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よっ、カガリだ!
なんだか良く分からないがラクスがメアド教えてくれたぞっ!
そうだバスローブちゃんと届いたか?
じゃーな、あ・・ラクスの事大切にしろよ!
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---------嬉しい・・嬉しいのに---切ないな。
"ラクスの事"
-------か・・。
「え・・・話、保留にしちゃったのか?」
「えぇ・・・---やはりこの歳で婚約は早いと思いますのよ。」
「アスラン・・いい奴だと思うぞ?」
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バスローブ・・ちゃんと届いたぞ。
ラクスとの事は親が関係してて難しいが
まぁ・・・いい子だよな。
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----なんだか・・アスラン、可哀相だなぁ・・。
「どうかいたしましたの?カガリ・・・」
「い・・いや!なんでもない気にするな」
・・・ラクスと・・アスラン---私はお似合いのカップルだと思うんだけどなぁ・・。
--------・・・。
「よしッ」
バンと机を叩き大声を出す。
「えぇっ!!フレイもついに付き合い出しちゃったのか!!」
「ついにってなによ、ついにって・・・。」
そう普段どおりを装っていても、フレイの周りからは幸せオーラが出ていた。
----皆・・そうなっちゃうのかよ・・・。
「あら、カガリ・・・カガリの事を思ってくれている人も・・直ぐ傍にいらっしゃると思いますわよ?」
「そーよ、カガリその天然さを売りにしなさいよ!」
天然・・・?
「カガリって、凄くもてそうなのにねー、逆に彼氏がいないのが不思議。」
「そうか?----だって、私・・皆みたく女らしく無いぞ?」
二階から飛び降りるし・・・敬語は苦手だし、
「それに・・付き合うのって、どんなかんじかイマイチ分かんないんだよなー。」
キラとは付き合ってはいたけど・・頬にキスとか、別に普通の事しかしたことがない。
「きっと・・相手が教えてくれますわ。」
「へ?」
「そーそ、愛は育むもんなのよ!」
「フレイ・・そのセリフすっごく似合わない。」
「煩いわねミリィ!!」
「ふーん。」
皆・・凄いな。
マリュー先生が出欠を取り出し、窓際の席に戻ってから外を見る。
-------エターナル。
・・・・明日・・・作戦、実行に移すかな。
そんな事をぼんやりと思いながら、黒板に向き直った。
「アスラン、キラっ知ってるか?イザーク、フレイと本格的に付き合い始めたんだってよ!!」
「!!」
「へ〜おめでとう」
「き・・貴様・・・・・それは言うなとアレだけ・・・・」
「いいじゃんかよ、別に」
「良くないわっこの馬鹿者!!!!!!!」
イザークが少し頬を染めてディアッカに飛び掛り、ディアッカは必死にその手から逃れようとしていた。
「で?キラと・・アスラン婚約者とは?」
「僕?僕はちょっと障害はあるけど・・・一応両思いだよ。」
・・・・・----カガリの事、だよな。
「俺は・・・前途多難だな。」
「え?あのピンクの子と?」
「あの子とは・・・今は距離を取ることになっている。」
・・・・・俺を・・選んではくれないだろうか?
--------だが、キラのよさを知っている以上・・何ともいえない。
放課後、キラが補習で残るらしいのでフラリと校庭に出る。
「貴様、まだ帰らんのか?」
「キラが残りだからな、それが終わったら帰るよ。」
「キラもやれば出来るのに・・よくあそこまで手抜けるよな〜」
そう適当に会話して、イザークとディアッカは去って行く。
ドンッ
校門の目の前まで来て、イザークとディアッカは誰かにぶつかった。
「あ、悪い!!」
そいつは学ランを着ていてこの学校の中学生だと判明する。
「貴様ぁ!先輩にぶつかったら、スイマセンだろうがっ!!!!」
そう怒鳴るとそいつはへそを曲げたように顔を膨らませて怒鳴り返された。
「なんだお前っ謝っただろう!!先輩って・・お前何年生だよ!!」
そういわれるとディアッカも黙ってはいない。
「なんだと中坊・・・、俺たちは高一!口の使い方ぐらい覚えろ!」
ガンと肩を押すと、ディアッカは少し違和感を感じて目を開いた。
「っつぅ・・・高一!フン!!同学年じゃないか!!」
同学年?そう二人の頭に過ぎる。
だって、どう見たって小さい身長・・それに学ランだし-------。
金髪で長髪を後ろで一本に束ねて・・目は少年のように強く光っている。
「貴様・・寝言は寝て言え!」
「なんだと!!!」
イザークは胸倉を掴みそいつを少しだけだが宙へと持ち上げた。
「おいおい・・さすがに止めとけイザーク!」
--------・・イザーク?
