第四章:サマーバケイション

その後なんとか熱も下がり、いよいよ夏休みが始まった。
かといって別に何をする訳でもなく、三日に一回は学校に行き文化祭などの話し合いをしていた。
男子生徒会との話は通ったらしく内容は当日以外楽な喫茶店で決まった。
「先輩、この服可愛くないですか?」
「セクシーさに欠けるじゃないの」
「文化祭なんだからもっと学生らしいのを・・・」
そう、喫茶店の衣装選びをしているのだった。
しかもいつもの会議とは打って変わり、皆の目は真剣そのもの。
「私はこちらのがいいですわ」
ラクスも参加しだし、みんなでぎゃあぎゃあ騒ぐ始末。
「男子がどんな格好するかによって変わってこないか?」
最もな意見である。
「いいじゃない、私たちが決めてあっちが合わせればいいのよ」
フレイらしい意見だとおもい、それもそうかとも思う。
「私達よりさきにあちらがお決めになられましたら、そういたしましょうか。」
一同これに合意した。
大体、制服以外スカートを全く履かない自分としては皆が選ぶスカートよりズボンの方が・・・
と 言いたいのだが皆が承諾するはずもないので控えておいた。
コンコンと礼儀正しくノックが聞こえる。
「男子生徒会の者ですが・・・」
そういわれ、ドウゾと返事をした。
ドアが開くと可愛らしい薄緑色の髪をした男の子が立っていた。
「あら、ニコルではありませんか、お久しぶりですわ」
ラクスがニッコリ笑い中に通す。
「すいません、この前決まった喫茶店の話なんですが・・・」
椅子に座っていいか確認をして彼は席に着く。
「ニコル先輩ってショタコンだと思いません?」
そうルナから耳元で囁かれ、「何だ?それ?」と聞き返す。
色々話しているうちにしっかりした奴だなと思い始める。
歳こそ一才下だが、発言は大人びていて言葉使いも良い。
「で、次に服の話なんですが・・・」
それを聞き、みな目を光らせる。
「生徒会長の母上がデザイナーをやってるんです。その方にお願いしたいと思いまして」
フレイの目の輝きが増す。
「デザイナー?へぇ、どの会社?」
そしてカガリには良く分からない名前があがるとフレイはまた目を輝かせた。
「その会社なら私も知っておりますわ」
ラクスも少し嬉しそうだった。
「そこの社長なんです、それで今年は女性も沢山いると告げたら、デザインさせてくれとお話を頂きました。」
ルナは願っても無い様子で
「それで是非お願いします!!」
と会長の意見を無視して言われてしまった。
そしてニコルは失礼しますと部屋から出て行った。

そして服をデザインしてもらうと言うのは身体測定をしなければならず、
一応測ったのは渡したのだが、イメージを掴みたいということなので
生徒会長の家に全員で押しかけるハメになってしまった。
「家大きいわね・・・(うちより少し)」
「えぇ、そうですわね(うちには少し負けますが)」
「ビップって感じね」
「私の家とは比べ物になりませんよ」
「立派な家だ」(←自分の家の大きさ的には遠く及ばない)
ガチャっと開くと綺麗な銀髪でブルーの瞳の美しい女性が姿を現した。
「こちらにいらして、ようこそジュール家へ」
ジュール家・・・そういえばお父様のパーティーに出席していたような気がした。
「イザークは今日は留守ですの、申し訳ありませんね」
綺麗なお母さんは紅茶をよそりながら言う。
「いえ、こんな大人数で押しかけて申し訳ない。」
その態度を見て直ぐにピンときたらしいその母親は
「貴女、アスハさん?ですね」
「はい、そうです」
そして皆順々に挨拶をする。
「あら、どなたの親御さんとも私あったことがあるみたい」
ニッコリ笑い一人一人の顔を見る。
「服のジャンル的にはドレスになりそうよ、男の子は正装のカッコイイ感じで」
といい少しデッサンを書き出した。
「凄い!」
ルナがそういうのも無理は無い。
その返答に少し嬉しくなったのか、ニッコリと笑ってくれた。

