第二十章:延長線




文化祭が終われば、テストと当然クリスマスが来るわけで・・・
クリスマスが来るという事は、生徒会が動くという事で・・・・・・・・。
そう----つまり・・アスランと顔をあわせなければならない。
「カガリ・・・?」
--------なんで辛いのだろう。
ラクスは不安そうな顔をして此方を見ていた。
・・・・・・・別れたのに。
・・・。
あぁ、そっか。別れたから・・辛いの・・・か?
「クリスマスパーティー楽しみですわね。」
ラクスは嬉しそうにドレスのカタログを開く。
「パソコンからコピーいたしましたの、カガリも選びませんか?」
ルナとメイリンはこんな高いもの買えないけど・・・みたいッ!とはしゃいでカタログの取り合いになる。
「--------いいじゃないか、可愛いんだから・・なんだって似合う。」
ボソッと二人に言った。
「メイリンも・・ルナも・・・・・可愛いし・・。」

-----私と違い。

自暴自棄な態度にも頃ごろ嫌気が差しているのに、止めるすべが無い。
「カガリ先輩・・可愛いじゃないですか?」
ルナはニッコリと笑い、そう言ってくれるが・・・・
--------何処が?
顔だって・・・ましてや性格なんて可愛らしさの欠片も無い。
カタログを見ずに顔を腕に疼くめる。
クリスマスまで・・あと三週間。



「・・・・・・・駄目ですわ・・カガリ、近頃より自暴自棄なられて・・。」
「----どうにかしてあげられないかなぁ・・。」
キラとラクスは真剣話していた、当然・・・・俺だってカガリには元気になってほしい。
「・・・・・俺が・・言ってみるよ。」
「----アスラン・・。」
キラは困ったように見たが
「・・・・・そうだね、もうガチンコでやってみるくらいしか方法無いかもね。」
ラクスは心配そうな顔をして、瞑想するように目を閉じる。
「----では・・なんとか二人きりになれるように私たちもお手伝いいたしますわ。」



あれから、アスランとメイリンが付き合っていると言うのを聞いてはいない。
ルナにさり気なく聞いたが、そんな事は無いと笑って言われた。
-----勘違い・・なのか?
そう、思ってしまう自分がおぞましい。
どちらだって、関係の無い事なんだ。
そう・・割り切らなきゃいけない。
----------それに・・・・・
疲れた。もう、こんな感情に振り回されるのは。
前のように明るい自分に戻りたい。
----------戻れば良い。
一人合点をする。そうだ、戻れば良いじゃないか。


「カガリ・・。すいませんが・・私今日急用が出来てしまって・・。」
女子生徒会室でラクスにそういわれる。
「あぁ・・分かった。」
「・・・そういえば・・少ししたら、クリスマスの打ち合わせをしに誰か来ますわ。」
-------誰か?
「・・分かった。」
・・・・・・・アスランが来る。
----------そう、ラクスの目が言っていた。
そしてこの部屋には自分しかいない。
--------・・出来るかもしれない
友達に・・・・・戻る・・・。
そして頑張って考える。友達だった頃の事・・・・・・・・・・・


コンコン

「入るぞ」
声の主は間違いなくアスランだ。・・・。やっぱり。
「---------いいぞ、開いてるから」
深呼吸をして、シャーペンをカチカチッと鳴らした。



「・・クリスマス・・だよな。早いな〜一年はっ」
笑顔を作って、出来るだけ普段通りにする。
-------思っていたほど辛くは無い。
・・・・・・・このまま嘘を付き続ければ・・・少なくとも今のような不安定な感情から抜け出せる気がした。
「・・あぁ・・そうだな。」
アスランもあまり考えないで返事をしてくれた。
「・・テスト近いよな、勉強してるか?」
そういえばテスト三日前だった事に気が付く。
「あッ・・ヤバイ・・何もやってない・・・。」
この頃は憂鬱がたかって何も手に付いていないことを思い出す。
「・・少しなら・・・・教えるから、言えよ。」
ポンッと頭を撫でられ、心をが硬直した。
顔に出さないように、心がけているつもりだった。
「・・・・・・・・ありがとう・・でもなんとかするさ、自分で。」
ニッコリと微笑み、少し俯く。
アスランはだまって資料を整理していた。
「・・・・・・・そ・・、そういえば・・メイリンと話してる時、すきだって・・言ってなかったか?」
答えを聞いてどうするつもりなんだろうと自問自答する。
付き合ってると言われたほうが良いのか、そんなの嘘だと言われるのが良いのか・・・。
----分からない。
・・・どっちにしたって・・自分とはどうにもならないのに。
「-------あぁ・・あの時か。」
アスランは肯定するわけでもなく、否定するわけでもなく・・・ただ、そう言った。
「・・・そう言ったよ。」


