「アスランと・・カガリ・・うまくいっていると良いですわね」
隣の恋人は不安げな顔で頬に手を当てた。
「アスラン、やる時はやる男だから・・・大丈夫だよ。」
「カガリが・・・傷つきすぎて、ちゃんと癒えてくださるか心配です。」
そうゆうラクスを覗き込み微笑んだ。
「カガリは・・超えたぶんだけ、強くなるから。カガリもそれを知ってるし・・大丈夫。」
そうして肩を抱くとやっと普段の笑みに戻ったラクスが見えた。
ジタバタするカガリを押さえつけ、何度も馬鹿見たく「愛してる」と声に出した。
その声を聞くたび、カガリの抵抗は少なからず収まっていく。
「わ・・私は・・・・っ」
嬉しい。
アスランが"愛してる"と口に出してくれるたび嬉しくて堪らない。
でも・・
「なんで-------なんでか分からないんだっ!!!」
汚くても・・愛してる?---------都合がよすぎるセリフ。
・・・そんな言葉を受ける資格すら、ない。
でも・・そのはずなのに。
-------メイリンを好きでなかった事に物凄い・・安堵感を覚えた。
私を愛してると言ってくれて・・・・・。
嬉しい、・・・・・・・私もアスランが好きだ。
でも、、でも・・・でも!!!
「分からないなら・・俺が教える。-----長い時間がかかっても。」
「え・・・。」
「・・・カガリは・・どれだけ俺が君の事を大事に思ってるか・・分からないというなら。」
「違うッ・・私が分からないのは・・・」
--------なんで好きでいてくれているんだ?・・・・こんな私を
瞳にまた涙が溢れる。
駄目だ・・・。泣いてしまう----アスランの優しい顔を見たら・・・泣いてしまう。
「カガリは・・俺のこと嫌いになったのか?」
「----------そんな事ッ」
「じゃあ・・・好きでいてくれてる?」
----ッ。
一瞬カガリは口を開いて、直ぐに閉じ瞬きをして新しい涙が頬を伝った。
そして俯く。
そして顔を抑えて泣き出した。
「嫌い?」
そう聞くとカガリは金髪を横に振った。
「好き?」
カガリはうんともすんとも言わず金髪も動かない。
・・・けど、その代わり小さく声がした。
「アスラン・・・・」
まるで助けを請うような声に手を差し伸べるようなキスを髪に落とした。
「愛してる・・ずっと-----ずっと・・・」
だから・・・一人でもう無理はしないでくれ
「あ・・ぁ、、、---アスランっ」
ガバッと抱きつかれて胸の中でカガリは大声で泣いた。
「ゴメン・・ごめんなっ-----・・でも・・私・・好きなんだっ・・アスランが---私、、こんなっ・・あんな事・・・・したのに・・でもっ」
涙を流しながら必死に上を向いて、視線を合わせて---カガリは溜め込んできたものを懺悔した。
「愛して・・・本当に・・愛してくれるか・・・こんな---私を・・っ!!」
---------・・馬鹿だな・・カガリは
「愛してる」
世界で誰よりも
-------俺はカガリを愛してるよ。
その言葉にカガリはまた大粒の涙を流した。
胸板に顔を押し付けて、それを包み込むように抱きしめる。
「あ・・あり・・がとう・・・---アスランっ」
グッと力を入れて抱きしめて、背中をさすってやるとしばらくしてカガリは安心したように涙を止めた。
「カガリ・・・・?」
・・・?
胸元からスースーと声が聞こえる。
「泣きつかれたなよな・・・・、それに---沢山・・思い悩みすぎたんだ。・・カガリは」
一年も・・そんな心でいて・・良く持ったものだ。
俺に対しての・・今の懺悔の念を一年間も・・---ずっと心の中にしまっていたのだから。
お姫様抱っこをして頬にキスをした。
「---ちゃんと・・守るよ」
・・・君が・・・・泣かなくてもすむように。
-------俺が・・支えるから。
頼って・・俺を。
そうしてその自分だけの姫を抱き保健室に向かう。
途中、沢山の生徒に騒がれたが---そんな事どうだっていい。
・・・-------・・カガリ。
保健室の戸を足で開け、ベットにカガリを寝かせた。
柔らかい唇にキスをして・・髪を撫でて・・瞼にもキスをする。
「疲れたな・・・もう、大丈夫だ。」
そう話しかけて、カガリが起きるのを待った。
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「・・・あす・・らん?」
一時間後、目を覚ましたカガリは小さく名前を呼んでくれる。
「大丈夫か?」
疲れたように身体を起こして、腫れた目を擦ってからコクンと頷く。
「----・・大丈夫だ。----ありがとう。」
その笑みに安心する。-----もう、大丈夫。
そう顔が言ってくれているように思えた。
「アスラン・・。」
「なんだ?」
「---------・・・・何でも・・ない。」
少し俯かれて、まだ何か黙っているのかと不安になるが・・・---今のカガリなら大丈夫だと思えた。
「・・・こんど、な・・ちゃんと言う。」
「分かった。」
そして微笑んでからお互い目を瞑り唇を重ねた。
お互いの冷えた唇を暖めるように、何度も角度を変えて重ねて・・・
そしてどちらからともなく離す。
「帰るか。」
「あぁ」
何ヶ月ぶりかに手と手を取って歩いた。
・・・冬の道が、暖かく感じたのは・・きっと隣にいる人のお陰。