夏も終わりに近づいてくると、キラとラクスと海に行くという話をしていたので思いっきり海で遊ぶ事にした。
「本当はアスランも誘いたかったんだけど・・・忙しいからパスだってさ」
「そうですの、残念ですわ」
アスラン、そういえばまだ顔見た事ないなと思いつつ、どっかで聞いた名前だと思うが思い出せない。
そして海に着くと、凄い人だかりだったがとても楽しんでいた。
元から運動神経が高い三人なのでとにかく泳ぎまくったり、ボールで遊んだりと楽しんでいた。
「じゃあ僕、買い物行ってくるよ何食べたい?」
「あら、ではお言葉に甘えまして・・・そうですね、アイスクリームがいいですわ」
「キラ、悪いな・・・私はイチゴのカキ氷シロップ付きで!」
日陰でキラの帰りを待っていると、どうしてもラクスに聞いておかねばならないと思う事があった。
「なぁ、キラとラクスって付き合ってるよな?」
これは前々から思っていた事で、全然構わないのだが
「はい、ご存知ありませんでした?」
ラクスは不思議そうな顔をする。
「いや、私が二人の邪魔になってるんじゃないかと思ってさ・・・。」
二人が付き合うのは構わない、しかしそしたら私は邪魔ではないか?
それに、何か置いてきぼりを喰らったようで寂しかった。
「そんな事ありませんわ、キラも私もカガリが大好きですもの」
そうしてラクスはカガリの頭を撫でる。
「お互い恋人は大切ですわ、しかし、妹もお友達もとても大切ですのよ」
ラクスがニッコリ笑って見せてくれて安心する。
「あれ〜そこの子たち〜男いないの〜」
そうどこぞの馬の骨に話しかけられ上を見上げる。
「ビンゴ!二人とも可愛くない?俺達と遊ぼうよ」
相手も二人組らしくナンパと言うのか、とにかく話しかけられた。
「・・・悪いが知り合い待ちなんでな。他あたってくれ」
そういうとムッとしたのか、
「いいじゃんーその人が戻ってくるまでで良いから」
「私達に声をかけるなんて・・・後で痛い目見ますわよ?」
ラクスがニッコリ微笑んだ。
「僕の連れに何してるの?」
キラがドス黒く笑ってそいつらを睨む。
体格的には遥かにキラのほうが小さいのだが威厳はそうとう勝っていた。
「な、なんだコイツ、コレでもナイト気取りか?」
そう言われキラは食べ物を自分とラクスに渡すと、完璧喧嘩モードに入る。
「言っておくけど、手抜かないからね?」
そう、キラがこの学校に入れたのは親が金持ちだからではない。
人より秀でた才能を持っていたからだった。
その秀でた才能は、ほぼ全てにおいて完璧というとても凄いものだった。
三秒後。
電光石火の如くそれは終わっていて、さっきの男達が地面にひれ伏せていた。
「悪いね、僕強いんだ。」
彼は自分が興味を持ったり、大切なものを守ったりするときはとてつもなくその才能を発揮させる。
そして振り返り自分達の方に歩いてきた。
「僕がいなかったばっかりに、ごめんね」
そういって場所を変えて買ってきたものを食べる。
キラと自分は血の繋がった兄妹なのだが、自分とは全く違うキラを羨ましく思った。
「さすがキラですわ、助かりました」
「いや、相手全然弱かったよ。たぶんラクスとカガリでも勝てたんじゃないかな?」
そういいキラはトウモロコシを食べていた。
「そうだなー一発殴ってやりたかった」
イチゴのカキ氷はやっぱり美味しかった。
そしてもう夏休みが終わり、本格的に文化祭準備と文化祭が始まろうとしていた。




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あとがき
キララク中心で書いてみました・・。
神降臨ですネ。