-------・・あんなに望んでいた再会が・・
こんなカタチで訪れるなんて。
「ったくー、アスランもカガリのバイト先知ってたならなんで僕に・・・」
「----そんなこと言われたって・・俺はユラがカガリだって事、今知ったんだぞ?」
・・・・・・・お前の恋人だって事も・・。
「キラとアスランは本当に仲が良いのですわね」
「私とラクス並だなっ」
そう後ろから声がするのは間違いなくユラ・・カガリだ。
「で?何見るんだ?」
「そーだなー・・恋愛モノ・・アクション・・感動・・ホラー-------どれがいい?ラクス、カガリ」
レディーファーストとキラはラクスとカガリに意見を求める。
「私は・・・アクションッ、かっこいいよな!!」
「----私は・・恋愛か感動モノが良いですわ?キラは?」
「僕は・・恋愛かなー折角女の子と来てるし、アスランは?」
「---------・・なんでもいい、俺は」
・・・・・ユラの隣に座りたい。・・・でも、キラの恋人・・だもんな。
そんなこんなでアクションモノと恋愛モノを見ることになってしまう。
「二本も見るのか?」
「あら?お嫌ですの?」
「いえ・・・、そういうわけでは。」
キラとカガリはアクションモノが大好きらしく二人でパンフレットまで買って盛り上がっている。
「席が2:2でしか取れなかったんだ・・じゃあやっぱりアスランとラクスは一緒に見たいよな」
そうカガリが言い、アクションものをラクスと見る事になってしまう。
「あらあら・・アスランほら・・あそこのお二人見てくださいな。」
そう言われて最前席を見るとキラとカガリはギャーギャー騒いでいるように見えた。
・・・・本当に仲がいいんだな。
「仲良しですわよね、あの二人・・まるで姉弟みたいですわ。」
「そう・・ですね。」
アクション映画は嫌いではないが・・・金を払ってまで見る必要があるかと聞かれれば非常に謎だった。
----キラとカガリは・・そうは思っていないだろうケド。
「-------アスラン・・気分が優れませんの?」
「いえ・・ただ、ちょっと。」
なんだか・・今日の彼は、アスランらしくないですのね。
・・・今日、いや・・前のキャンセル、あれだって紳士的なアスランからは考えにくいわけですが・・・
「---------・・・。」
「キラッあの時のアイツのパンチ凄かったよな!!」
「その後のキックも相当だねッ!」
そう話しているとアスランとラクスに合流する。
「ちゃんと見てたかッ!!凄かったぞ!」
「そうですわね、みなさんかっこよくて・・。」
「次は・・恋愛モノだね-----どうやってみる?僕・・恋愛モノをアスランと見るのはゴメンだな〜。」
「俺だって願い下げだ。」
そう会話しているとラクスは
「でしたら・・次は私とキラ、アスランはカガリと・・・・で、どうですか?」
「え・・。」
カガリと・・
「僕は賛成ッ、アスランちょっとラクス借りるね。」
そう言ってラクスとキラは足早に映画館へと入っていく。
「じゃあアスラン、一緒に見ようッ」
そう、差し伸べられる手は使用人のときと変わらないのに・・。
「・・・?」
----------・・遠い。
そんな・・気がする。
席に座り買ったコーヒーを飲みながらカガリを見ると、ニッコリと笑ってくれる。
「私・・恋愛モノ苦手なんだよな〜・・っていうか見てると赤くなるから・・見たくない。」
そう唇を尖らせて、俯いてしまうカガリが可愛くて・・
「俺も・・苦手・・---でも、まぁ楽しみが出来たからいいか。」
「楽しみ?」
「-----カガリが顔赤くしたら、思いっきりからかって遊ぶ。」
そうふざけて笑うとカガリは更に唇を尖らせてしまう。
「今日のお前・・少し意地悪だなッ」
そうフイッと横に顔を振られて少し悲しくなった。
「・・・。」
「・・・。」
ブーッとなり場内がくらくなって十分程度の予告が始まる。
なんだか、さっきからの沈黙が痛いと思いながら・・少し横目でカガリを見た。
そして目が合う。
「---・・ごめんな、怒らせて」
そう言って前に向き直る。
---ただ、キラとの仲を・・嫉妬しただけ。
それでカガリに当たっては・・ただの馬鹿だ。
「----もう怒って無いぞ。・・ちょっと考えてただけ。」
そして一拍置き、カガリは口を開いた。
「・・お前とラクスが婚約者だったなんて・・・・ちょっと驚きだ。」
--------・・俺だって、キラの恋人が君だったなんて・・驚きより悲しみを感じる。
しかも・・あんなに仲が良いんじゃ・・どうしようもないじゃないか。
映画が始まり暫くすると、カガリの頭がコテンとアスランのほうに倒れてきた。
「・・・---っ・・。」
あの、女の子らしい甘い匂い、それに痺れるこの感じ。
アスランは堪らなくなって、自分の頬をカガリの頭につける。
-----まるで恋人同士だな。
だが、当のカガリは寝ているだけ。
スースーと恋愛映画には興味が無いと言い切るように。
「カガリ・・。」
小さな手に自分の手そっと重ね、優しく握った。
「ん・・?」
どうやら、少し起こしてしまったようなので急いで寝たふりをしてしまう。
「・・・アスラン」
そう、自分の下からカガリの声がしてその後擦り寄うように頭を動かす。
そしてまたスースーと寝息が聞こえだした。
・・-------・・この、殺人的な可愛さに・・気が付いているのだろうか・・カガリ自身。
いや・・絶対に気が付いているわけが無い。
大きく溜息を付き、本格的に寝出してしまう。
鼻をくすぐる懐かしいカガリの匂いに酷く安心感を覚えながら。
