには、さっきの・・ユラ・・だっけか。それとレイが立っていた。
「レイっ----・・?何しに・・」
「知らんがコイツにつれてこられた。」
そしてレイはユラを指した。
「お前・・何余計な事し---」
バンと鞄で顔を殴られる。
「馬鹿野郎っ!!!三対一じゃ卑怯だろうっ!!!」
は?
「俺は・・その為に連れてこられたのか?」
「あぁそうだ、お前もこんな不平等認められないだろ?」
まるでユラは自分がルールだと言い切るようにそう言った。
するとMDを聞いていた奴が立ち上がる。
「いいよ。団体戦でも---クロトはもうダウンしてるけど・・。」
「・・・・止めた。俺。」
そうオールバックの奴は言う。
「何・・?逃げるのオルガ。」
「バーカ、俺はそう言う奴が嫌いなんだよ。目の前に来られるのも嫌なくらいにな。」
「-------・・そ、なら俺も止めた。クロト・・俺CD買ってから帰るから。じゃーな。」
そう言って二人は去ってしまう。
「なーんだあいつ等・折角フェアな勝負が出来る状態になったのに。」
ユラはつまらんと言って、倒れた奴を見た。
「お前・・大丈夫か?---まー一対一で負けたならかっこ悪くないから、またさしで望めよ。」
--------・・・な、、、なんなんだコイツは。
「はー、でレイだっけ・・悪かったな、折角呼んだのに何もなくて。」
「無いほうが俺は嬉しい。」
「な、お前友達が卑怯な喧嘩に巻き込まれてたら・・フツーは・・・」
「友達・・・・シンと?----そこの定義が良く分からない。」
珍しく良く話すレイを見てややビックリする。
コイツ・・寮で同じ部屋の俺には全く話さないのに・・・。
レイとシンはお世辞にも仲が良いとはいえなかった。
お互いにお互いの存在を無視して暮らしていたから・・・・・。
「寂しい事いうなっ!知り合いじゃなくても助けるんだっ!!」
-----・・というかなんでユラは戻ってきたんだ・・まさか・・
「お前、俺が負けるとでも思ったのかっ!!!?」
こう見えてもシンの喧嘩の腕前は学年一である、だから噂を聞きつけてこういう奴が寄ってくるのだ。
「馬鹿っ!怪我したらどうする!!実際相手は怪我してるだろうがっ!!もし骨折でもしたら・・・大問題だぞッ!!?」
ユラに渇を入れられ少しビクッとする。---なんだこの威厳は。
「幸い、こいつは鳩尾に喰らっただけだが---・・それにお前だって。」
そっと腕をとられて、擦りむいた所を見られる。
「見てみろ、血が出てる-----舐めとくぐらいしろよ。」
そう・・なんだか今までの怒りが流されたように優しく言われてビックリして見てしまう。
「---------・・変な奴。」
そうユラが校舎の裏から出て行くときに声を出すと、ユラは振り返り
「お前は馬鹿だ。」
そう少し笑って、ユラは去っていった。
「・・・・・---変な人・・だったな。」
初めて・・?いや多分始めてレイから話しかけられて驚きながらも
「あぁ---変な奴だ。」
初めてレイと意見が合い、お互い顔を見合って笑った。
「俺は帰るけど・・・レイは?」
「ピアノを弾いていたんだが---もう気分じゃないから、俺も帰る。」
「そっか、じゃ・・・帰るか?」
「そうだな、かえるか。」
何となく、今日は一緒に帰ってやってもいいかなとお互いに思った。
「カガリ・・・今日は遅かったな」
「あれ?イザークとディアッカは?」
「今日は二人はデートでさき帰っちゃった。」
「なーんだ、ディアッカに聞きたいことあったのに。」
「なんだ?」
「いやー、異名持ちが増えたって・・フレイが言ってたから・・ディアッカなら誰だか知ってるかもと思って。」
「へー、僕とアスランも情本源がディアッカだからなぁ・・。今度聞こうね」
「あぁッ!」
そして他愛も無い事を三人でぺちゃくちゃと話す。
「ラクスがなバレンタインのチョコ、一緒に作ろうっていってくれたんだっ!二人にもやる予定だから---楽しみにしてろよっ!」
「胃薬必要かな?」
「-----・・真面目になんか混ぜるぞ?」
「嘘嘘、カガリのものは形が悪いだけで実際美味しい事ぐらい知ってるよ。」
「でもなーラクスのと比べられたら・・私分悪いよなぁ・・・・、アスランは見た目悪くても平気か?」
「あぁ--------・・平気だ。」
むしろ不味くても・・カガリが作ったなら。
「でもアスラン---甘いもの苦手だよね?」
「-----・・平気だ、・・多分。」
キラにそう言われて、折角カガリがくれると言うのに・・----正直邪魔しないでほしいと思った。
「よしっ、じゃあ・・頑張って作るからっ!ちゃんと完食しろよっ!」
そして、帰りキラと帰っていると
「なんかさ・カガリってアスランの事---好きだよね。」
「え・・・・。」
・・・・キラ・・?
「って、感じしない?」
「そ、そうか・・・?」
何で----お前から・・そんな事。
「何だ、両想いだと思ってたのに。」
・・・・・えぇ!
「キラ・・お前・・。」
「ん?あ、でも僕の勘違いならいいんだ。」
いつの間に・・お前はそんなに懐が大きくなったんだ・・?
「そっかー思い違いか良かった。親友といえど・・カガリを攫っていかれるのは・・やっぱり尺だから。」
「-----・・そ、そんな事」
「あはは、しないって。だから僕の思い違いならそれで良いって。」
親友は笑ってそっかそっかと口に出した。
・・・・・・・----・・やっぱり、付き合ってるんだよな・・。
「もし・・好きだといったら・・どうするつもりだったんだ・・?」
「どうって---どうにも出来ないじゃない?想いあってるのに邪魔するのって---最悪でしょ?まそりゃ怒るけど。」
・・・・・、、、、つまり・・俺は最悪って事か・・・。
「なんでそんな事・・聞くの?」
「いや----別に、なんとなく、だ。」
駄目だ----キラとは器が違う・・・。
そして深く溜息が出た。
・・・・でも・最悪でも・・・・---。
少しずつ・・ではあるが、カガリの気持ちは俺に傾いてきている・・と思いたい。
・・-----・・ゴメン・・ごめんなキラ。
そう何度も心の中で謝り、それでもカガリは諦めないと誓った。