・・・・・え?

-----嘘・・。


「え・・あ・・そうなのか・・・、へぇ〜おめでとう・・。」
まさか・・・--------。
「可愛いもんな、メイリン・・女の子らしいし優しいし・・気が・・効くし・・・。」


・・どうしよう・・・・。
・・・・・まだ好きでいてくれていると・・思っていた・・らしい、私の心は。
-------裏切られたような気分になるなんて。
頭では別れたとあんなに言い聞かせたのに・・・。
----心の中で、きっといつかは迎え入れてくれる・・そう思っていたのかもしれない。
でも・・違った。
アスランは・・もう、他の人を見つけた。
---------それが・・良いこと・・なんだ。きっと------。

「・・・良かったな、お前・・。大事にしろよな!泣かせたりしたら私が怒るからな!!」
「・・・・・。」
黙っているアスランを見て、アスランは優しいからばつが悪いのかなと考える。
「わ・・私とは・・友達でいような。別れたから喧嘩するのとか・・そういうのは嫌なんだ。」
-----私も・・言い加減、引きずるのはやめなければ・・。
「・・あ、ちょっと・・・・私、資料室行ってくるな、直ぐ戻るから・・・・先この仕事手付けてくれ。」

・・そう、思っているはずなのに・・・・・
---------泣いたら駄目だ。
そんなのは傍迷惑だ。

でも----------

出ようとして立ち上がり、丁度アスランに背を向けドアの前に立っていた、すでに涙腺は緩み涙が零れ落ちそうになっている。
お願いだ、友達として・・・そばにいる事だけは、許してくれないか?

なんて我が儘なお願い。




"友達でいよう"
その言葉に少しカチンと来る。
今だって・・・肩が震えているのに。
何で・・俺を--------頼ろうとはしないのだろう。
"傍にいて欲しい"
そう・・言ってもらえない俺だって・・悔しくてたまらないのに。
「カガリは・・好きなやつ・・出来たのか?」
震えて、この場を去ろうとするカガリに意地悪な質問を投げた。
「・・・・・、な、何で・・お前にそんな事・・・」
-------言わなくちゃならないんだよ。
お前だよ、私が好きなのは・・アスランだ。

けど-----

「メイリンも・・俺と同じ人が好きだと言う話をしていたんだ、あの時。」


急に切り出された話に、一瞬頭が真っ白になってから耳を傾けた。

「--------カガリが好きだって。」

そう言い終えてからカガリに近づくと、カガリはドアをあけることも忘れてしまったかのようにただ立っていた。
「強くて・・・他人の事ばっかりで、感情が豊かで激しい。---俺はカガリが好きだよ。」
自分のどこが好きかなんて、案外分からないものだ。--------俺だって、カガリがいてくれて始めて気が付いたことが沢山ある。
「---俺のためをおもうなら・・・別れるなんて、言わないでほしい。」
「・・・わ、私は・・・でも-----もう・・・」

「汚くない、カガリは・・」
「汚いんだッ!」

そして沈黙が流れる。出て行く気配もなく、静寂なひと時。


「俺は・・汚いカガリでも、愛してる。」


それだけ言って、抵抗するカガリを無理やり後ろから抱きしめた。






















+++++
あとがき
カガリハツカネズミ.ver(苦笑)
次回頑張れアスランッ、押しまくれ(応援)
2006.03.24