「・・・・。お前、イザークか?」
「だったら、なんだ?」
そいつはその名前を聞いて、イザークを凝視したあと、ディアッカを凝視する。
「----ッ!じゃあ、お前らがフレイとミリィの恋人か!?」
ブッ
そういわれてイザークが噴出し、唾がそいつに当たってそいつは眉を曲げる。
「お前・・何?ミリィとどういう関係?」
事と次第によってはただではおけない。
ただでさえ、交流が少ない学校同士で・・・自分の彼女の名前を口に出されては。
「どうって・・・友達だッ」
そう言いきり、まだ掴んでいたイザークの手を解き学ランを整える。
「じゃあ、お前ら良い奴だよな?アスランとキラって知ってるか?何処にいるか・・探してるんだ。」
「「・・・・は?」」
場所を知っていると答えると半ば強制的に連れて行かれるように言われる。
「何で俺が・・見知らぬ中学生の為に・・・・」
「だーかーらっ!高校生!!」
「もう付くぞ、ほら・・・・・アスランだ。」
そういってイザークがアスランを指すと、そいつは目を輝かせた。
「・・・・あのさ、お前って・・・・。」
ディアッカは確認するように後ろからそいつの胸に手を伸ばした。
ムニッ
「「「・・・・・・・・え」」」
ちょうど向き直ったアスランと、そいつと・・その隣に立っていたイザークは目を見開いた。
「・・・ある・・よな?」
ムニ・・。
そしてもう後ろからもう一度もまれる。
「か・・かがり?」
「な・・な・・なななッ・・・・何するんだ馬鹿野郎ッッッ!!!!!!!!!」
そう黄色い声がエターナル中に響いて、生徒は一瞬その発信源を見つめた。
アスランは急いでカガリを担いで、誰もいない美術室に入りイザークとディアッカもそれを追うように入る。
「な・・なんで君がこんな所にッ!!」
そう、叫んだのは良いが・・目の前には顔を真っ赤にしてなみだ目で・・・胸を押さえているカガリがいた。
「やっぱり・・・女だよな?」
ディアッカはその感触を確かめるように手を動かす。
「女ぁ?コイツがか?」
イザークは納得できないとカガリを覗き込むと、カガリはさっきの驚きでかポロポロと泣き出す。
「うわぁッ悪かったってっ・・・」
ディアッカはビックリして謝ると、カガリはキッと睨んでからアスランに飛びついた。
「カガリ-------・・・。」
「ほ・・本当に女なのか?!」
イザークはまだ信じられんと声をあげるが、アスランの首に腕を絡めて泣いている姿はどう見ても女の子にしか見えない。
「驚いたんだよな・・大丈夫、ディアッカもイザークもいい奴だから。」
そう言って頭を撫でるとカガリは落ち着いて顔を上げた。
「・・・ごめん。」
カガリはそう申し訳なさそうに顔を上げて謝ってからディアッカを見る。
「お前も・・ゴメンな。ちょっとびっくりして・・・。」
涙を拭ってカガリは呼吸を整えた。
「・・・と、言うか・・・・なんで女子が此処にいるんだ?」
「だよな・・ここ男子校だし。」
「キラに・・逢いに来たんだろう?」
その問いに答えたのはカガリでなくアスランだった。
「キラに?またなんで?」
「カガリは・・キラの恋人だからな。」
そういうとカガリは首を横に振った。
「私は・・アスランに逢いに来たんだ!キラの所ならアスランがいると思って・・・。」
・・・、
・・・・・え?
------俺に?
恋人の・・キラじゃなくて?
「というか、どうやって制服を・・・」
「キラのお下がりだっ」
その答えにイザークは額を押さえてみせる。
「そうだっ!!フレイがイザークと正式に付き合うことになったって喜んでたから・・・・大事にしろよ!いい奴だぞ!」
そう言うとイザークの頬は急に真っ赤になった。
「う・・煩いわっ!!・・・俺の前では嬉しそうな顔一つしないくせにっ!!」
そしてイザークはそっぽを向いてしまう。
「熱いね〜夏も終わるってのに。」
「煩いッ」
そんな会話を他所に、カガリから俺に何を言いに来たのだろうと考えていた。
・・・態々・・・こうやって足を運んでくれた。
俺のために。
内容はどうであれ、その事実が嬉しくて堪らない。
「で・・カガリは・・・・何を言いに来たんだ?」
「えっと・・その。」
カガリは横目でイザークとディアッカを見た。それに気が付き二人は教室から出て行く。
夕暮れの教室に二人っきり。なんともロマンチックなシチュエーションだと息を呑んだ。
「あのな・・・、私は・・・。」
-------・・・私は・・?
その続きが聞きたい。
「・・・ラクスとお前の事、応援してるぞ!!!」
--------------・・・は?
「え・・は、い?どういう事だ?」
何で・・そんな事
「だって・・ラクスと距離置くことになっちゃったんだろう?・・お前はラクスが好きなのに・・・。」
"ラクスとの事は親が関係してて難しいが、まぁ・・・いい子だよな。"
--・・・・そーいう意味で・・取られてしまったのか・・?
「でな・・お前凹んでるんじゃないかと思って・・・励ましに来たッ」
---・・・・・・・何だか・・泣きたい気分だ。
「私は・・お前もラクスも大好きだっ!だから二人にはうまくいってほしい!!」
「そう・か・・・。」
"内容はどうであれ、その事実が嬉しくて堪らない。"・・・これを前言撤回する勢いだ・・。
「今・・ラクス、気になる奴がいるんだって---・・、お前・・それでいいのか?」
いいって・・別に・・。
俺が好きなのは・・君だ。だから・・何の問題も無い。
だが、カガリは勘違いしたまま見あげてくる。
「相談事が・・あれば、聞くからなっ!---私でよければだが・・。」
そう必至で言ってくるカガリに"勘違いだ"なんて言える筈もなく、結局頷きとおすはめになった。
でもずっと必死に俺の心配をしてくれていた事には変わらないかと、溜息を付きカガリを校門まで誘導する。
「じゃあ・・な、キラには会わなくて良かったのか?」
「別に・・つい最近までずっと同じ部屋にいたしな。」
----・・そういえば・・電話をかけた夜も・・キラの部屋にカガリはいたのか。
・・・そう・・だったな。
「じゃあな、アスラン・・お前も溜め込む前に相談しろよっ」
「分かった。」
・・・・・・そう、なんだよな。やっぱり・・・。
カガリはキラの恋人で・・・・
俺はその大切な恋人の友達だから・・・・大切にされるだけ。
----・・やっぱり、悲しいな。
そしてキラを待ち、・・少し劣等感を抱きながら寮へと帰っていった。