目を覚ますと、丁度スタッフロールが流れ出したところだったカガリは少し頭を動かす。
「あ・・。」
アスラン・・起こしちゃう。
「ん---・・・」
「起こしちゃったみたいだな、ゴメン。」
そう言うとアスランはまた頭の上に頬を置いた。
「・・・ううん、いいよ。」
・・・・きっと---今あの顔をしてる。
私の大好きな・・優しい顔をしてる。
見あげようとしても、頭が固定されて見上げられず少し悔しい。
「・・嫌か・・・?こうしてるの」
「アスランの・・顔がみたかっただけだ。」
「----後で・・、今は---こうしてたいな、俺は。」
「うん。」
いつの間にか握り合っていた手、更に指を絡めた。
「・・・?カガリ」
「寒い・・・ここ」
そう言うとアスランもぎゅっと指に力を入れてくれる。
トクンと心臓が鳴った。
-------アスランのこういう心遣い・・好きだ。
そして腕をギュッと引き寄せてもう一つの手で腕にしがみつく。
「あったかいな、アスラン」
ザラ家だって相当冷房が効いていて寒かったけど・・アスランがいたから大丈夫だった。
「・・・-----ッ・。」
胸に・・腕が押し付けられてる。
それに、カガリの細い指が二の腕にしがみついていて・・・・。
腕だけ別世界みたいに温かい。
「・・・カガリ。」
少し困る。こんなこと・・されればされるほど愛しさは募る。
---逢えなくたって・・愛しいのに。
「何だアスラン?」
上を向いて、顔が近づけば・・・----キスだってしたい。
「アスラン?」
----------駄目だ。
俺は・・ラクスの----婚約者。カガリもそれを知っている。
ちゅ
柔らかな感触が頬に戻る。
「・・・・かが・・り?」
「お前また・・悲しそうな顔した。」
---------・・・だって・・
「---そうか?」
君が愛しいから。
「え・・アスランが?」
「----・・恐らくですが・・私より、カガリの事を好きに見えますの。」
「そう・・かなぁ?」
-----僕としては・・チャンスだけど・・とすれば、カガリはアスランに取られる・・それはそれで納得いかない。
「・・・悲しいですが・・カガリが愛しい気持ちは理解出来ますわ。」
そう言ってラクスは溜息を付く。
「ですが、それならそうと・・仰っていただければよろしいのに。」
確かに・・でも・・・・まぁアスランの性格を考えればカガリに引かれるのも分かる。
「アスラン・・あんまり男女関係分からない人だからなぁ・・・。」
そう言うと、ラクスはにこりと笑い
「----私から、"今はお互い考えましょう"と提案してみますわ。」
「え・・いいの?ラクスは・・それで」
「えぇ----・・お互い、やはり少し"運命の人"を考える機会だと思いますのよ。」
そう言ってラクスは少し微笑んで見せた。
--------僕・・脈ありかな?
「ねぇラクス」
「はい?」
いいかな?キスして
ちゅっと頬にキスをする。暗い映画館・・丁度良かった。
「・・ありがとうございますわ」
そしてラクスからも頬に優しくキスをされた。
「---・・ありがとう」
そうしてお互い微笑みあった。
家に帰ると直ぐに携帯にメールが届いた。
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お互い考える事が必要だと思いますの。
ですから、・・・今は距離を取りたいと思いますの?
アスランはどう思いますか?
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----・・やっぱり、態度でばれてたか。
映画館での態度でばれたんだろう、俺がカガリのことが好きだと。
・・・・、こうラクスから言ってくれるのはありがたいが・・・
それだけ、傷つけては無いだろうかと心配になる。
--------・・カガリしか、見てなかったのに、、、・・・言えることじゃないか。
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すいません、
少し距離を取らせていただきます。
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そう返信をしベットに横になる。
-----すいません、ラクス。
・・・・
カガリが好きでも・・・・カガリがキラを好きでは・・どうしようもない事。
----理解はしている。
でも、今ラクスの隣には立てない。ラクスだって・・望んでいない。
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距離を置くことになりましたわ。
アスランが気を使いすぎて疲れないといいのですが・・・。
キラからもフォローしていただけますでしょうか?
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-----あーあ、確かに今・・ベットでグタッとなってるけど・・・。
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それなら、カガリの方が適任じゃない?
アスランのアドレス・・ラクスから教えてあげてよ。
きっとカガリからメール来たら・・アスラン飛び起きると思うから。
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そう返信を打って、アスランが飛び起きるまでにかかった時間は約三分だった。